「若いのに総入れ歯」と聞くと、大きなショックを受けたり、「恥ずかしいのではないか」と不安に感じてしまう方も少なくありません。けれども、実際には30代や40代、さらには50代といった比較的若い世代でも、総入れ歯が必要になるケースは決して珍しいことではないのです。
本記事では、なぜ若くして総入れ歯になるのかという原因や背景をわかりやすく解説するとともに、審美性や噛む力、精神的な影響といったデメリットについても触れていきます。そのうえで、見た目が自然な入れ歯や、インプラントを併用した「オーバーデンチャー」や「オールオン4」といった最新の治療法についてもご紹介いたします。
「若さと総入れ歯」というギャップに悩んでいる方に、少しでも安心して治療を選択していただけるよう、帝塚山スマイルデザインクリニック院長の岩下が解説いたします。
目次
若いのに総入れ歯になるのは珍しいことではない
「総入れ歯」と聞くと、多くの方が高齢者をイメージされるかもしれません。しかし、現実には30代や40代、さらには50代といった比較的若い世代でも総入れ歯になるケースは存在します。むし歯や歯周病が重度に進行してしまった場合や、事故などによる外傷、さらには遺伝的な要因によって、年齢に関わらず多くの歯を失ってしまうことがあるからです。
若い年代で総入れ歯になることは決して「特別な例」ではなく、実際に全国的にも一定数の方が治療を受けています。大切なのは「自分だけがおかしいのではないか」と思い込まないことです。年齢と治療方法のギャップに悩む方は少なくありませんが、医療の現場から見れば珍しいことではなく、適切に対処すれば生活の質を取り戻すことは十分に可能です。
この章では、まず「30代〜50代でも総入れ歯になるケースがある」という事実を整理し、続いて「恥ずかしいと感じる必要はない理由」、さらに「どのくらいの人が実際に若くして総入れ歯になっているのか」といった点を詳しく解説していきます。
30代〜50代でも総入れ歯になるケースはある
総入れ歯というと「高齢の方だけの治療」と思われがちですが、実際には30代や40代といった若い世代でも総入れ歯が必要になる場合があります。理由として多いのは、重度の歯周病や虫歯の多発によって歯を次々に失ってしまうケースです。歯科医の立場から見ても、症状を放置した結果として残せる歯がほとんどなくなり、義歯による治療を選ばざるを得ない患者様は珍しくありません。
また、事故や外傷で一度に多くの歯を失った方や、遺伝的な要因で歯の状態が弱い方も対象となります。「若いのに総入れ歯」と聞くと不安に感じるかもしれませんが、歯科医療の現場では決して稀なことではないのです。
保険診療の総入れ歯を選ぶ方もいれば、より自然に噛める種類の入れ歯やインプラントを併用した治療を検討する方もいます。いずれにしても、「自分だけ特別なのではないか」と思い込まず、まずは歯科に相談することが大切です。治療の方法は一つではなく、年齢に合わせた最適な選択肢を見つけることができます。
「恥ずかしい」と感じる必要はない理由
若いのに総入れ歯を検討することになった場合、多くの方がまず感じるのは「恥ずかしいのではないか」という気持ちです。確かに、年齢に比べて歯を失ってしまうと、人と話すときに気後れしたり、治療そのものをためらってしまうことがあります。
しかし、歯科の現場では若い年代で総入れ歯や義歯を装着する患者様は決して珍しい存在ではありません。重度の虫歯や歯周病といった原因で歯を失うことは誰にでも起こり得ることであり、「若い=健康な歯が残っているはず」という固定観念が当てはまらない場合も多いのです。
さらに、現在の入れ歯には見た目が自然で金属が目立たない種類もあり、治療を受けた方が周囲に気づかれにくい特徴を持っています。たとえば保険適用の総入れ歯でも十分に噛める場合があり、自費診療を選べば審美性や快適さに優れたものを作ることも可能です。つまり、「恥ずかしい」という感情は、実際の状態や治療の進歩を十分に反映したものではありません。
