セラミック矯正は決して失敗の多い治療ではありません。しかし、審美面しか考慮しない歯医者のもとで治療を行うと、失敗のリスクが高くなってしまうと解説しました。実際に、過去には審美面以外でのセラミック矯正の失敗が存在しています。
セラミック矯正で実際に起きた失敗例は、以下の6例です。
- 噛み合わせが悪くなった
- 歯髄炎が発症した
- 根尖性歯周炎を発症した
- 歯茎の赤い腫れが引かない
- 期待していたほど口元が引っ込まない
- 歯肉が退縮して被せ物の端が見えてきた
これら6つの失敗例とその原因について、以下でそれぞれ詳しく解説します。失敗リスクを下げるためには、原因を知ることが非常に有用なので、ぜひご覧ください。 |
セラミック矯正の失敗例@: 噛み合わせが悪くなった
セラミック矯正の治療後に、噛み合わせが悪くなってしまったというケースがあります。これは、歯医者が噛み合わせを度外視し、仮歯の期間に噛み合わせの調整を行わなかったことが原因です。セラミック矯正は、矯正前の歯とは異なるサイズや向きの被せ物を入れるため、噛み合わせが変わる可能性が当然あります。
機能面まで考慮する歯医者であれば、仮歯の期間に必ず上下の噛み合わせが正常か確認します。患者さまの歯ぎしりや食いしばりの癖によって、噛み合わせに違和感が出ないかどうかのチェックも忘れません。もちろん、噛み合わせが合っていない場合は、合うまで調整します。しかし、審美面しか考慮しない歯医者では、噛み合わせの調整がおろそかになる可能性を否定できません。
噛み合わせが悪くなった他の原因として、顎の位置の変化の場合もあります。もともと、歯並びが悪い人は顎の左右差がある場合もあり、セラミック矯正によってさらに悪化するときもあります。
噛み合わせが悪いと、食事がしにくいだけでなく、慢性的な肩こりや頭痛を引き起こします。それだけでなく、被せ物に余計な負担がかかり、すぐに割れてしまう可能性もあるので十分な注意が必要です。 |
セラミック矯正の失敗例A: 歯髄炎が発症した
セラミック矯正の治療後に、歯髄炎(しずいえん)が発症してしまったケースもあります。歯髄炎とは、簡単に説明すると、歯の神経や血管が通っている歯の組織(歯髄)に細菌が感染して起こる炎症です。歯がズキズキと痛んだり、冷たいものがしみたりします。
セラミック矯正で歯髄炎を引き起こしてしまう主な原因は、歯を削る量や範囲を間違えていることです。歯を必要以上に削ると、歯髄に刺激を与えて歯髄炎を引き起こしてしまいます。
もう一つ歯髄炎の原因として、熱があります。歯を削る際に力が強すぎたり、あまり削れないバーを使うと、削る際に発生する熱によって歯髄に炎症が生じる場合があります。
歯髄炎を引き起こしてしまった場合、放置することはできず、神経を抜かなくてはいけなくなります。ただ、神経を抜いた歯はどんどん弱まるので、神経を抜かないに越したことはありません。そのため、そもそも歯髄炎を引き起こさないような経験豊富な歯医者のもとで治療することが重要です。 当院では、神経までの距離をCT撮影で確認しております。安心しておまかせください。 |
セラミック矯正の失敗例B: 根尖性歯周炎を発症した
セラミック矯正の治療後に、根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)を発症してしまったケースもあります。根尖性歯周炎とは、簡単に説明すると、歯根の先端に膿がたまり、歯を支える骨が溶け出してしまう骨の病気です。
セラミック矯正で根尖性歯周炎を引き起こしてしまう主な原因は、神経を抜く処置の失敗です。神経を取り除いた後は、歯の内部が細菌に感染しないように、歯の内部を消毒したり、根管充填剤と呼ばれる薬を歯根に詰めていきます。
しかし、歯の内部の消毒が不十分だったり、歯根に詰める薬剤が不十分で隙間ができていたりすると、そこから細菌が入り込んで根尖性歯周炎を引き起こしてしまうのです。
