オールオン4は、すべての歯を失った方や「歯がボロボロでもう限界…」という方の選択肢となる治療法です。

ただ、すぐに決められないというのも当然のこと。入れ歯や複数本のインプラントなど、他の方法と何がどう違うのか、気になる方も多いはずです。

このページでは、オールオン4とその他の代表的な治療法(総入れ歯・フルインプラント・オーバーデンチャー)を比較しながら、それぞれの特徴をわかりやすく解説しています。

いずれの治療も当院で対応可能です。どの治療が合うかは、患者様のお口の状態やご希望によって変わります。

だからこそ、オールオン4を前向きに検討している方にも、今いちど他の治療法との違いを知っていただきたいのです。

全部の歯を失った方のための4つの治療法

※この表はスクロールできます

総入れ歯 フルインプラント インプラントオーバーデンチャー オールオン4
固定性 ×
外れやすい

しっかり固定される

ほとんど外れることはない

しっかり固定される
咬む力 ×
天然歯の約1/5

天然歯とほぼ同程度

(中程度)

天然歯とほぼ同程度
見た目の自然さ
手術の有無 不要 必要 必要 必要
痛みや身体への負担
手術を行わないため痛みもない

埋入本数が多いため痛みや負担が生じやすい

埋入本数が少ないため痛みや負担も少ない

埋入本数が少ないため痛みや負担も少ない
トラブル時の対応
入れ歯だけの修理で対応可能

部分的な修理が可能

入れ歯部分だけの修理で対応可能

一体型のため部分的な修理は難しい
メンテナンス性
取り外して洗える

専用の清掃が必要

取り外して洗えるが専用の清掃も必要

専用の清掃が必要
費用の目安 数万円〜数十万円 片顎300万円〜400万円以上 片顎100万円前後 片顎250万円前後

1.オールオン4(All-on-4)

feature

当院が専門的に対応しているオールオン4は、すべての歯を失った場合でも、できるだけ少ない本数のインプラント(通常4〜6本)で片顎を支えることを目的とした治療法です。

インプラントを埋入したその日のうちに仮歯を装着できるケースもあり、「すぐに歯が入る」「短期間で社会生活に復帰できる」といった点が大きな魅力です。

また、当院ではすべての症例にサージカルガイドを使用し、歯茎へのダメージを最小限に抑えるデジタル歯科治療を導入。「痛みが怖い」「歯科治療が苦手」という方にも安心して選んでいただける体制を整えています。

上部構造は一体型となっているため、高い安定性と審美性を兼ね備えつつ、トラブル時には全体交換が必要になる可能性があるという点はあらかじめご理解いただく必要があります。

それでも、費用・手術の負担・仕上がりの美しさのバランスを考慮したとき、多くの患者様が「これなら前向きに治療できる」と選ばれているのが、オールオン4なのです。

2.総入れ歯(フルデンチャー)

feature

もっとも古くからある治療法で、手術を伴わずに比較的安価に行えるのが特徴です。外科処置に抵抗がある方や、予算的に抑えたい方が選択されることもあります。

ただし、安定性や咬む力の面では大きな制限があるのが実情です。装着中にずれたり、外れたりすることもあり、天然歯と比べて咬合力は大幅に低下します。

また、見た目や話しづらさ、日々のケアの煩わしさを理由に、最終的には固定式の治療へ移行される方も少なくありません。

3.インプラントオーバーデンチャー

feature

「入れ歯は不安定で不便だけれど、インプラントは本数が多くて負担が大きそう…」そんな方に適しているのが、インプラントオーバーデンチャーという選択肢です。

これは、数本のインプラント(通常2〜4本)を埋入し、それを固定源として入れ歯を安定させる治療法です。入れ歯は着脱式で、日々のお手入れがしやすいというメリットがあります。

見た目や噛み心地の点では、固定式インプラントにやや劣るものの、「外れない」「しっかり噛める」入れ歯として、従来の総入れ歯よりも圧倒的に安定性が高く、会話や食事に対するストレスを大きく軽減することができます。

一方で、入れ歯の構造上、人工歯部分のボリュームがやや大きくなるため、違和感を覚える方もいらっしゃいます。審美性や快適性を最優先される場合は、固定式の治療法との比較検討が必要です。

4.フルインプラント(多数本のインプラント埋入)

feature

歯を失った部分ごとにインプラントを埋入し、その上にブリッジを装着する治療法です。

オールオン4のように片顎すべてを一体化せず、通常3ブロックほどに分けて上部構造を設計するため、トラブルが発生した際も一部のみの修理や交換が可能で、長期的な費用や治療の負担が抑えられることがあります。

咬合力や見た目の自然さは非常に高く、全顎治療としての完成度も高い方法です。ただし、インプラントの本数が多くなり、外科手術の負担や費用が大きくなる点には注意が必要です。また、骨の状態によってはこの治療法を選べないこともあります。

歯がないまま放置するとどうなるのか?