大切なのは「隠すこと」ではなく、「自分に合った治療を見つけること」です。歯科医と相談し、安心して生活できる方法を選択することで、不安を和らげることができます。
実際にどのくらいの人が若くして総入れ歯になっているのか
「若いのに総入れ歯になるのは、自分だけではないか」と不安に感じる方は少なくありません。ですが、歯科の現場では30代や40代といった比較的若い患者様が総入れ歯や義歯による治療を受けるケースは一定数存在します。実際に日本では、虫歯や歯周病といった原因で歯を失う方が多く、健康な歯を保てずに治療を余儀なくされる場合があるのです。
統計的にも、40代以上になると歯を失う本数が増え始め、早い方では20代後半や30代で多くの歯を失ってしまうこともあります。その結果、総入れ歯や部分入れ歯を選択せざるを得ないケースは決して珍しくありません。保険診療による総入れ歯を選ぶ方もいれば、見た目や噛み心地を重視して自費診療の種類を検討する方もいます。
重要なのは「自分だけ特別」という思い込みをなくすことです。多くの人が同じように悩み、治療を受けています。歯科医と相談し、原因や状態に応じた適切な方法を選択することで、日常生活を大きく改善できるのです。
若くして総入れ歯になる主な原因
「若いのに総入れ歯」と聞くと驚かれる方も多いですが、そこにはいくつか明確な原因があります。もっとも多いのは、虫歯や歯周病といった生活習慣やケアの不足によるものです。これらの病気は、歯を1本ずつ失っていくのではなく、重度に進行すると短期間で多くの歯を失ってしまう大きなリスクを伴います。また、事故やスポーツでの外傷、遺伝的に歯が弱いといった要因も、若くして総入れ歯になる背景として無視できません。
総入れ歯や義歯の治療を必要とする患者様は、必ずしも高齢だからという理由ではありません。20代や30代であっても、歯の状態が悪化してしまえば、残せる歯がほとんどなくなる場合があるのです。その結果として「入れ歯=高齢者」というイメージとのギャップに悩み、「自分が特別に悪いのではないか」と感じてしまう方も少なくありません。
ここからは、若い世代でも総入れ歯を選択せざるを得なくなる主な原因について、具体的に見ていきましょう。歯周病・虫歯・外傷、そして遺伝的な要因と、それぞれの特徴や注意点を解説していきます。
重度の歯周病
若い年代であっても総入れ歯を必要とする大きな原因のひとつが、重度の歯周病です。歯周病は歯垢(プラーク)に含まれる細菌が引き起こす慢性的な病気で、歯茎や骨に炎症を起こし、やがて歯を支える骨そのものを溶かしてしまいます。初期は軽い症状で気づきにくいのですが、進行すると歯茎の腫れや出血、口臭などが現れ、最終的には歯を失う原因となります。
歯科医の現場では、30代や40代でも歯周病が重症化している患者様は少なくありません。特に、定期的な歯科検診や治療を受けていない場合、気づかないうちに病が進行してしまうことがあります。その結果、短期間で多くの歯を失い、義歯や入れ歯による治療が必要になるケースも見られます。
歯周病は「高齢者の病気」と思われがちですが、実際には若い世代にも多い疾患です。生活習慣や口腔ケアの不足が原因となる場合も多く、放置すれば時間の経過とともに悪化していきます。早めの歯科相談と適切な治療によって、歯を守ることが何より大切です。
虫歯の多発・放置
若い年代で総入れ歯に至るもう一つの大きな原因が、虫歯の多発や放置です。虫歯は初期の段階であれば治療によって歯を残すことができますが、痛みを我慢して放置したり、歯科への通院を後回しにしてしまうと、歯を大きく削る必要が出てきたり、最悪の場合は抜歯につながってしまいます。
実際に、20代や30代でも虫歯を繰り返し発症し、結果として多くの歯を失ってしまう患者様は少なくありません。歯を失った本数が増えると、部分入れ歯では対応できなくなり、最終的に総入れ歯を選択せざるを得ない状態になる場合があります。
さらに、虫歯は一本ごとの治療だけでなく、口全体の健康状態に影響を与えます。噛み合わせのバランスが崩れることで負担がかかり、残っている歯も次々と悪化してしまうことがあるのです。そのため、「自分はまだ若いから大丈夫」と思い込まず、少しでも違和感や痛みを感じたら早めに歯医者に相談することが重要です。
