『インプラントは良く噛めると聞くが、高齢で行うのはあまり良くないのか?』
『シニア層にとって本当に良い治療ってなんなのですか?』
年齢を重ねるにつれて多くの方が歯周病などを原因にご自身の天然の歯を失っていきます。その際に治療の選択肢に上がるのは、『インプラント』『入れ歯』『ブリッジ』のいずれかです。
その中でもインプラントにご興味をお持ちの方は、何よりインプラントといえば『良く噛める』という点が魅力に感じられているかと思います。では高齢でインプラントをおこなうことにデメリットはないのでしょうか?
ここからは、インプラント治療が老後どのように影響するのか、シニア層に向けたインプラントの知識をご説明いたします。このページはITI日本支部公認インプラントスペシャリスト認定医の岩下院長が監修しているので、安心してご覧ください。
当院では徹底的に痛みに配慮したインプラント治療をご提供しております。手術の際の痛みを減らし、予後も良くなる治療を徹底することで、これまでインプラントに興味はあったけれどあと一歩が踏み出せなかったという方に、インプラント治療をお届けできるようになりました。また当院ではインプラントを検討されている患者様を対象に、無料でのカウンセリングを行っております。インプラントに不安や疑問がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
目次
老後を見据えた場合、インプラントはするべき?
現在まだお若く元気な方が当院にご来院くださると、『先生は老後を見据えて治療を選ぶなら、インプラントを選びますか?』といったご質問を受けることが良くあります。
このご質問に答える前に、インプラント治療を受けたことが老後にどのように影響するのか、メリットやデメリットについてご説明しようと思います。
まずは、老後を見据えてインプラント治療を行うメリットからご覧ください。
老後を見据えた際のインプラント治療のメリット
老後を見据えたインプラント治療には、主に以下のメリットがございます。
- 天然歯が少なくなっても良く噛める
- 歯列全体の健康を守り天然歯の脱落を防げる
- 見た目にも若々しさを維持できる
- よく噛めると認知症予防になる
以下でそれぞれ解説します。インプラント治療を行うことにはデメリットもございます。デメリットについてはこの後にご説明するので、そちらも必ずご覧ください。
①天然歯が少なくなっても良く噛める
インプラント治療を行うことで、老後に天然歯が減ったとしても、しっかりと食事を噛める状態を維持できます。歯が減ると当然ながら、食べ物を噛む機能は落ちてしまいます。特に食事の際には奥歯の機能が重要になりますが、同時に奥歯は最も多くの方が失ってしまう歯でもあります。
老後のことを考えた際に、奥歯のインプラント治療を受けることは、できるだけ長く食事を楽しめる生活の維持に繋がります。
②歯列全体の健康を守り天然歯の脱落を防げる
歯が抜けた状態で生活を続けると、周囲の健康な歯に悪影響を及ぼします。通常、片顎には14本の歯が生えていますが、そのうち1本が抜けて13本の歯だけで生活を続けると、本来抜け落ちた1本が受け止めていたはずの噛み合わせの負荷を、残った13本の歯が分担して受けることになります。
このような状態が続くと、歯列全体に本来以上の負荷がかかるため、健康だった天然の歯の寿命まで縮めることになってしまいます。
入れ歯やブリッジで対策をされる方もおられますが、これらの治療は周囲の歯を支えにしているため、負荷が分散されません。対してインプラントは顎の骨を支えに完全に独立するため、抜けてしまった歯の代わりの役割を果たし、歯列全体の健康を維持することに寄与できます。
ご高齢になっても健康な歯列を維持するためには、最初に歯が抜けてしまった時にインプラントで歯列を維持することがポイントとなります。※ただし歯が抜けた原因(歯周病など)の治療もしっかりと行う必要があります。
③見た目にも若々しさを維持できる
インプラント治療によって歯列を維持できれば、若々しい見た目を維持することができます。口を開けた時に見えない奥歯のインプラントも、お口元の膨らみを維持することに貢献しています。
