「セラミック矯正では、歯の神経を抜くって本当なの…?」
「歯の神経って、そもそも抜いて大丈夫なの…?」
このような疑問をお持ちではありませんか?セラミック矯正は、短期間で綺麗な歯並びを手に入れられるなど、メリットの方が目立っていますが、実はその陰にデメリットも潜んでいます。その代表的なデメリットに、歯の神経を抜く可能性がある点が挙げられます。
しかし、歯の神経を抜くことの何がいけないのでしょうか?残念ながら、セラミック矯正の広告などには記載されていないでしょうから、分からなくても不思議ではありません。
そこで当記事では、以下の内容を解説いたします。
- セラミック矯正で神経を抜くって本当?
- セラミック矯正で神経を抜く代表的な2つの理由
- セラミック矯正で神経を抜くデメリット3選
- セラミック矯正で神経を抜いたらどうすればいい?
- 神経をどうしても残したい場合はどうすればいい?
歯の神経は歯の健康を保つために重要な役割を担っています。そのため、セラミック矯正を検討している方には是非1度立ち止まって、神経を抜くリスクやデメリットについて理解を深めて頂きたいです。記事の後半では、神経をどうしても抜きたくない方のために、他の矯正手段についても解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
【著者・執筆者情報】
インビザライン(マウスピース矯正)
プラチナ認定ドクター
院長紹介・経歴についてはこちらから
目次
セラミック矯正で神経を抜くって本当?
「セラミック矯正で神経を抜くって本当?」
結論からお伝えすると、セラミック矯正で神経を抜く可能性はあります。しかし、セラミック矯正のすべての症例で神経を抜くわけではありません。神経を抜かなければいけないケースがあれば、神経を抜かずに済むケースもあるのです。
特に最近は、神経を残せるケースが増えてきています。なぜなら、被せ物の材質であるセラミックが進歩を遂げ、以前より薄く被せ物を作製することができるようになったからです。被せ物を薄く作製できれば、歯を削る量も少なく済み、神経を抜く必要もなくなります。
また、最新設備を整えている歯医者のもとで治療を行うと、神経を抜かずに済む可能性が高くなります。歯科用CTやマイクロスコープが使用できれば、神経の走行位置を正確に把握することができ、歯の削る量を必要最小限にとどめることが出来るからです。
このように、近年はセラミック矯正治療において、神経を抜かずに済むケースが増えています。
しかし、依然として神経を抜かなければいけないケースも、もちろんあります。以下で、神経を抜く代表的な2つの理由と神経を抜く3つのデメリットについて詳しく解説するので、是非ご覧ください。
セラミック矯正で神経を抜くしかない2つのケースについて
近年のセラミック矯正は、神経を残せるケースが増えていると解説しました。しかし、依然として神経を抜かざるを得ないケースも存在しているので、ここでは歯医者が神経を抜く代表的なケースについて詳しく見ていきましょう。
歯医者がセラミック矯正で神経を抜く代表的なケースは、以下の2点です。
- 歯を大きく削るしかない場合
- 歯髄炎を引き起こしている場合
上記の2つのケースについて、以下でそれぞれ詳しく解説します。セラミック矯正を検討している方は、神経を抜くかどうかの自己チェックとしても役立つので、ぜひ参考にしてくださいね。
ケース①:歯を大きく削るしかない場合
セラミック矯正で神経を抜かざるを得ない最も代表的なケースは、削る歯の量が多い場合です。上顎前突(出っ歯)や叢生(ガタガタな歯並び)を綺麗な歯並びに見せるためには、セラミックの被せ物を大きく作る必要があります。そのため、必然的に歯を削る量が増え、神経にまで到達し、神経がむき出しになってしまうのです。
通常は歯の内側に通っている神経が表にむき出しになってしまうと、耐えられないほどの激痛が走るため、神経を抜くケースがあります。理想とする歯並びと現在の歯並びに乖離があればあるほど、神経を抜く可能性が高いです。上顎前突や叢生でセラミック矯正を検討している方は、特に後述する神経を抜くデメリットについてもご覧ください。
ケース②:歯髄炎を引き起こしている場合