外傷や事故
若い方が総入れ歯を必要とする原因の中には、外傷や事故による歯の喪失もあります。スポーツ中の衝突や交通事故などで一度に多くの歯を失ってしまう場合、部分的な治療では対応できず、総入れ歯やインプラントを含む包括的な治療が必要になることがあります。
虫歯や歯周病といった慢性的な原因と異なり、外傷による喪失は突然起こるため、患者様にとって精神的なショックも大きいものです。特に20代や30代といった若い世代では「まさか自分が入れ歯になるとは思わなかった」と感じる方も多く、年齢とのギャップから不安を強く抱いてしまうことがあります。
しかし歯科医療の進歩により、総入れ歯であっても自然な見た目や噛み心地を実現できる種類が増えてきました。装着感や機能面での違いも大きく改善されており、従来のイメージほど生活に支障が出ないケースも多いのです。事故などで歯を失った場合でも、適切な治療を行えば健康な生活を取り戻すことができます。
遺伝的要因
若いのに総入れ歯になる背景として、遺伝的な要因が関わっている場合もあります。歯や歯茎の状態は生活習慣だけでなく体質にも左右されるため、生まれつき歯が弱かったり、エナメル質が薄いなどの特徴を持つ方は、虫歯や歯周病が進行しやすい傾向があります。その結果、比較的若い年代で多くの歯を失い、入れ歯や義歯による治療を選択せざるを得ないこともあるのです。
また、顎の骨がもともと小さい方や、噛み合わせのバランスに問題がある方では、歯にかかる負担が大きく、歯の寿命が短くなる場合があります。こうした体質的な特徴は本人の努力だけでは改善が難しく、歯科医による専門的な診断と治療が欠かせません。
「自分だけ特別に弱いのではないか」と不安を抱く患者様も多く見られますが、遺伝的な理由で総入れ歯になる方は決して少なくありません。大切なのは、状態に合った総入れ歯の種類や治療法を選ぶことです。自然な見た目や噛み心地を重視する方法もあり、年齢に関わらず快適な生活を取り戻すことができます。
若くして総入れ歯を使うことのデメリット
若い年代で総入れ歯になると、機能面や見た目だけでなく、精神的にも大きな影響を受けることがあります。歯を失ったことによる噛む力の低下は、食事の満足度や健康状態に直結しますし、会話中に入れ歯が合わずに違和感を覚える場合もあります。また、見た目の変化によって「年齢以上に老けて見えるのでは」と不安になる方も少なくありません。
さらに、歯を失ったまま総入れ歯を長期間使用すると、顎の骨が徐々に痩せてしまうリスクがあります。これにより、入れ歯が合わなくなったり、噛む力がさらに低下したりと、悪循環に陥る可能性もあるのです。こうしたデメリットは高齢者に限らず、若い方でも同様に起こり得るため、注意が必要です。
ここからは、若くして総入れ歯になることで実際にどのような不都合が起こるのかを詳しく見ていきます。見た目(審美性)の問題、食事や会話での不自由さ、骨吸収のリスク、そして精神的な負担という4つの視点から解説していきましょう。
見た目(審美性)の問題
若い年代で総入れ歯を装着する場合、まず気になるのが見た目(審美性)の問題です。従来の入れ歯は、保険診療の範囲内ではレジン(プラスチック)や金属のバネを用いることが多く、自然な歯に比べるとどうしても違和感が出てしまいます。特に口を開けたときに金属が見えてしまう場合、年齢に比べて老けて見える、という印象を持たれることもあります。
一方で、近年は見た目に配慮した義歯の種類も増えています。たとえば自費診療では、金属を使わないタイプや透明感のある素材を選ぶことで、自然な歯に近い仕上がりが可能です。若い患者様にとって「入れ歯だと気づかれないか」という不安は大きいものですが、治療の選択肢によっては十分に自然な見た目を実現できます。
大切なのは「入れ歯=不自然」という固定観念にとらわれず、自分の状態や希望に合った治療を選ぶことです。歯科医と相談しながら、審美性を重視した入れ歯を選択することで、年齢にふさわしい自然な笑顔を取り戻すことができます。
