インプラント治療を検討している方にとって、「人工歯の見た目はどうなるのか」「どんな素材から選べるのか」は大きな関心事のひとつです。
インプラントにおける「被せ物(上部構造)」は、単なる“詰め物”ではなく、審美性・耐久性・清掃性など多くの要素に関わる重要なパーツです。
しかし、実際には「何種類あるのか分からない」「素材の違いがよく分からない」「おすすめはどれ?」といった疑問を持つ方も多く、治療後に「もっと調べておけばよかった…」と後悔されるケースも見受けられます。
本記事では、以下のような内容について詳しく解説します。
- インプラントの被せ物にはどんな種類があるのか
- 素材ごとのメリット・デメリット
- 見た目・強度・価格の比較ポイント
- 当院が患者様ごとに素材を選び分ける基準
見た目の自然さ、噛み心地の快適さ、将来のメンテナンス性など、さまざまな要素に影響する「被せ物の選び方」。
大阪でインプラント専門治療を行う帝塚山スマイルデザインクリニックが、素材選びで後悔しないための知識をわかりやすくお届けいたします。
目次
インプラントの被せ物(上部構造)とは?

インプラント治療は、大きく分けて3つのパートで構成されています。
- 顎の骨に埋め込む「インプラント体(フィクスチャー)」
- インプラント体と被せ物をつなぐ「アバットメント」
- お口の中に見える「被せ物(上部構造・人工歯冠・補綴など)」
このうち「被せ物(上部構造)」は、見た目や噛み心地に直結する最も表面的なパーツであり、患者さまが日常生活のなかで直接目にし、使用する部分です。
被せ物は“見た目”と“機能性”の要になる
被せ物は、いわゆる「人工歯」の役割を担います。
天然歯と同様に、
- 噛む(咀嚼する)機能
- 会話・発音の補助
- 自然な見た目(審美性)
- 唇や頬を内側から支える役割(口元の輪郭保持)
などを果たします。
とくに前歯部のインプラントでは、見た目の自然さや透明感が審美的満足度に大きく関わるため、被せ物の素材選びが非常に重要です。
一方で、奥歯のインプラントでは、噛む力への耐久性や、すり減りにくさといった機能面が重視される傾向があります。
素材によって治療費・強度・見た目が大きく異なる
インプラントの被せ物には、さまざまな素材が存在しており、それぞれにメリット・デメリットがあります。
代表的な素材には以下のようなものがあります:
- ジルコニア
- セラミック(e.maxなど)
- メタルボンド
- ハイブリッドセラミック
- レジン(※保険適用で使われるがインプラントには非推奨)
素材によって、
- 見た目の透明感や色味の再現性
- 割れやすさ・欠けやすさ
- 変色の有無
- 噛み合わせへの影響
- 長期的な耐久性や再製作のしやすさ
が大きく異なるため、単に「高いものがいい」「白ければOK」という判断はおすすめできません。
インプラントの被せ物にはどんな種類がある?

