歯列矯正をして、後悔、失敗したという人の中に『口元が下がりすぎた』という方がいます。せっかく頑張って矯正治療をしたのに、すごく残念なことですよね。そうならないようにするにはどのようなことに気をつけて歯列矯正を行えばよいか?どのように歯科医院を選べば良いかをお伝えできたらなと思います。
以下で歯列矯正で口元が下がりすぎる原因とその注意点をそれぞれ説明します。歯列矯正を行う際に気をつけるべき項目を事前に知っておいて頂きたい。歯科医師に全て任せるのではなく、自分の希望をしっかりと伝えて相談しましょう。当院では患者様の声を大切にしております。無料カウンセリングもございますので、なんでも気軽にご相談ください。
【著者・執筆者情報】
インビザライン(マウスピース矯正)
プラチナ認定ドクター
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目次
歯列矯正で口元下げすぎないためのポイント8ヶ条
歯列矯正口元が下がりすぎた原因1
『歯を抜くべき症例ではなかった』
歯列矯正の場合、スペースの確保をするために、残念ながら歯を抜くことがあります。歯を抜く理由としては、ガタガタ歯並びを綺麗に並べるスペースの確保と、口元を引っ込める場合が多いです。この二つを念頭に口元や横顔とのバランス診断し、歯を抜くかどうかを決定します。
これらを診断するには、必ず『セファロ分析』が必要になります。横顔のレントゲン写真から、ポイントを打って計測分析を行います。矯正治療を行う前に必ずセファロ分析を行ってもらいましょう。逆にセファロ分析を行い、しっかりとした説明がない医院は注意が必要です。
出っ歯や歯の位置が正常の場合、ガタガタ歯並びだけなら、歯と歯の間を削る治療(IPR、ストリッピング)や、奥歯をさらに奥に送る方法でスペースを確保できる場合があります。基本的にマウスピース矯正であるインビザラインはこの動きが得意とされています。場合によっては、TADsといわれる小さなピンのようなミニスクリューを顎に入れるとさらに歯を後ろに送ることができ、スペースを確保できます。
そこまでしても、スペースが足りない場合に初めて歯を抜きます。当院では歯を抜かないための治療を最優先しております。歯を抜くのは最終手段です。
矯正診断にはセファロ分析は必須
矯正治療の診断に必ず必要な資料があります。それは『セファロ分析』です。これは骨格的に顎や歯がどこに位置するのかを診断する分析です。これらを正確に診断した結果、治療方針が決定します。必ずこの資料、セファロ分析の説明を受けるようにしてください。
歯列矯正口元が下がりすぎた原因2
『Eラインを考えていない』
歯並びを治療するときは歯だけをみるのではなく、顎の位置、歯の位置と角度、唇の厚みと形、鼻の高さ、顎の位置、目元周りの上顔面の位置、おでこ(額)をトータルに考えなければなりません。いわゆる『Eライン』と呼ばれる横顔のフォルムです。
これらをしっかりと考慮して矯正治療を行わないと満足のいく矯正治療とはなりません。これらを診断するために必須の資料としてセファロ分析があります。横顔のレントゲン写真から、ポイントを打って計測分析を行います。
矯正治療を行う場合は必ずセファロ分析を行ってもらいましょう。逆にセファロ分析を行い説明がない医院は注意が必要です。Eラインの理想は『鼻先と顎先を結んだ線より上唇が重なるか、もしくは少し後方にあるのが理想』とされています。これらを考慮したうえで、歯列矯正を行い横顔美人を目指しましょう。
歯列矯正口元が下がりすぎた原因3
『下顎が下がっているところに口元を合わせ過ぎた』
この場合は非常に注意が必要になります。いわゆる、口ゴボの人に多い症状であり、上顎や上の前歯が正常の位置にあり、下顎が下がりすぎている場合にこの症状に陥りやすいです。
本来なら、平均から引っ込みすぎている下顎を正常の位置に移動させる治療が必要ですが、それには手術が必要な場合が多いです。しかし、実際には手術をしてまで下顎を前に出す人は非常に少ないです。そこで、相対的に口元を引っ込めるために、上の前歯を下げることを行います。時には歯を抜くこともあります。
ここで注意が必要なのが、そもそも下顎が下がりすぎている状態に合わせにいくので、限度を考慮する必要があります。さらに、年齢と共に唇の厚み、頬や口輪筋の衰えなので口元の軟組織は薄くなります。口元が下がりすぎないようEラインを予想して、そして患者様の要望と、起こりうるリスクをしっかりと説明してくれるクリニックで治療を受けましょう。
インビザラインのシミュレーションソフトではどのぐらい歯が下がるかのシミュレーションを事前に見ることが可能です。当院では希望される患者様に事前に2つ、3つのシミュレーションを見せて一緒に決定する場合があります。
歯列矯正口元が下がりすぎた原因4
『下顎の粘膜が薄い』
顎と歯の位置も正常な位置と変わらないのですが、下顎の先の粘膜や筋肉が薄い人がいます。この場合下顎が下がっているように見えますが骨格的には正常です。これに合わせて前歯を下げすぎると口元が下がりすぎたように見えてしまいます。
例えば、歯並びはいいのに口ゴボになってしまっている方は、このような状態の方が多いです。
この場合、外から見えるEラインだけではなく、骨格的にも審査、診断が必要になるのでセファロ分析が必要になります。セファロ分析は粘膜と顎の骨、そしてEラインをしっかりと分析することができるので、必ず歯科医院で検査してもらいましょう。
この場合、歯科医院ではなく、顎の部分にシリコンなどを入れる美容整形などの手術が必要になる場合もありますので、まずはご相談ください。