食事・会話での不自由さ
総入れ歯を使用する際、多くの患者様がまず感じるのが食事や会話での不自由さです。天然の歯に比べると噛む力が弱まり、特に硬い食べ物や弾力のある食品は噛みにくい場合があります。また、入れ歯が口の中で合わずに動いてしまうと、しっかり噛めないだけでなく、違和感や痛みを伴うことも少なくありません。
さらに、会話の際に発音がしにくくなることもあります。特に装着したばかりの状態では「さ行」や「た行」といった音が出しづらく、周囲に不自然に聞こえてしまうことがあります。若い世代にとっては、仕事や人間関係に直結する問題であるため、不安を強く抱く要因となりやすいのです。
ただし、近年は義歯の種類や設計が進化しており、従来に比べて自然に噛みやすく、会話もしやすい入れ歯が増えています。保険診療か自費診療かによって選択肢は異なりますが、歯科医と相談することで、自分の生活スタイルに合った治療を選ぶことが可能です。
骨の吸収が進むリスク
総入れ歯を長期間使用する場合に注意しなければならないのが、顎の骨の吸収が進むリスクです。歯を失うと、歯茎や骨に噛む力が伝わらなくなり、徐々に骨が痩せていきます。特に前歯から奥歯にかけて骨の高さが減ってしまうと、入れ歯が合わなくなり、噛めなくなるといった不具合が起こりやすくなります。
骨の吸収は自然な老化現象でもありますが、若い年代で総入れ歯を装着した場合、治療期間が長くなるため影響が大きくなりやすい点が問題です。骨量が減ると入れ歯の安定が悪くなり、噛む力が低下するだけでなく、口元の形にも変化が現れ、年齢以上に老けて見えることもあります。
歯科医の立場からも、この骨吸収は総入れ歯の大きな課題とされています。固定式の治療法やインプラントを組み合わせることで、顎に噛む刺激を与え、骨の減少を抑える方法もあります。自分の状態に合った治療を選ぶことが、長期的な安定と健康を保つために重要です。
精神的な負担(年齢とのギャップ)
若いのに総入れ歯を使うことになった場合、多くの方が直面するのが精神的な負担です。総入れ歯や義歯という言葉に「高齢者の治療」というイメージを持つ方は少なくありません。そのため、20代〜40代といった若い世代で治療を受けると、「自分は人より老けているのではないか」「まだ若いのに入れ歯なのは恥ずかしい」と強い不安や違和感を感じてしまうのです。
実際、患者様の中には「周囲に気づかれたくない」「自然に笑えない」と悩む方もいます。年齢とのギャップから生じる心理的な負担は、見た目や噛む力の問題以上に日常生活へ影響を与えることがあります。特に仕事や人間関係において、人前で話したり笑ったりする場面で自信を失ってしまう場合もあるのです。
しかし、現代の入れ歯治療は進歩しており、自然な見た目を実現できる種類も増えています。また、歯科医と相談し、自分に合った治療を選択することで「人に気づかれない」「快適に使える」と感じられるケースも多くあります。若い世代で総入れ歯を受けることは特別ではなく、適切な治療を受けることで十分に健康で快適な生活を取り戻すことができるのです。
若い方におすすめの入れ歯治療
若い年代で総入れ歯を選ぶ際には、「見た目が不自然にならないか」「日常生活で快適に使えるか」といった不安が大きいものです。従来の保険診療による入れ歯は機能面では十分対応できる場合もありますが、金属のバネが目立ったり、装着感に違和感が残ったりすることがあります。特に若い方にとっては、見た目や自然な笑顔を保てるかどうかが治療選択の大切なポイントとなります。
そのため、近年は審美性や快適さを重視した義歯が選ばれることが増えてきました。たとえば、金属を使用しないタイプや、仮の入れ歯(プロビジョナル)を用いた丁寧な調整により、周囲から気づかれにくい自然な仕上がりを実現する方法があります。また、磁性アタッチメントを用いた入れ歯など、固定性を高める治療もあり、噛む力や会話のしやすさに配慮された設計が可能です。
ここからは、若い方におすすめできる入れ歯治療について、具体的に「自然に見える総入れ歯」「金具が目立たないタイプ」「プロビジョナル対応による精密な設計」という3つの視点から詳しく解説していきます。