インプラントの被せ物(上部構造)には複数の種類があり、見た目・強度・価格・耐久性といった観点でそれぞれ特徴が異なります。
ここでは、代表的な5つの素材について、それぞれの特徴を詳しく解説します。
ジルコニアクラウン|強さと美しさを兼ね備えた高性能素材
近年もっとも多く使用されているのが、ジルコニア(人工ダイヤモンドの一種)で作られた被せ物です。
特徴
- 非常に高い耐久性を持ち、奥歯でも割れにくい
- 金属を使用しないため、金属アレルギーの心配がない
- 色調の再現性に優れており、前歯にも対応可能
- 汚れが付きにくく、長期的に美しさを保ちやすい
注意点
- 透明感や色の“やわらかさ”という点では、セラミックにやや劣る
- 硬すぎるため、対合歯(噛み合う歯)を傷つける可能性がある
ジルコニアは、審美性と強度のバランスを取りたい方に適した素材で、当院でも第一選択として採用することが多いです。
オールセラミッククラウン(e.maxなど)|天然歯に近い透明感
オールセラミックは、金属を一切使わずにセラミックのみで作られた被せ物です。
特徴
- 透明感と艶が高く、天然歯に非常に近い見た目
- 前歯など審美性が求められる部位に最適
- 金属アレルギーのリスクがない
- 歯ぐきの黒ずみが起こりにくい
注意点
- 強度はジルコニアよりやや劣り、奥歯には不向きな場合もある
- 強い衝撃や咬合力で割れるリスクがある
とにかく見た目にこだわりたい方には、オールセラミックが最適です。
メタルボンドクラウン|実績豊富な“金属+セラミック”の定番素材
メタルボンドは、金属のフレームにセラミックを焼き付けた構造のクラウンです。
特徴
- 歴史と実績があり、汎用性が高い
- 強度が高く、前歯〜奥歯まで対応可能
- 色調はある程度調整可能
注意点
- 金属アレルギーの懸念がある
- 歯ぐきが下がると金属の縁が見えることがある
- セラミックが剥がれる(チッピング)のリスクあり
近年では金属アレルギーを懸念してジルコニアへ移行する傾向が強まっていますが、重度の咬合力がかかる症例では選択肢となることもあります。
ハイブリッドセラミッククラウン|セラミックとレジンの中間素材
セラミックとレジンを混合して作られた、中強度・中価格帯の素材です。
特徴
- 柔らかく、対合歯にやさしい
- 色調はある程度自然で、やや透明感がある
- 価格が比較的安価
注意点
- 長期使用で変色・摩耗しやすい
- 高い審美性や耐久性を求める場合には不向き
当院では、費用を抑えたい奥歯の単冠などに限定して検討する素材としています。
レジン前装冠(保険対応)|インプラントには基本的に不向き
保険治療でよく使われるレジン前装冠(プラスチック+金属)は、インプラントでは原則として使用しません。
主な理由
- 強度が不足しており、割れやすい
- 時間経過で変色しやすい
- 審美性が低く、口元の印象に大きく影響
インプラントは「長く使う」ことが前提の治療ですので、初期費用を抑えるために不適切な素材を選ぶことは、結果的に損失となる可能性があります。
被せ物の選び方で後悔しないために知っておきたいこと

インプラントの被せ物は、一度装着すれば10年、20年と使い続ける前提で選ぶものです。
そのため、「とりあえず安いものでいい」「おすすめって言われたから…」といった安易な選び方は、後悔につながりかねません。
ここでは、後悔しないために知っておくべきポイントを、具体的にご紹介します。
見た目だけで選ばない|「機能性」も大切な判断基準
審美性を重視するあまり、前歯に非常に透明感の強い素材を使ったものの、割れやすくて再製作になったという例は少なくありません。
逆に、奥歯に“とにかく強い素材”を選んだ結果、噛み合う天然歯を削ってしまったというケースもあります。
被せ物選びで大切なのは、見た目と機能性のバランスです。以下のような視点を持つとよいでしょう。
- 前歯:透明感・色の再現性・歯ぐきとのなじみ
- 奥歯:咬合力への耐久性・摩耗性・対合歯への配慮
また、どの部位に何本インプラントを入れるかによっても、適した素材は変わってきます。
被せ物の構造と「装着方式」も意外と重要
見落とされがちなのが、被せ物の装着方式(スクリュー固定 or セメント固定)です。
- スクリュー固定:取り外しが可能。メンテナンス性に優れ、清掃しやすい。
- セメント固定:審美性に優れるが、外れたときの再装着が難しい。
被せ物の種類によって、どちらの装着方式が適しているかが変わるため、素材だけでなく装着方式の選択も治療設計に含まれるべき要素です。
メンテナンスのしやすさも素材によって異なる
たとえば、ジルコニアクラウンはプラークが付きにくく、セルフケアがしやすいというメリットがありますが、
一方でハイブリッドセラミックなど柔らかい素材は、歯垢が付着しやすく、細かい清掃が必要になる場合もあります。
つまり、「毎日のケアにかけられる時間」や「歯科医院でのメンテナンス頻度」など、ライフスタイルに合わせた素材選びも重要な視点なのです。
安さだけで選ぶと、将来的に“高くつく”ことも
初期費用を抑えるために安価な素材を選んだ結果、
- 見た目に不満が残る
- 何度も欠けて作り直しが必要になる
- 清掃しにくくなり、周囲の歯ぐきが炎症を起こす
といったトラブルに発展し、かえって総費用が高くなるケースも少なくありません。
インプラントは“長期使用”が前提ですので、総合的な満足度で判断することが後悔しない選び方です。
当院の考え方|「おすすめの素材」は患者さまごとに異なります
帝塚山スマイルデザインクリニックでは、被せ物の選択において一律に「この素材がベストです」とは言いません。
なぜなら、以下の要素が一人ひとり異なるからです。
- どの部位にインプラントを入れるか(前歯 or 奥歯)
- 見た目のこだわり
- 咬合力の強さ
- 清掃のしやすさ
- 金属アレルギーの有無
- ご予算
これらを総合的に考慮しながら、審美性・機能性・耐久性・費用対効果のバランスがとれたご提案を行っています。
まとめ:被せ物の種類選びがインプラントの満足度を決める

