口ゴボは自分で治せませんか?とよく聞かれます。
はじめに口ゴボの原因と、口ゴボを悪化させ助長させる癖などを、説明します。これらを防ぐことによって、口ゴボになることを予防することができます。
『口ゴボ』になってしまう原因や悪い習慣
幼い頃の指しゃぶり(拇指吸引癖)
子供の頃に親指を吸う癖がなかなか治らない事は口ゴボになる一つの原因です。親指によって、上の前歯と顎を前方へ押し、下顎の前歯を後方に押してしまい口ゴボになってしまう人がいます。
舌の位置
舌の位置も重要なポイントです。口を閉じた状態でも、ご自身の舌が上顎についているのが正常な状態です。接触していない人は、スポットと呼ばれる上顎の舌がおさまる位置を教えてもらい意識することをお勧めします。
口呼吸
自然と口がポカーンと開いた状態になってしまう人は注意してください。口でばかり呼吸して、口の締まりが悪いと、口の周りの筋肉が衰え、歯が前にでてしまい、口ゴボになってしまいます。
頬杖など、顔周りを押すような癖(体癖)
授業中や、テレビを見たりするときに頬杖をついていませんか。寝る時に胸を下にして寝ていませんか?気づかないうちに、毎日、少しづつ自分で間違った歯列矯正をしていることになります。こういった癖を『体癖』といい、かなり歯並びに悪影響を及ぼし口ゴボの原因となりうるのでご注意ください。
下唇の噛み癖
何かを考えたり、精神的にストレスがかかると、口唇を噛んでしまう癖がある人は口ゴボになる可能性があります。上の前歯が前に倒れてしまい、一度倒れてしまうと、元に戻らないことが多いです。
軟食(柔らかいもの)ばかり食べる人
柔らかいものをばかり食べていると、顎の成長が損なわれ、口ゴボになってしまう場合があります。顎の未発達は、歯の生えるスペースも少なくなり、ガタガタ歯並びになる場合もあります。 大人になってからも、柔らかいものばかり食べていると、口輪筋(口の周りの筋肉)が衰え、口ゴボの原因となることがあります。
親からの遺伝
ご両親が口ゴボの場合、遺伝によって、口ゴボになる場合もあります。そのような場合しかたがないかもしれませんが、そのほかの悪習癖をやめるようにしましょう。
口ゴボを自力で治すことは出来る?
子供の頃に上記で述べたような癖をしなければ、口ゴボになる可能性は少なくなります。しかし、大人になってから、自力で口ゴボを治すことは、可能か不可能かというと、正直なところ難しいでしょう。すなわち不可能だということです。
つまり、『口ゴボを自力で治せるか』という質問には
『口ゴボにならないように自力で注意することができる』が『口ゴボを自力で治すのは正直難しい』といことが答えになります。これ以上、口ゴボが進まないようにするのが限界ではないでしょうか。
しかし、口ゴボを治療することは可能です。具体的には、口ゴボである原因の前歯を後方に下げるスペースが必要になります。スペースを確保する方法として、大きくわけて2つあります。歯を抜かない歯列矯正と歯を抜く歯列矯正です。そして、歯と歯の間を調整し、前歯を下げるスペースを確保します。
ここからはどのように治すかを説明していきます。
歯を抜かない歯列矯正
1.奥歯を引っ込めて、スペースをつくり、前歯を引っ込める
口ゴボを治療するにあたって、前歯を引っ込めるためには奥にスペースが必要です。そのために、奥歯をさらに奥へ後退させる方法があります。インビザライン (マウスピース矯正)による歯列矯正はその動きが得意な矯正器具であり、歯を抜く可能性が低くなります。
ただし、歯を抜く歯列矯正と比べると、限界はあります。歯のガタガタの程度や顎の広さにもよりますが、基本的に上下の顎で限界は異なり、上顎では3mm、下顎では2mm程度が奥歯を後方へ移動できる限界とされています。
さらに、追って説明するIPRと呼ばれる歯と歯の間を削りスペースを確保する方法をコンビネーションで併用すると歯を抜かなくても前歯を後退させる範囲が広がります。
どうしても歯を抜きたくないという方は、上記の2つにさらに、TADsと呼ばれる小さなピンのようなものを歯茎に(正確に顎の骨)挿入し、そこから後方にゴムがかければ後方移動の限界は大きくなり、歯を抜かないで口ゴボを改善できる可能性は上がります。
2.歯と歯の間を削るIPRで口ゴボ改善のスペース確保
歯列矯正でよく行われる治療の一つにIPRとよばれる方法があります。通称ストリッピングとも呼ばれ、歯と歯の間を極細のバーや紙、金属のヤスリで一つのコンタクトにおいて0.1mm~0.5mmほど、切削しそれらを多数することによって歯を後方移動させるスペースを確保することがよくあります。