見た目が自然な入れ歯(バレない総入れ歯)
総入れ歯を検討する際、特に若い世代の方が気にするのは「見た目に気づかれないか」という点です。従来の保険診療による入れ歯は、歯茎と接する部分が樹脂で作られており、噛む機能は果たせても、口元の印象として「入れ歯っぽさ」が出てしまう場合があります。
一方で、近年は審美性に配慮した種類が登場しており、歯並びや色調を自然に再現できる総入れ歯もあります。金属を使わない設計や、透明感のある素材を選ぶことで、自然な歯と見分けがつきにくい仕上がりにすることが可能です。
また、歯茎との境目の違和感を少なくするために精密な型取りや調整を行うことで、快適さと見た目の両立を図る方法もあります。特に若い方にとっては、見た目が自然であることが日常生活の自信につながるため、大切な検討ポイントといえるでしょう。
総入れ歯に適した設計(プロビジョナル対応など)
総入れ歯の治療では、一回で完璧な入れ歯が出来上がるのを目指すのではなく、設計段階からどれだけ精密に調整しながら完成形を作れるかが快適さを左右します。特に若い世代の場合、噛む力や日常生活での使用時間が長いため、入れ歯が合わずに痛みや違和感が生じると大きな負担になります。そのため、最初から完成形を装着するのではなく、プロビジョナル(仮の入れ歯)を用いて噛み合わせや見た目を確認しながら調整していくことが重要です。
プロビジョナルを使うことで、「食事の際に噛めるか」「会話が自然にできるか」「口元の印象に違和感がないか」といった点を段階的にチェックできます。こうした工程を経ることで、最終的な総入れ歯や義歯が自分に合った状態に仕上がり、治療後の生活の質が大きく改善されるのです。
また、設計においては歯科医と患者が相談しながら細かい調整を行うことも欠かせません。噛み合わせや歯茎の状態は人それぞれ異なるため、「自分に合った入れ歯を作る」という意識が大切です。結果として、違和感の少ない快適な装着感を得られることにつながります。
磁性アタッチメント・金具が目立たないタイプ
まず最初に、磁性アタッチメントは「総入れ歯」そのものには用いられないという点です。総入れ歯はすべての歯を失った状態を指すため、磁石を取り付ける土台となる歯が存在しません。そのため、磁性アタッチメントは総入れ歯ではなく、部分入れ歯やインプラントを支えにしたオーバーデンチャーといった治療で活用される仕組みになります。
では、磁性アタッチメントとはどのような方法なのでしょうか。これは入れ歯側と残存歯(あるいはインプラント)に磁石を組み込み、磁力によって入れ歯を安定させる技術です。金属のバネを使わずに固定できるため、口を開けたときに金属が見えることがなく、自然な見た目を保ちやすいという特徴があります。
まだお若くて審美性にこだわりたい患者様が、特に総入れ歯になってしまう手前の段階の治療の際に、磁性アタッチメントを使用した部分入れ歯というのは適しているかと思います。
インプラントを活用した新しい治療法
近年では、総入れ歯だけでなくインプラントを応用した治療法が注目されています。従来の総入れ歯は噛む力や安定性に限界があり、時間の経過とともに骨が痩せて合わなくなるといった問題がありました。こうしたデメリットを補うために、インプラントを支えとして活用し、義歯を固定する方法が開発されているのです。
代表的なのが、数本のインプラントで入れ歯を支える「インプラントオーバーデンチャー」と、片顎に4本のインプラントを埋め込みブリッジ型の人工歯を固定する「オールオン4」です。これらの方法は、従来の総入れ歯に比べてしっかり噛める、外れる不安が少ない、見た目が自然といった大きな特徴を持っています。特に若い世代にとっては、長期的に快適な生活を送るための有力な選択肢となり得ます。
この章では、まず「インプラントオーバーデンチャー」とはどのような治療なのかを解説し、続いて「オールオン4」の特徴、そして総入れ歯と比較した際のメリットについて詳しく見ていきましょう。
インプラントオーバーデンチャーとは?