歯列矯正口元が下がりすぎた原因5
『年齢を考慮していなかった』
老人様顔貌
デリケートな話で申し訳ありませんが、やはり、年齢によって口元を下げる量というのは異なります。口周りの筋肉、軟組織の厚みなどは加齢変化として薄くなっていくのは避けられません。
また歯列矯正後の口元の筋肉や軟組織の順応なども若いときとは違います。ほうれい線のお悩みをその一つになってきますよね。口元を下げすぎると老人様顔貌や入れ歯顔とも言われる、口元の張りがなくなった顔になってしまうので注意しましょう。
このように大人の歯列矯正は十分に計算していなければ危険な側面もあるということを知っておくことは重要です。
ここで重要なのは、歯列矯正ができないわけではありません。口元を下げる量を計算して、治療を行えば大丈夫です。まず、ご自身がどのような状態であるのかをしっかりとセファロ分析を行い、年齢まで安全に納得がいく矯正治療と行うには、そこまで考慮した上で治療を行う必要があるということです。
歯列矯正口元が下がりすぎた原因6
『ほうれい線も考慮すべき』
もともとほうれい線の溝が深い人も注意が必要です。
先ほどの『その5』でも説明したように、年齢と共に口周りの筋肉、軟組織の厚みは変化していきます。口元のボリュームを保つにはある程度の張りが必要になります。
歯並びがガタガタだからと言って安易に歯を抜くのは考えものです。歯を抜かずに歯列を並べることはできないのかを熟考する必要があります。
インビザラインは奥の歯をさらに奥に送ることが可能な矯正装置です。そして、TADsと言われるミニスクリューなどの装置を使用すればさらに奥に送れます。
さらに言えば、歯と歯の間を少し削る(ストリッピングやIPR)を行えばもっと引っ込めることができます。このように、歯を抜かずに歯列矯正を行う方法は色々あります。(限界はありますが)
ほうれい線がどうしても気になる人は、ヒアルロン酸の注入などの方法も可能です。まずは相談してみましょう。当院は無料カウンセリングもございますので、お気軽にご連絡ください。
歯列矯正口元が下がりすぎた原因7
『自分好みの顔とは違った』
患者様が思っていた顔貌と、歯科医師が思っていた顔貌が違う場合があります。これは好みの問題もあり、非常に難しいところでもあります。
歯列矯正とは、日本人女性、男性にとってゴールデンプロポーションといわれる理想の位置に歯をもっていく治療です。しかし、その理想の位置が患者様にとって、好みの顔貌かと言われるとそうではない場合があります。この場合は非常に注意が必要になります。
インビザラインのシミュレーションソフトのクリンチェックでは、患者様の笑顔の口元に最終的な歯列矯正を終わったあとの歯並びを入れて見ることができます。これによってニコっと笑った時の顔を前から、ある程度イメージすることができます。(あくまでもイメージです)
しかし、現在のシミュレーションソフトでは横顔がどこまで引っ込むかや口元の周りの組織、唇や頬、そして『ほうれい線』の様子までは、再現できないのが現状です。一般的に、前歯の下がった量の2分の1から3分の1ほど口元が引っ込むと言われています。(筋肉や口唇の厚み、口輪筋の強さによって個人差があります。)
よって、どのぐらい引っ込むかはある程度予想はできますが、見ることもできませんし、正確にはわかりません。どうしてもスペースがなくて、歯を抜かないといけない場合があります。当初は全てスペースを閉じる治療計画でスタートします。
患者様の好みの問題で、途中でこれ以上口元を下げるのを止めて欲しいと要望があった場合、歯科医師側の本意ではありませんが、途中でスペースを残したまま、歯列矯正その時点で終了し、残ったスペースをダイレクトボンディングやセラミックなどで閉鎖することは、非常に稀ですがあります。
歯列矯正は患者様のための治療であり、終了した後に患者様が納得してもらえないのでは意味がありません。ただし、歯列矯正が終了したあとに、口元の筋肉や軟組織が馴染んでいくので、改善される場合もあることを知っておいてください。
歯列矯正口元が下がりすぎた原因8
『鼻下の長さが長くなった』
これも口元が下がりすぎた場合、特に出っ歯の方が歯列矯正を行なった場合に言われてことです。歯列矯正を行なう前にもともと、鼻下が長い、もしくは広い方がいます。この方は特に要注意です。
前歯を出ていたことで、鼻下が持ち上げられていた状態から、前歯を引っ込めると鼻下が下がり長く、広くなります。これが、ご本人の要望、好みと違った場合は、歯列矯正をして後悔することになります。
歯や顎、軟組織からのEラインまでは、もちろんのこと、あなたの『好み』までしっかりと、話しを聞いてくれ、起こりうるリスクまでしっかりと説明してくれるドクターに治療をお願いしましょう。
~私たちの思い~
少し語弊があるかもしれませんが、歯列矯正とは、ゴールデンプロポーションと呼ばれる平均をつくりだす治療であることは否めません。
ほとんどの人が、満足いく結果となりますが、上記の8つの理由のように、もともとの歯や顎の条件、年齢、患者様の好みなどにより、自分の思った通りの歯列矯正で終えられない可能性もあります。
これらを避ける方法としては、まずはしっかりとお話を聞いてくれる歯科医師に出会うことです。自分の思いを聞いてくれ、それに合わせた治療行ってくれる、でも、その際のリスクもしっかりと説明していてくれれば、納得できる治療で終えることができます。なぜ、後悔するのか、それはちゃんと説明しきれていない歯科医師側にも責任はあるのかしれません。そうならないように当院では全力で審査診断し、患者様の立場になって説明を行い治療することをお約束します。