インプラント治療に関心はあるものの、「どのような種類があるのかよくわからない」と感じる方も多くいらっしゃいます。実際、インプラントには構造・素材・形状・メーカーなど、さまざまな分類が存在し、患者さま一人ひとりの骨の状態やご希望によって、最適な種類が異なります。
また、近年では骨量が少ない方にも対応できるショートインプラントや、全顎的な治療を可能にする特殊な設計など、多様なニーズに応える技術が進化しています。しかし、インプラントの種類を「自分で選ぶ」のは難しく、信頼できる歯科医院での丁寧な診断と説明が欠かせません。
本記事では、インプラントの代表的な種類や、それぞれの特徴・適応・メリットについてわかりやすく解説いたします。
「自分に合ったインプラントを選びたい」「納得して治療に進みたい」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
インプラントの種類とは?基本分類と特徴

インプラント治療は「人工歯根を埋める手術」として一括りにされがちですが、実は使用されるインプラント体にもさまざまな種類と設計の違いがあります。
インプラントの形状や構造が異なることで、手術方法・治療期間・予後の安定性などにも差が生じます。
その中でも代表的な分類として、「ワンピース vs ツーピース」や「スクリュー型 vs シリンダー型」があります。
ここでは、インプラントの構造による分類と、それぞれの特徴についてご紹介します。
ワンピースとツーピースの違い
インプラント体は、大きく分けてワンピースタイプとツーピースタイプの2種類があります。
ワンピースインプラント
- インプラント体とアバットメント(土台)が一体化している
- 手術回数が1回で済むことが多い
- シンプルな構造で費用や治療期間を抑えられる場合もある
- 角度調整が難しく、適応症例が限られる
ツーピースインプラント
- インプラント体とアバットメントが分離している
- 手術後に土台の角度や深さを調整しやすい
- 多くの症例に対応でき、現在の主流タイプ
- 治療期間がやや長くなる傾向がある(2回法)
現在では、症例の柔軟性や仕上がりの安定性からツーピースインプラントが主流ですが、
症状や治療計画によっては、ワンピースタイプが適しているケースもあります。
スクリュー型とシリンダー型の特徴
インプラント体の形状によっても、その特性や埋入方法に違いがあります。
スクリュー型インプラント
- ネジのように骨にねじ込む構造
- 初期固定が得やすく、治療の成功率が高い
- 骨としっかり結合することで長期安定性に優れる
- 現在のインプラントの大多数を占める
シリンダー型インプラント
- ネジ山のない円筒状の形をしている
- 過去には広く使用されていたが、現在では限定的
- 骨質によっては初期固定に不利になることも
- 手術の難易度や術後の安定性に課題がある場合も
現在では、より確実な初期固定や長期的な安定性を重視し、スクリュー型が選ばれる傾向にありますが、
治療計画や骨の条件によっては、シリンダー型が適している場合もあります。
素材によるインプラントの違い

インプラント体には、主に「チタン」と「ジルコニア」という2種類の素材が使用されています。
素材の違いは、体とのなじみやすさ(生体親和性)、審美性、強度、金属アレルギーのリスクなどに関わってくるため、
患者さまのご希望や体質に応じた選択が重要です。
ここでは、それぞれの素材について詳しく見ていきましょう。
チタン製インプラントの特性
チタンは、インプラントの素材として最も一般的に使用されている金属です。
主な特長
- 生体親和性に優れ、骨としっかり結合しやすい(オッセオインテグレーション)
- 腐食やサビに強く、口腔内でも長期間安定
- 医療分野でも人工関節などに幅広く用いられており、実績が豊富
- 強度が高く、咬合力の強い方にも対応可能
こうした理由から、世界中で広く採用されている安心・安定の素材といえます。
ただし、ごくまれに金属アレルギーの懸念がある場合や、より自然な見た目を重視したいケースでは、別素材を検討することもあります。
ジルコニア製インプラントの特徴と利点
ジルコニアは、セラミックの一種である白色の高硬度素材です。
近年では「メタルフリー治療」や「審美性の向上」を希望される患者さまから注目されています。
主な特長
- 金属を使用していないため、金属アレルギーの心配がない
- 白色素材なので、歯ぐきの薄い方でも見た目が自然
- 耐腐食性が非常に高く、衛生面でも優れている
一方で、チタンに比べると骨との結合性や耐久性に関しては評価が分かれることもあり、症例によっては慎重な判断が求められます。
ジルコニアインプラントはすべてのケースに適しているわけではありませんが、審美的な要求が高い前歯部や、金属アレルギーの既往がある方にとっては、有力な選択肢となるでしょう。
骨の状態に応じた特殊なインプラント