「噛めなくて不便だけど、まあ仕方ない」「痛くないから放置している」

歯を失っても、そのまま過ごしてしまっている方は少なくありません。しかし、歯がない状態を放置することは、見た目だけでなく、噛む・話す・健康を守るといった多くの面で大きな影響を及ぼします。

ここでは、歯がボロボロになった状態、またはすべての歯を失った状態を放置することで起こる主な変化を解説します。

見た目や表情の変化

feature

歯がなくなると、まず顕著に表れるのが見た目の変化です。

特に上顎の前歯や奥歯を失うと、口元がへこむ・シワが増える・顔全体が老けた印象になるといった変化が起こりやすくなります。

歯は、唇や頬を内側から支える役割も果たしています。

その支えがなくなると、筋肉がたるみ、いわゆる“老け顔”になってしまうのです。

また、歯が抜けた隙間を隠すために自然と口を開けなくなる方も多く、表情の硬さ・自信のなさにもつながります。

噛み合わせの悪化・顎の骨の吸収

feature

歯がなくなると、単純に「噛めない」だけではありません。

長期的には、残された歯が動いたり傾いたりして、噛み合わせ全体が崩れてしまうことが多いです。

さらに深刻なのは、「歯を支える顎の骨(歯槽骨)」の吸収です。

歯が抜けた場所には咬む刺激が伝わらなくなり、それによって骨は徐々に痩せていきます。これを骨吸収と呼びます。

骨が痩せると、将来的にインプラントなどの固定式治療ができなくなる可能性が高まり、入れ歯も不安定になりやすくなります

身体全体への悪影響

feature

歯の喪失は、お口の中だけの問題ではありません。噛む力が失われると、食事の内容が制限され、栄養の偏りや咀嚼力の低下が健康リスクに直結することもあります。

特に高齢の方においては、咀嚼能力の低下が認知症などの進行と関連しているという研究報告もあります。また、「話しにくい」「滑舌が悪くなる」といった機能面の変化も、社会的なコミュニケーションの減少を招きやすくなります。

つまり、歯がないことを“そのままにしている”こと自体が、健康寿命にまで影響を与える可能性があるのです。

このように、歯を失った状態を放置することは、「見た目が気になる」だけでは済まされません。

治療のタイミングが遅れるほど、選べる治療法が限られてしまったり、費用や手間が増えてしまうこともあります。

インプラントや入れ歯にも共通する注意点

フルインプラント、オールオン4、インプラントオーバーデンチャー、入れ歯、どの治療法にもメリットとデメリットがあります。
治療を選ぶうえで重要なのは、「どれが一番良いか」ではなく、「自分に合った方法を、正しく理解して選ぶこと」です。
ここでは、治療法ごとの違いにかかわらず、共通して意識しておくべきポイントをご紹介します。

清掃性とメンテナンス

どの治療法においても欠かせないのが、「清掃のしやすさ=清掃性」です。

歯が失われた箇所を補う構造は複雑になりやすく、プラーク(歯垢)がたまりやすい部位が増える傾向にあります。

  • インプラント(オールオン4・オーバーデンチャー含む)
    ∟人工歯と歯茎の境目にプラークがたまりやすい
  • 入れ歯
    ∟歯肉との接触面の洗浄不足が炎症の原因になる

特にインプラントでは、プラークの放置が「インプラント周囲炎」という深刻なトラブルを引き起こす原因になります。治療後は歯ブラシに加えてフロス・歯間ブラシ・専用の清掃器具なども使い、清掃性を維持することが大切です。