歯髄炎(しずいえん)を引き起こしている場合も、歯の神経を抜く可能性があります。歯髄炎とは、歯髄と呼ばれる神経や血管が通っている歯の組織に細菌が感染して起こる炎症です。セラミック矯正で歯を削る場合、削る量や範囲を誤ると、歯髄に刺激を与えて歯髄炎を引き起こしてしまうことがあります。
セラミック矯正治療を終えてから2週間程度は、噛んだり、歯ブラシを当てたりする時に痛みが生じても不思議ではありません。しかし、噛んだ時の痛みが2週間以上続く場合は、歯髄炎を引き起こしている可能性が高いです。痛みが続く場合は、放置せずに歯医者へ相談してください。歯髄炎を引き起こしていると診断されれば、神経を抜く可能性が高くなります。
セラミック矯正で神経を抜くデメリット3選
セラミック矯正で神経を抜く可能性が高いケースについて解説しました。「自分は神経を抜かなければいけなくなるかもしれないな…」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、神経を抜いた後に起こるリスクやデメリットについて解説します。
セラミック矯正で神経を抜く主なデメリットは、以下の3点です。
- 歯の寿命が短くなる
- 虫歯の進行に気づきにくい
- 歯の色が黒く変色する場合がある
カウンセリング時に「神経は抜かずに済みそうだね」と伝えられていた場合でも、実際に歯を削り始めたらやっぱり神経を抜かなくてはいけないなんていうことも。そのため、セラミック矯正を検討している全ての方が、神経を抜くデメリットを理解しておく必要があります。上記3つのデメリットについて、以下でそれぞれ詳しく解説するので、ぜひご覧ください。
デメリット①:歯の寿命が短くなる
神経を抜くと、歯の寿命が短くなります。ここでは分かりやすく「神経を抜く」と表現していますが、厳密に言うと「歯髄を抜く」が正しい表現です。歯髄は歯の重要な組織で、神経以外に血管も通っています。血管の役割は、歯に酸素や水分などの栄養素を送り込むことです。つまり、歯髄を抜いた後の血管が通っていない歯は、栄養素を取り込めません。
栄養素を取り込めない歯は、どんどん脆くなっていきます。その結果、歯が割れやすくなり、最終的に抜歯しなければいけなくなることも。このデメリットは、セラミック矯正治療を終えた直後には特に影響がないでしょう。しかし、月日が経って、自分の歯を次々と抜かなければいけなくなったらどうでしょうか?セラミック矯正のために神経を抜くという判断を後悔しないと言えるかどうか、ぜひ治療前に慎重に考えてください。
もし、どうしても神経を抜きたくない場合は、セラミック矯正ではなく歯列矯正を選択するのも一つの手です。歯列矯正は時間がかかりそうだと思うかもしれませんが、前歯のみの部分矯正ならば半年かからない数ヶ月で矯正治療は終了します。しかも、今はワイヤーではなく透明なマウスピースで治療することが可能です。
あなたの歯並びにとってベストな治療方法を提案させて頂きますので、無料カウンセリングに来られてみてはいかがでしょうか?
デメリット②:虫歯の進行に気づきにくい
虫歯の進行に気づきにくくなることも、神経を抜くデメリットの1つです。神経を抜いた歯は、痛みを感じません。痛みを感じないと聞くと、良いことのように聞こえます。しかし、裏を返せば痛みを感じないので、虫歯などの口腔内の異変に気づけないということです。
セラミックの被せ物の下で進行している虫歯に気づいた時には、抜歯をしなければいけないほど重症化しているかもしれません。口腔内の危機をいち早く察知してくれる神経を抜いてしまうと、重症化する虫歯を増やすリスクが伴うのですね。そのため、セラミック矯正をする前には、ぜひ一度立ち止まって神経を抜くことで起こる健康リスクについて考えましょう。
デメリット③:歯の色が黒く変色する可能性がある
歯の色が黒く変色する可能性があることも、神経を抜くデメリットの1つです。神経を抜いた歯には、上述した通り、酸素や水分などの栄養素を行き届きません。その結果、歯が細菌に感染しやすくなり、時が経つにつれて変色していきます。
「セラミックの人工歯を被せているから、別に下の歯が変色しても大丈夫」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、残念ながら、我々の歯肉は加齢とともに退縮していきます。つまり、年月が経つにつれてセラミックの被せ物と歯肉の境目に隙間ができ、下の黒ずんだ歯が見えてくるのです。