インプラント治療は、あごの骨にインプラント体を埋め込む手術であるため、
「骨の厚みや高さ」が治療成功の鍵を握る重要な要素となります。
しかしながら、長期間歯を失っていた方や重度の歯周病既往のある方では、
十分な骨量が確保できない場合も少なくありません。
そうしたケースでも対応できるよう、骨の状態に応じた特殊なインプラントも登場しています。
ショートインプラントとは
ショートインプラントとは、従来よりも短いインプラント体のことで、
あごの骨の高さが不足している方に対して使用されることがあります。
特徴と利点
- 骨移植やサイナスリフトなどの大きな外科処置を回避できる場合がある
- 治療期間が短縮されることもあり、身体的・経済的負担が軽減される
- 埋入部位の条件によっては、通常の長さのインプラントと同等の安定性が得られる
ただし、強度や噛み合わせのバランス、適応症例の見極めが非常に重要なため、
使用には専門的な診断と計画が欠かせません。
傾斜埋入やザイゴマインプラントの活用
骨が大きく失われているケースでは、「インプラントができない」と言われてしまうこともあります。
しかし現在では、傾斜埋入やザイゴマインプラント(頬骨インプラント)などの選択肢により、難症例でも対応が可能となってきています。
傾斜埋入の特徴
- インプラント体を斜め方向に埋め込むことで、骨がある部位を有効に活用
- オールオン4などの全顎治療で多く用いられる技術
- 骨造成の必要性を回避または最小限に抑えることができる
ザイゴマインプラントの特徴
- 上顎の骨が著しく不足している場合に、頬骨(ざい骨)にインプラントを固定
- 高度な技術と設備が必要なため、対応できる歯科医院は限られる
- 他院で「インプラントは難しい」と診断された方の希望となる可能性がある
これらの特殊インプラントを活用することで、従来であれば義歯しか選択肢がなかった方にも、固定式のインプラント治療が提供できるようになっています。
メーカーごとの違いはある?
インプラント治療に用いられる「インプラント体」は、世界中のさまざまなメーカーが製造・販売しており、
それぞれに構造・表面性状・適応範囲・研究実績などの違いがあります。
見た目には似ていても、「どのメーカーのインプラントを使うか」で治療の予後や対応のしやすさが左右されることもあるため、
歯科医院の選定時においても意識したいポイントの一つです。
世界的に信頼される主要メーカーの例
世界中には数百を超えるインプラントメーカーがありますが、実績や臨床研究が豊富な信頼性の高い企業はごく一部です。
ここでは、歯科医療界で広く使用されている代表的なメーカーをご紹介します。
ノーベルバイオケア(Nobel Biocare)
スウェーデン発祥。インプラントシステムの先駆け的存在で、オールオン4の技術開発でも有名。世界的なシェアと信頼性を持ち、日本国内の大学病院でも多く使用されています。
ストローマン(Straumann)
スイスの大手メーカーで、高い生存率と長期安定性の研究が豊富。表面性状の工夫により、骨との結合力の高さが評価されています。
アストラテック(Astra Tech)
スウェーデンの医療機器メーカーで、独自の表面処理と「骨のリモデリング」に配慮した設計が特長。繊細な骨にも優しいとされ、日本でも支持を得ています。
これらのメーカーは世界中で長年の使用実績があり、継続的な研究開発も進めているため、長期の治療に安心感を持てる選択肢といえます。
歯科医院によって採用するメーカーは異なる
どのメーカーのインプラントを使うかは、歯科医院の治療方針・設備・症例経験などにより異なります。
また、同じ医院内でも症例や目的に応じて複数のメーカーを使い分けることもあります。
信頼性の高いメーカーを採用していることは、治療後のアフターメンテナンスや部品交換の際の対応可能性にも影響するため、
不安な方は事前に医院へ相談してみるとよいでしょう。
当院がご提案するインプラントの選び方