噛み合わせや負担の分散

すべての歯を補う治療では、「噛み合わせのバランス」も非常に重要なポイントです。咬合力(噛む力)が偏ると、次のようなトラブルが起こりやすくなります。

  • 一部の人工歯やインプラントに負担が集中して壊れやすくなる
  • 顎関節に負荷がかかり、痛みや開口障害を起こす
  • 入れ歯が浮いたりズレたりする

当院では、治療前の診断において咬合バランスを細かく評価し、噛み合わせまで見据えた治療計画を立てています。

治療後のリスクを防ぐポイント

どの治療法にも共通して、「治療が終わってからがスタート」という考え方が必要です。

再治療を防ぐために意識すべきポイントには、次のようなものがあります。

  • 定期的なメンテナンス(最低でも半年に1回)
  • 装着物のチェックと清掃状態の確認
  • 噛み合わせの調整や修正

治療が成功しても、その状態を長く保つためには患者さんご自身によるケアと、医院によるサポートの両方が欠かせません。

どの治療を選ぶ場合でも、「一度つければ安心」ではなく、「正しく使い、正しく保つ」ことが、長期的な成功の鍵となります。

治療法を選ぶ際に知っておきたいリスクと向き不向き

すべての歯を補う治療法にはいくつかの選択肢がありますが、「誰にでも最適な万能な治療法」というものは存在しません。

それぞれの治療には、適応できる条件・起こりうるリスク・長期的な課題があります。 ここでは、主な治療法の向き不向きやリスクについて、具体的にご紹介します。

オールオン4が向いている方・向いていない方

オールオン4が向いている方

  • 歯をほとんど失っていて、総合的な治療を必要としている方
  • 骨の吸収が進んでいても、傾斜埋入によって対応できる方
  • 固定式の歯で、入れ歯に煩わされずに生活したい方
  • 手術日当日に歯を入れて、早く社会生活に復帰したい方

オールオン4が向いていない方

  • インプラント自体に大きな不安がある方(特に外科手術への抵抗が強い場合)
  • 日々のセルフケアや定期メンテナンスをしっかり行うのが難しい方
  • 上下の噛み合わせや顎関節に複雑な問題を抱えている方

また、オールオン4は上部構造が一体型のため、破損や緩みが生じた際に“部分的な修理が難しい”というデメリットもあります。

総入れ歯・インプラントオーバーデンチャー・フルインプラントのリスクと適応

ほとんどの歯を失ったケースで、オールオン4以外の治療法の向き不向きについても見てみましょう。

総入れ歯(フルデンチャー)

【向いている方】

  • 手術を希望されない方、もしくは全身疾患等で外科処置が難しい方
  • 比較的短期間・低予算で治療を完了させたい方

【リスク・注意点】

  • 噛む力は天然歯の約1/5程度で、硬いものや滑舌に不便が生じやすい
  • 顎の骨が年々痩せてくる(骨吸収)ため、装着感が悪化していく
  • 見た目や話し方に不自然さを感じる方も多く、心理的なストレスが残ることもある

インプラントオーバーデンチャー

【向いている方】

  • 入れ歯では不安定さが気になるが、固定式までは求めていない方
  • 少ない本数のインプラントで安定性を向上させたい方
  • 着脱式で清掃をしっかり行いたい方

【リスク・注意点】

  • 咬合力はフルインプラントに劣り、食事の制限がある場合も
  • アタッチメントの劣化により定期的な交換・調整が必要
  • 骨の状態に応じてインプラントの本数や位置に制限が出ることがある

フルインプラント(多数本のインプラント埋入)

【向いている方】

  • 固定式の人工歯で、自然に噛む・話す・笑うことを希望される方
  • 顎の骨の状態が良好で、多本数のインプラントが可能な方
  • 長期的な使用・安定性を重視し、費用や治療期間の面で余裕がある方

【リスク・注意点】

  • 手術の負担が大きく、骨造成(GBR)などの追加処置が必要になる場合もある
  • 治療期間が長期におよぶことがあり、途中で複数回の通院が必要
  • 費用は比較的高額で、症例によっては片顎で400万円を超えることもある

どの治療が合うかは、人によって違います

feature

同じように「歯がボロボロで全部治さなければならない」という状態であっても、どの治療が合うかは、骨の状態・生活スタイル・見た目に対する希望・費用の考え方などによってまったく異なります。

だからこそ、「どれが一番いいか」ではなく、「自分にとって何が一番合っているか」を知ることが大切なのです。

帝塚山スマイルデザインクリニックでは、オールオン4を専門的に行っておりますが、それ以外の治療法もすべて院内で対応可能です。

無理にオールオン4をすすめることはありませんので、どうぞご安心ください。

まずは無料カウンセリングで、じっくりご相談ください

どの治療を選ぶべきか悩んでいる。今の自分の状態で、そもそもインプラントは可能なのかが不安。そのようなご相談も、もちろん大歓迎です。

当院の無料カウンセリングでは、口腔内の状態を確認し、CTや口腔内スキャンを活用して、治療の選択肢を丁寧にご説明いたします。

ご希望があれば、オールオン4以外の治療法についてもメリット・デメリットを正直にお伝えします。

まずは知るところから始めてみませんか。

よくあるご質問(Q&A)

【治療の選択に関する質問】

歯が全部なくても、インプラント治療は可能ですか?