インプラントオーバーデンチャーとは、顎に数本のインプラントを埋め込み、それを支えとして入れ歯を固定する治療法です。従来の総入れ歯は歯茎だけで支えるため、噛むときに外れやすい、痛みが出やすいといった問題がありました。しかしインプラントオーバーデンチャーでは、インプラントがしっかりと固定源となるため、安定性が高く、噛む力も通常の入れ歯に比べて格段に向上します。
装着方法には、バーで連結して留めるタイプや、アタッチメントで留めるタイプなどいくつかの種類があり、患者様の状態や希望に合わせて選択されます。いずれの場合も「入れ歯が合わない」「外れてしまう」といった従来の不安を大幅に軽減できるのが大きな特徴です。
また、顎の骨や歯茎への負担を分散できるため、長期的にも安定しやすく、食事や会話の際に快適さを実感できる治療法といえます。治療期間や費用はケースによって異なりますが、総入れ歯のデメリットを解消したいと考える若い世代にとって、有力な選択肢の一つとなるでしょう。
オールオン4とは?
オールオン4とは、片顎にわずか4本のインプラントを埋め込み、その上に人工の歯列を固定する治療法です。従来の総入れ歯のように歯茎だけで支えるのではなく、インプラントによってしっかりと固定されるため、装着感や噛む力が大きく改善されます。
この方法の特徴は、埋入するインプラントの本数が少ないことです。通常、すべての歯を失った場合に多くのインプラントを必要とすると費用や期間の負担が大きくなりますが、オールオン4は必要最小限の本数で全ての歯を支えることができます。そのため、治療期間を短縮しつつ費用も抑えられる点が大きな利点です。
実際の症例では、総入れ歯が合わずに悩んでいた患者様が、オールオン4により安定した噛み心地を得られるようになったケースも少なくありません。食事や会話に自信を取り戻すだけでなく、口元の印象も改善され、生活全体の質が向上することが期待できます。
従来の総入れ歯との大きな違いは、「動かない」「外れにくい」という点にあります。若い世代で長期的に安定した治療を望む方にとって、オールオン4は非常に有力な選択肢といえるでしょう。
総入れ歯に比べてどのようなメリットがあるか
インプラントを活用した治療は、従来の総入れ歯に比べて多くのメリットがあります。まず大きいのは、安定性と噛む力です。総入れ歯は歯茎の上に義歯を乗せているだけなので、合わなくなれば動いたり外れたりすることがあります。これに対して、オーバーデンチャーやオールオン4はインプラントによって固定されるため、しっかり噛めて外れにくいのが特徴です。
また、見た目や口元の自然さも改善されます。総入れ歯では「入れ歯っぽさ」を気にする患者様が多いのに対し、インプラントを支えとした治療では歯茎や歯並びのラインを自然に整えやすく、年齢にふさわしい口元を取り戻すことができます。
さらに、顎の骨が痩せるリスクを抑えられる点も重要です。総入れ歯は骨に噛む刺激が伝わりにくく、時間の経過とともに骨の吸収が進んでしまいます。インプラントを利用する治療では、噛む力が骨に加わるため、長期的な安定につながります。
なお、治療方法の違いにも注目すべきです。
インプラントオーバーデンチャー
少ない本数(2〜4本程度)のインプラントで義歯を支えるため、費用や治療負担を軽減できる方法です。
オールオン4
片顎4本のインプラントで人工歯列を固定するため、より「固定式」に近い快適さが得られます。
どちらも総入れ歯より大きなメリットを持ちますが、患者様の状態や希望に応じて適した方法を選ぶことが大切です。
どの治療を選ぶべきか?ケース別の考え方