この処置は基本的に0.5mmが限界とされています。それ以上削ると神経のある歯では、後年に、しみてきたりする可能性があります。
逆にいうと、0.5mmまでは安全に削ることができ、歯列矯正ではごく普通に行う治療なので、安心してください。 当院では、歯を抜きたくない患者様が多く、その要望にお応えするために、奥歯をさらに奥に移動させる①の方法IPRを併用し、さらに、TADsも使用することがあります。
歯を抜く歯列矯正
口ゴボの人で前歯を下げる量が多い人は、残念ながら、歯を抜く必要があります。
上記で説明した方法でも前歯を引っ込めるスペースを確保できない場合は、前から数えて4番目や5番目の第一小臼歯や第二小臼歯を抜く場合が多いです。
これらの歯を抜くと7mm~8mmほどのスペースを確保できるので、かなりのスペースを確保でき口ゴボを改善できます。
しかし、この方法を選択するのは、最終的な方法で、できれば、上記で説明をした歯を抜かない歯列矯正の、臼歯の後方移動、IPR、TADsを第一選択としましょう。まずはセファロ分析(後述)をしっかりと行い、本当に抜歯が必要かどうかの診断をしっかりと行いましょう。
口ゴボでよくあるお悩み
Q1.歯並びが良いけど口ゴボです。どのような治療方法がありますか?
口ゴボでも、程度によって、治療方法は色々と変わってきます。インビザラインによるマウスピース矯正、ワイヤー矯正、時には顎矯正も必要な場合もあります。次のページで詳しく説明しています。
Q2.かなりの口ゴボなのですが、どのような治療があるのですか?
骨格由来の重度の口ゴボの方は、残念ながら通常の歯科治療での改善は難しいです。
重度の口ゴボの場合に顎矯正(手術)が必要な場合があります。すなわち手術で顎を後退させる矯正治療です。手術の後、筋肉が馴染むまで顎間固定といい、上顎と下顎を固定することが多く、それは基本的にワイヤー矯正での治療となります。
顎矯正が必要かどうかは自分で判断は難しいので、まずは手術が必要かどうかを診断する必要があります。当院は無料カウンセリングもございますのでお気軽にご相談ください。
Q3.どのぐらいの人が顎矯正を受けますか?
私の経験によりますが、およそ普通の矯正治療を行う人の1%~2%ぐらいの人が顎矯正を受けます。男性より女性のほうが多く、若者が多いです。若者の場合、学生が多く、入院が必要なので夏休みや春休みなどを利用して、手術を行うケースが多いです。お仕事をされている方は仕事を休むと仕事に支障がでるので、大人の特に男性は少ないイメージですね。
Q4.顎矯正で入院は必要ですか?
はい。必要です。入院施設がある病院で、治癒の程度にも影響しますが、たいてい2−4週間ほどの入院が必要です。
Q5.顎矯正はマウスピース矯正でできるの?
残念ながら難しいです。手術の後、筋肉が馴染むまで顎間固定といい、上顎と下顎を固定することが多く、それは基本的にワイヤー矯正での治療となります。
Q6.どういった順序で治療は進むの?
顎矯正は先に手術をする場合(ファーストサージェリー)や後で手術をする顎矯正もあります。手技や進行手順は担当の先生の考え方によって変わっています。色々と話を聞くのが良いと思います。
Q7.顎矯正後のメンテナンスはどうなるの?
全ての矯正治療が終了すれば、基本的に普通の矯正治療と同じです。数ヶ月に一回は、歯の動きや、噛み合わせのチェックをしてもらいましょう。
口ゴボの治療は必ず、知識・技術・経験のある歯科医院で!
一口に矯正歯科治療が必要と言っても、口ゴボ(出っ歯)やガチャ歯(叢生)やすきっ歯、八重歯や受け口のように実に様々な症状があり、そして原因があります。また、その中でも軽度や重度、どの装置を使うか、抜歯が必要かなど、人により状態はまるで違うのです。
それらの症状に対応し、歯並びを改善していくには知識・技術・経験が必要不可欠であり、どれが欠けても成り立ちません。
覚えておいていただきたいのは、「矯正治療は一度してしまうと元に戻すことは非常に困難」ということです。それで苦しんでいる方も実際にいますし、そういった相談も後を経ちません。既に矯正治療をされた状態だと、残念ながら私でも治すことは難しいのです。
知識・技術・経験の全てが揃っている歯科医院で必ず治療をしてください。当院では様々なケースを治療し改善してきましたので、目安になるかわかりませんがその一部をご紹介いたします。