またインプラントによって歯列全体の健康を維持できるようになれば、ご高齢になった時に歯がスカスカな見た目になることも防ぐことができます。
④よく噛めると認知症の予防になる
歯を失って咀嚼がうまくできなくなると、認知症の発症率が高くなることが知られています。もちろん認知症の原因は咀嚼力の低下以外にも複数ございますが、しっかりと噛める歯を保ち、咀嚼機能を維持することが、認知症予防につながることは事実です。
実際に、若年性の認知症の方のお口の中を検診すると、咀嚼機能が大幅に減少していたという話も良く聞きます。シニアになった自分が元気なままでいられるように、早めからインプラント治療で咀嚼機能の維持に取り組んでいる方も多くおられます。
インプラント治療をしたことで老後に起こるデメリット
老後を見据えたインプラント治療のメリットをご紹介しましたが、反面、インプラント治療を行ったことが老後にデメリットになる場合もございます。インプラントが老後に引き起こす問題は、以下の通りです。
- 高齢になるとインプラント周囲炎のリスクが高くなる
- 高齢の場合、インプラントが抜けると再治療が難しい
- 認知症になった際に、インプラントで口の中を傷つける可能性
- 介護が必要になった際にインプラントが邪魔になる可能性
以下でそれぞれ解説します。これらのデメリットを知らずに治療を行うと、高齢になった際にご自身だけでなく、家族や介護者の方にまで大変な思いをさせてしまう場合もあるので、必ずご確認ください。
①高齢になるとインプラント周囲炎のリスクが高くなる
高齢になると、インプラント周囲炎というインプラントの病気になるリスクが高まります。インプラント周囲炎は歯周病に似た症状で、症状が進行するとインプラントの周囲の骨が溶けてしまい、インプラントが抜け落ちてしまいます。
高齢になると免疫力が低下するため、インプラントの周囲組織が細菌に感染しやすくなります。また手先の器用さが徐々に失われていくと、歯磨きが上手くできなくなってしまうため、お口の衛生環境が維持できなくなることもあります。
インプラント周囲炎を防ぐためには、定期的な歯科医院でのメンテナンスも重要ですが、ご高齢になり歯科医院に通えなくなってしまうと、これもやはりインプラント周囲炎の発症リスクを高める一因になります。
②高齢の場合、インプラントが抜けると再治療が難しい
インプラント周囲炎などを原因としてインプラントが脱落してしまった場合、ご高齢の方は特に再治療が難しくなります。
インプラントは顎の骨に埋め込む必要がありますが、ご高齢になると顎の骨が痩せてしまっていたり、密度が下がってしまっていたりと、新たにインプラントを埋め込むには骨の状態が不十分である可能性が非常に高くなります。
インプラントが脱落するということは、骨がインプラントを支えられなくなったということです。そのため再治療の際には、骨の強度を高めるために、骨を再生させたり増やしたりする治療が必要になります。しかしこれらの治療には時間もかかり、体力的なご負担も大きいため、ご高齢の方には厳しい場合もございます。
このような事情で、ご高齢の方の場合、インプラントが一度抜けてしまうと再治療は非常に難しくなります。
③認知症になった際に、インプラントで口の中を傷つける可能性
認知症患者様の特徴として、ご自身で力のコントロールが難しくなることが挙げられます。そういった際に、歯が全てなくなっていると問題ないのですが、お口の中の片顎だけにインプラントが残っていると、強く食いしばってしまい歯茎を傷つけて出血するようなことがあります。
④介護が必要になった際にインプラントが邪魔になる可能性
認知症などを原因に介護が必要になった際、介護者がお口の掃除を行う時に、インプラントが邪魔になる可能性があります。
総入れ歯の方の介護を行う場合、入れ歯を外して入れ歯を洗浄するだけで、口腔内のケアはほぼ完了します。しかしインプラントが残っている場合は、インプラント付近の歯磨きが必要ですが、認知症患者様への歯磨きはとても難しく、患者様ご自身が嫌がってしまって上手く歯磨きができなかったり、インプラントだけが残ったお口の中を歯磨きするのはとても難しいことは容易く想像できるかと思います。