下の歯が透けて見えるようになってしまったら、また1からセラミックの被せ物を作り直す必要があります。当然、また同じだけのお金と時間がかかります。セラミック矯正治療を検討する時は、ぜひこれらの神経を抜くデメリットについても慎重に考えてください。
セラミック矯正で神経を抜く場合はナイトガードを使用しましょう
神経を抜くデメリットを理解した上で、それでもセラミック矯正をしたいという方は、治療後の過ごし方に注意してください。具体的には、ナイトガードを必ず装着しましょう。
ナイトガードとは、寝てる間につける歯ぎしりや食いしばりの負担を軽減するマウスピースです。セラミック矯正で神経を抜くと、歯が脆くなり歯根破損が起きやすくなります。
特に、寝てる間に無意識に行っている歯ぎしりや食いしばりは、歯根破損の大きな要因です。歯ぎしりや食いしばりは、皆さんの想像以上に歯に大きな負担をかけているんですね。
歯根が破損すると、抜歯しなければいけなくなります。抜歯を避けるためには、事前の予防が非常に大切です。当院ではセラミック矯正治療を行うすべての方に、ナイトガードの装着をお願いしています。セラミック矯正治療後は、就寝中にナイトガードを装着する生活が始まると思ってください。
神経を残したい場合は歯列矯正を検討しましょう
ここまで、セラミック矯正で神経を抜くデメリットについて解説してきました。「神経を抜くデメリットのことを考えると、セラミック矯正が少し怖くなってきた…」とお考えになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
セラミック矯正で神経を抜くかどうかは、治療を開始してみないと分かりません。
つまり、治療前に「今回は神経を抜きません」と約束することができないのです。そのため「どうしても神経を抜きたくない」という方は、別の矯正治療も同時に検討することをおすすめします。
綺麗な歯並びを実現するためには、セラミック矯正以外にワイヤー矯正やマウスピース矯正があります。最近は、特にマウスピース矯正が人気です。針金が目立つワイヤー矯正と異なり、矯正装置が目立ちません。このように、歯並びを治す手段は1つではないのです。
患者さまの健康を第一に考える歯医者であれば、カウンセリング時に神経を抜くデメリットについて必ず伝えますし、他の治療法も提案します。「神経を抜くのはどうしても避けたい…」とお考えの方は、他の治療法も併せて検討し、ご自身にとって最善の選択を取れるようにしましょう。
当院の院長は日本審美歯科学会の認定医であり、セラミック矯正の経験も豊富です。かつ、インビザラインプラチナ認定ドクターでもあるので、マウスピース矯正の認定医でもあります。
両方に対応できる技術と経験がありますので、あなたにふさわしい治療方法の提案ができると思いますので、安心してお任せください。
まとめ:セラミック矯正で抜いた神経は元に戻らないので慎重に
今回は、セラミック矯正で神経を抜く際のデメリットについて解説しました。セラミック矯正治療のすべての症例で神経を抜くわけではありません。
しかし、神経を抜かなくて大丈夫だろうと思っていた場合でも、歯を削り始めた後に「やっぱり神経を抜く必要がある」と伝えられることも。
そのため、セラミック矯正を行う方は皆が皆、神経を抜くデメリットを治療前に理解する必要があります。
神経を抜くと、歯の寿命が短くなったり、虫歯などの口内の疾患に気づきにくくなったりと、歯の健康に悪影響を及ぼします。セラミック矯正治療後すぐには、これらのデメリットによる影響はないかもしれません。しかし、年月が経った時に、歯を抜かなければいけなくなる可能性もあります。1度抜いた神経は元に戻せないので、ぜひ治療前には慎重になってくださいね。
ただし最近は、セラミック素材の進歩のおかげで被せ物を薄く作製することが可能になり、神経を抜かなくても良いケースが増えつつあります。最新設備が整っていてセラミック矯正の実績が多い歯医者を選べば、神経を抜く確率を下げられるでしょう。
当院では、セラミック矯正で綺麗な歯並びを目指す皆さまの歯の健康も、もちろん考慮して治療に臨んでいます。マイクロスコープなどの最新設備もしっかり整えていますので、ぜひ下記よりお気軽にお問い合わせください。