インプラント治療を成功させるためには、骨の埋入手術やアバットメントの精度だけでなく、最終的に装着する「被せ物(上部構造)」の選択が極めて重要です。
見た目・噛み心地・長期的な使いやすさ。そのすべてが、どの素材を選ぶかにかかっていると言っても過言ではありません。
被せ物の種類には、ジルコニア・オールセラミック・メタルボンド・ハイブリッドセラミックなど、さまざまな選択肢があります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、「どれが一番いい」ではなく、「あなたにとって何が最適か」を見極めることが大切です。
- 見た目を優先したいのか
- 奥歯で長く使える強さを重視したいのか
- 清掃性やメンテナンス性も気になるのか
- 金属アレルギーへの不安はあるか
こうした点をふまえて、専門的な視点で素材を選び分けることが、後悔のないインプラント治療への第一歩となります。
帝塚山スマイルデザインクリニックでは、豊富な被せ物素材の取り扱いと、精密な設計・技工の実績をもとに、患者さま一人ひとりに合わせた最適なご提案を行っております。
「どの素材が合っているか分からない」「被せ物で失敗したくない」
そうしたお悩みをお持ちの方は、ぜひ当院へご相談ください。
“見た目も機能も満足できる”インプラント治療を、私たちが全力でサポートいたします。
【執筆・監修者】

帝塚山Smile Design Clinic(スマイルデザインクリニック)
院長:岩下太一(歯学博士)
ITI日本支部公認インプラントスペシャリスト認定医
オステムインプラントインストラクター 講師
日本審美歯科学会 認定医
他、所属学会、認定資格多数
充実した無料カウンセリング

初回費用は一切かかりません。安心してご相談ください。
当院では患者様に安心してインプラント治療を受けて頂くために、無料カウンセリングを充実させております。お口の中のお写真やレントゲン写真、場合によってはインプラントの骨を確認するためのCT撮影も無料で行います。もちろん、初回なので一切費用はかかりません。患者様に今のお口の状態を知って頂き、納得してインプラント治療を受けて頂くことが私たちの喜びです。
ITIインプラントスペシャリスト認定医

~ 世界レベルのインプラント治療をあなたへ ~
帝塚山スマイルデザインクリニックの院長はインプラント治療を他の歯科医師に教えるインストラクターの指導的立場として歯科界に貢献しております。また世界的に有名なインプラント学術団体のITI(International Team for Implantology)の日本支部公認インプラントスペシャリストの認定医でもあります。他院で難しいと言われたインプラント治療でも当院では十分に対応できる技術があります。