このように、ご高齢になった際にインプラントが残っていることで、ご家族や介護士さんなどに、苦労をかけてしまう場合がございます。
デメリットも多いですが私はインプラントを選択します
ここまで、ご高齢になった際のインプラント治療のメリットやデメリットについて解説いたしました。ここで一度、このページの最初で保留にした、『先生は老後を見据えて治療を選ぶなら、インプラントを選びますか?』というご質問にお答えします。
私は高齢になった際のデメリットを考えても、やはりインプラント治療を選択します。『これだけさまざまなデメリットがあるのに、なぜインプラントを選ぶの?』と疑問に感じる方も多いでしょう。
私がインプラントを選ぶ理由の一つは、これだけ多くのデメリットがあったとしても、メリットの大きさに惹かれるからです。充実したシニアライフを送るためには、やはりしっかりと噛める歯の存在は欠かせないと思います。もちろん入れ歯やブリッジといった治療もございますが、インプラントは唯一の顎と繋がった治療装置です。顎と繋がることによって、しっかり噛める、噛みごたえが食感としてしっかり伝わる、というのはインプラントにしかないメリットです。
そしてもう一つの理由が、デメリットの多くは事前に対策を考えておくことで、解消することができるからです。
高齢になってからのインプラントのデメリットを解消する方法
高齢になってからインプラントがお口の中に残っていることで、さまざまなデメリットがあるとお伝えしましたが、年齢やご自身の状態に応じた対処を行えば、これらのデメリットはほとんど打ち消すことができます。
例えば、インプラントを除去するのはかなり体への負担が大きいのですが、インプラントを除去せずに歯茎の中に埋めてしまうという方法があることはご存知でしたか?インプラントをスリープさせると言ったりするのですが、介護が必要になる前にインプラントをスリープさせてしまうことで、お口の清掃性を高めたり、認知症になってもインプラントでお口を傷つける可能性がなくなります。
また介護が必要な年齢ではないけれど、天然歯がほとんど残らず、インプラントだけが数本残ってしまっているという場合には、インプラントオーバーデンチャーという治療に切り替えるといった方法もあります。
インプラントオーバーデンチャーは、入れ歯に専用のアタッチメントをつけて、インプラントと入れ歯を接続することで、入れ歯をガッチリと固定して天然歯と遜色のないほどの噛みごたえを実現する治療法です。それまで『歯』として利用していたインプラントを、歯としての機能が難しくなった後には、入れ歯の固定源として活用することができます。
すでにお口の中に埋めてあるインプラントを転用するため、治療費用の負担も少なく、専用の入れ歯を製作するだけですぐにオーバーデンチャーが使用出るようになります。
このように患者様のシニアライフのライフステージに合わせて、インプラントオーバーデンチャーに転用したり、インプラントをスリープさせることで、インプラントのデメリットを打ち消してメリットを享受することが可能です。
このページをご覧の方のよくあるご質問
老後にインプラントが必要なくなった際は除去できますか?
はい、インプラントが不要になった際には除去することも可能です。ただしインプラントの人工歯根と顎の骨は、オッセオインテグレーションと呼ばれる特殊な結合をしており、除去の際にはかなり手間がかかります。天然歯を抜歯するように簡単には除去が行えません。そのためインプラントが不要になった際には、上部構造の人工歯などを外したうえで人工歯根はあえて除去せずに、そのまま顎の骨に埋め込んでしまうのが一般的かと思います。
アメリカではインプラントが減少していると聞いたのですが本当ですか?
アメリカでインプラントが減少しているという話は、私は聞いたことがありません。アメリカでは入れ歯やブリッジも全て自費治療なので、インプラントと費用の差がほとんどありません。そのためインプラントが治療の第一選択肢になりやすく、日本と比べてインプラントの普及率は高い傾向にあります。
先生も老後はインプラント治療を行うのですか?