当院は歯の根の治療には特に注意しております。いうなれば、歯の根の治療は被せるセラミックの大黒柱となります。しっかりとした土台があるからこそ、セラミックが長持ちするのです。当院はマイクロスコープも完備し万全の体制で治療を行っておりますので、安心してお任せください。 |
セラミック矯正の失敗例C: 歯茎の腫れが引かない
セラミック矯正の治療後に、歯茎の腫れが引かないケースもあります。主な原因は、審美性に優れる歯並びの実現のために、セラミックの被せ物を無理な位置にはめ込んでいることです。
セラミック矯正は、歯並びを根本的に治す治療法ではありません。歯を削り、その上にセラミックの被せ物をつけることで、歯並びを綺麗に見せかけているだけです。つまり、患者さまの元の歯並びが重度の叢生などですと、本来の歯の向きを無理に変える必要があります。そして、その行為が歯茎に負担をかけて炎症を引き起こしてしまうのです。
このように、重度の叢生の場合にセラミック矯正を行うと、歯茎に負担をかける可能性が高いです。患者さまの健康面までしっかりと考慮する歯医者であれば、歯茎の腫れの可能性を予見し、他の矯正方法も提案します。審美面だけを考慮する歯医者は「重度の叢生も短期間で治せます」など後々のことを考えずに、セラミック矯正を勧める可能性もあるので注意してください。
当院では、セラミック矯正とマウスピース矯正による歯列矯正の両方に対応しております。あなたにあった矯正方法をご提案させて頂きますので、一度無料カウンセリングに来られてみてはいかがでしょうか。 |
セラミック矯正の失敗例D: 期待していたほど口元が引っ込まない
期待していたほど口元が引っ込まなかった、とがっかりされる患者さまも少なくありません。これは、出っ歯を矯正したくてセラミック矯正を行った患者さまに多いです。出っ歯は、指しゃぶりや舌癖に起因するものと、あごの成長に起因するものの2種類あります。
そして、後者のあごの成長に起因する出っ歯は、セラミック矯正を行っても、横から見えるお口元の盛り上がりを治せません。なぜなら、あごの成長に起因する出っ歯は、歯のみならず歯茎までもが出っ張っているからです。セラミック矯正では、歯の向きを変えることはできても、歯茎まで引っ込めることはできません。
前歯のセラミック矯正治療の経験が豊富な歯医者であれば、治療前にお口元の盛り上がりの解決は難しいことをしっかり説明した上で、別の矯正方法を提案するでしょう。「出っ歯も簡単に治せる!」などの広告に惑わされないようにしてください。
仮に歯茎までひっこめたい時は、歯の根っこを後退させる必要があります。その際はセラミック矯正ではなく、歯列矯正が必要になります。当院はセラミック矯正も歯列矯正も、両方に対応しておりますので安心してお任せください。 |
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セラミック矯正の失敗例E: 歯肉が退縮して被せ物の端が見えてきた
セラミック矯正の失敗例として、セラミック矯正後に歯肉が退縮してしまい、被せ物の端が見えてきて審美性が下がってしまうことが挙げられます。
一般的には、年齢とともに歯肉退縮は多くの方に起きるものです。実際に50代の方になると、ほぼ100%歯肉の退縮が認められる、というデータも存在します。そのためセラミック矯正を行ってから年月が経過すると、歯肉が退縮して被せ物の端が見えてくることは、事前に想定しておく必要があるでしょう。
また若い方でも、セラミック矯正の治療時に歯茎に傷をつけてしまったり、口腔内の衛生環境が悪い状態で治療を行うことで、歯周病が発症して歯肉が退縮してしまうこともあります。こうなってしまうと、退縮した歯肉に合うように被せ物を再作成するセラミック矯正のやり直しが必要になります。 |