はい、可能です。歯が1本もない場合でも、オールオン4やインプラントオーバーデンチャーといった治療法で、複数の人工歯を支えることができます。骨の状態によっては制限があるため、CTなどの検査で適応を確認する必要があります。

オールオン4とインプラントオーバーデンチャー、どちらが良いのですか?

どちらが良いかは、お口の状態やご希望によって異なります。オールオン4は固定式で安定感が高く、見た目も自然です。一方、オーバーデンチャーは着脱式で清掃しやすく、手術の負担も比較的軽めです。それぞれの特徴を踏まえて、ご自身に合った方法を選ぶことが大切です。

骨が少ないと言われましたが、オールオン4はできますか?

はい、可能な場合があります。オールオン4は、骨が少ない部分を避けてインプラントを傾斜埋入できる設計のため、従来のインプラントよりも骨の条件に柔軟に対応できます。さらに、どうしても骨が必要な場合、当院では造ることも可能ですので安心してください。(ただし骨造成は治癒するのに数ヶ月時間が必要になる場合がございます。)詳細な診断で、適応できるかを判断します。

歯が数本だけ残っている状態でも、オールオン4は選べますか?

はい、選べます。残っている歯の状態によっては、一部の歯を抜歯してオールオン4に切り替えるケースもあります。「抜かずに残すべきかどうか」も含めて、ご希望に応じた診断とご提案を行います。

入れ歯が合わず困っています。インプラントに変えることはできますか?

可能です。入れ歯の不快感や外れやすさが原因で、インプラントへの切り替えを検討される方は非常に多いです。インプラントによって、安定性・見た目・噛み心地の改善が期待できます。

【治療期間・通院に関する質問】

治療にはどのくらいの期間がかかりますか?

症例によりますが、オールオン4の場合は初回相談から仮歯の装着まで最短1ヶ月以内で完了することもあります。最終的な人工歯が入るまでには、通常3〜6ヶ月ほどかかります。

オールオン4は本当に1日で歯が入るのですか?

はい、可能です。条件が整っていれば、インプラントを埋入したその日に仮歯を装着できます(即日荷重)。事前の診断と準備が重要になります。

通院の回数はどれくらい必要ですか?

初診から手術・仮歯装着・最終補綴物の装着まで、最低でも4〜6回程度の通院が必要です。その後も、定期的なメンテナンスにお越しいただくことをおすすめします。

遠方からでも通えますか?

はい、遠方からのご来院も可能です。当院では初回相談から手術・仮歯装着までをできるだけ少ない来院回数で完結できるよう配慮しております。通院スケジュールもご相談ください。

治療当日に仕事は休んだほうがいいですか?

はい、できればお休みをとることをおすすめします。手術後は身体がだるく感じたり、軽い腫れが出ることもあるため、1日安静に過ごせるよう準備しておくと安心です。

【手術や身体への負担について】

手術は痛いですか?腫れや出血はどの程度ありますか?

手術中は麻酔を使用するため、痛みはほとんど感じません。また手術が怖い場合には、静脈内鎮静法を使用することで、うとうと眠っているような状態で手術を受けていただくことが可能です。

術後は軽い腫れや鈍痛が出ることがありますが、数日〜1週間程度で落ち着くことがほとんどです。

全身疾患(糖尿病・高血圧など)があってもインプラントは可能ですか?

はい、コントロールされていれば可能な場合があります。持病がある方は、主治医との連携や事前の全身評価を行ったうえで、安全に治療を進めていきます。

高齢でも手術を受けられますか?

年齢だけで制限されることはありません。70代以上の方でもオールオン4を受けている方はいらっしゃいます。重要なのは全身の健康状態と顎の骨の状態です。

手術が怖いのですが、静脈内鎮静は使えますか?

はい、当院ではご希望の方はインプラント手術に静脈内鎮静を使用しています。うたた寝しているような感覚で、手術中の記憶がほとんど残らず、恐怖心が強い方でも安心して受けていただけます。(追加費用がかかってきます)