インプラントの種類は非常に多岐にわたるため、「どれが自分に合っているのか分からない」と感じる方も多いかもしれません。
しかし、インプラント選びは単なる素材やメーカーの比較だけでは決まりません。
大切なのは、お口の状態・全身の健康状態・ライフスタイル・治療に対するご希望を総合的に見極めたうえで、
最適なインプラントを選択・設計することです。
骨量・噛み合わせ・全身状態を踏まえた選択
インプラントの種類や設計は、以下のような要素をもとに選定されます。
骨の厚み・高さ・密度(骨量)
⇒ 骨が少ない場合は、ショートインプラントや傾斜埋入、骨造成を検討
噛み合わせの状態・力の強さ
⇒ 咬合力が強い方には、高強度の素材や複数本の埋入が必要となる場合も
持病や服薬状況、生活習慣
⇒ 糖尿病や骨粗鬆症のある方では、術前の管理や素材の選択に配慮が必要
メンテナンスのしやすさ・将来の予測
⇒ 清掃性や修復のしやすさを考慮し、形状や連結方法を工夫
これらはすべて、事前の精密検査とカウンセリングを通じて明らかにされるため、「どんなインプラントが向いているのか」は患者さまごとに異なるのが実情です。
長期的な視点でのインプラント設計
インプラント治療は「入れて終わり」ではなく、10年後・20年後の健康を見据えた設計が求められます。
たとえば…
- 片側だけに力が集中しないように本数や位置を調整する
- メンテナンスしやすい構造にして将来のトラブルを予防する
- 加齢による骨の変化にも耐えられる強度を確保する
こうした視点は、患者さまごとの将来像を見据えた「診断力」と「設計力」があってこそ実現できるものです。
インプラントの種類やメーカーだけに注目するのではなく、「どのように使われるか」「どんな治療方針のもとで行われるか」こそが重要であると私たちは考えています。
まとめ:多様な種類のインプラントから最適なご提案を

インプラント治療には、見た目には分かりづらいながらも、非常に多くの種類やバリエーションが存在します。
構造(ワンピース/ツーピース)、形状(スクリュー型/シリンダー型)、素材(チタン/ジルコニア)、さらには骨の状態に応じた特殊な設計や、多種多様なメーカー製品。
これらを一人ひとりの状態やご希望に応じて最適に組み合わせることが、インプラント治療の質を左右するカギとなります。
重要なのは、「どの種類のインプラントが良いか」ではなく、「自分に合った種類が何か」を、歯科医師と十分に話し合いながら決めていくことです。
帝塚山スマイルデザインクリニックでは、精密検査と丁寧なカウンセリングを通じて、患者さまごとに最適な治療プランをご提案しています。
ご不安や疑問があれば、どんなことでも遠慮なくご相談ください。将来にわたり安心できるインプラント治療を、一緒に考えてまいりましょう。
【執筆・監修者】

帝塚山Smile Design Clinic(スマイルデザインクリニック)
院長:岩下太一(歯学博士)
ITI日本支部公認インプラントスペシャリスト認定医
オステムインプラントインストラクター 講師
日本審美歯科学会 認定医
他、所属学会、認定資格多数
充実した無料カウンセリング

初回費用は一切かかりません。安心してご相談ください。
当院では患者様に安心してインプラント治療を受けて頂くために、無料カウンセリングを充実させております。お口の中のお写真やレントゲン写真、場合によってはインプラントの骨を確認するためのCT撮影も無料で行います。もちろん、初回なので一切費用はかかりません。患者様に今のお口の状態を知って頂き、納得してインプラント治療を受けて頂くことが私たちの喜びです。
ITIインプラントスペシャリスト認定医

~ 世界レベルのインプラント治療をあなたへ ~
帝塚山スマイルデザインクリニックの院長はインプラント治療を他の歯科医師に教えるインストラクターの指導的立場として歯科界に貢献しております。また世界的に有名なインプラント学術団体のITI(International Team for Implantology)の日本支部公認インプラントスペシャリストの認定医でもあります。他院で難しいと言われたインプラント治療でも当院では十分に対応できる技術があります。