私が歯を失った場合、100%絶対にインプラント治療を選択します。インプラントは自分の歯と同等、もしくは自分の歯より噛むことができる治療です。私の家族や親戚に私が歯科医師になる前に残念ながら入れ歯になった親族がいました。しかし、全員にインプラント治療をしましたが、今はみんな毎日たのしく食事をしており、本当にインプラントしてよかったと言っています。
老後にインプラントと入れ歯ならどちらを選べば良いでしょうか?
経済的な理由を横においておけるなら、インプラント治療をお勧めしまう。なぜなら、自分の歯と同じ力で食べ物を粉砕し、噛むことが可能だからです。ただ、経済的な理由ではなく、怖くてインプラント治療を選択されない人が多くいます。今はデジタル歯科治療を使用することで痛みを最小限におさえることが可能です。サージカルガイドによってインプラントを埋める最小限の『小さい穴』でインプラントをすることができるようになりました。そのような技術は特殊なクリニックしか導入していないので、近くの歯科医院以外もよく探されることをお勧めします。
ちなみに、インプラント治療を行っていないクリニックは、入れ歯をすすめることが多いです。入れ歯を否定しているわけではく、入れ歯とインプラントの2つの選択肢を平等に説明してくれる歯科医師、もしくはインプラントが出来ないのであればインプラントが得意な歯科医院を紹介してくれる歯科医師は、良心的だと思います。
まとめ:インプラントはシニアライフを充実させる助けになります
このページでは、高齢になった際にお口に中にインプラントがあるメリット・デメリットについてお話しました。インプラント、入れ歯、ブリッジとさまざまな治療があり、もちろん患者様一人一人のご希望や状況に応じて意見は変わりますが、私自身が高齢になった場合を見据えて治療を選択するのであれば、迷わずインプラントを選びます。
高齢になった際のことを考えずにインプラント治療に踏み切ってしまうと、さまざまな困り事に直面するかもしれません。その反面で、しっかりと高齢になった際のことまで考慮して治療を行えば、インプラントはシニアライフを充実させる助けになります。
ですので私は、高齢になってからもQOLをなるべく維持して、お口を通して自身の健康維持をするために、自分自身にもインプラント治療を行おうと考えています。
もちろん全ての歯科医院で高齢になった際のことまで考慮してインプラント治療を行っているわけではありませんが、当院では将来のご不安にまで寄り添ったインプラント治療をご提供いたします。
インプラント治療について、疑問や不安をお持ちの方のために、無料のカウンセリングも行っております。カウンセリングは、ITI日本支部公認インプラントスペシャリスト認定医の私が行います。お近くにお住まいの方は、ぜひ当院にお越しください。将来のためにインプラント治療を選んだ患者様の勇気ある選択を、必ず全力で応援させていただきます。
【執筆・監修者】
帝塚山Smile Design Clinic(スマイルデザインクリニック)
院長:岩下太一(歯学博士)
ITI日本支部公認インプラントスペシャリスト認定医
オステムインプラントインストラクター 講師
日本審美歯科学会 認定医
他、所属学会、認定資格多数
充実した無料カウンセリング
初回費用は一切かかりません。安心してご相談ください。
当院では患者様に安心してインプラント治療を受けて頂くために、無料カウンセリングを充実させております。お口の中のお写真やレントゲン写真、場合によってはインプラントの骨を確認するためのCT撮影も無料で行います。もちろん、初回なので一切費用はかかりません。患者様に今のお口の状態を知って頂き、納得してインプラント治療を受けて頂くことが私たちの喜びです。
ITIインプラントスペシャリスト認定医
~ 世界レベルのインプラント治療をあなたへ ~
帝塚山スマイルデザインクリニックの院長はインプラント治療を他の歯科医師に教えるインストラクターの指導的立場として歯科界に貢献しております。また世界的に有名なインプラント学術団体のITI(International Team for Implantology)の日本支部公認インプラントスペシャリストの認定医でもあります。他院で難しいと言われたインプラント治療でも当院では十分に対応できる技術があります。