若くして総入れ歯やそれに代わる治療を検討する際、多くの方が悩むのは「結局どの方法を選べばよいのか」という点です。入れ歯、インプラントオーバーデンチャー、オールオン4にはそれぞれ特徴があり、費用・見た目・快適さといった要素のどれを重視するかによって、最適な選択肢は異なります。
たとえば、できるだけ費用を抑えたい方には保険診療の総入れ歯が適しています。一方で、「金属が目立つのは避けたい」「自然な笑顔を取り戻したい」という方には、インプラントオーバーデンチャーが有力な選択肢となります。また、長期的に安定した治療を求め、入れ歯の取り外しに抵抗がある方にはオールオン4が向いています。
このように「どの治療が一番良いか」ではなく、「自分にとって何を優先するか」で治療法を考えることが大切です。ここからは、費用を最優先にしたい場合、見た目や快適さを重視する場合、長期的な安定を求める場合の3つに分けて、それぞれの治療の考え方を解説していきます。
費用を最優先にしたい場合 → 保険の総入れ歯
治療を選ぶ際に最も重視されるポイントの一つが費用です。特に若い世代であっても「できるだけ経済的な負担を抑えたい」と考える方は多く、その場合には保険診療による総入れ歯が現実的な選択肢となります。
保険の総入れ歯は、レジン(樹脂)を材料として作られるのが一般的で、治療費を大幅に抑えることができます。相場も全国的にほぼ同じであり、自由診療に比べると費用面での安心感が大きいのが特徴です。ただし、金属を使用しないため強度や耐久性には限界があり、装着時に違和感を覚えるケースや、噛む力が十分に発揮できない場合もあります。
また、保険の義歯は設計がシンプルなため、見た目や自然さにこだわる方には物足りなく感じられるかもしれません。しかし、初めて総入れ歯を作る際や、とりあえず生活に支障がない程度の噛む力を取り戻したい場合には適した治療といえます。
費用を最優先に考える場合、保険の総入れ歯は大きなメリットがありますが、長期的な快適さや審美性を重視するなら、他の治療法との違いも理解したうえで選択することが大切です。
見た目・快適さを求めたい場合 → インプラントオーバーデンチャー
「見た目に自然さを保ちたい」「入れ歯が合わずに外れてしまうのは避けたい」という方に適しているのが、インプラントオーバーデンチャーです。これは顎に数本のインプラントを埋め込み、それを支えとして義歯を固定する治療法で、総入れ歯と比較すると大きく安定性が向上します。
インプラントによってしっかり固定されるため、噛むときに動いてしまうことが少なく、硬いものや弾力のある食品でも快適に噛めるのが特徴です。また、通常の総入れ歯にありがちな「違和感が強い」「外れて恥ずかしい」といった問題も軽減されます。見た目においても、歯茎や歯並びのラインを自然に再現できるため、口元の印象が改善され、自信を持って笑えるようになる方も少なくありません。
さらに、オーバーデンチャーは取り外し式であるため、手入れがしやすく衛生面でも優れています。費用は保険外の治療となりますが、総入れ歯とインプラント治療の中間的な位置づけとして、多くの患者様に選ばれている方法です。費用だけでなく、日常生活の快適さを重視したい場合に、有力な選択肢となるでしょう。
長期的な安定を求めたい場合 → オールオン4
長期的な安定を重視する方に選ばれるのが、オールオン4やオールオン6といった固定式のインプラント治療です。オールオン4は片顎に4本のインプラントを埋め込み、その上に人工の歯列を装着する方法で、総入れ歯に比べて圧倒的に外れにくく、しっかり噛めるのが大きな特徴です。
ただし、骨の状態や歯を失った原因によっては、4本では十分に支えきれないケースもあります。その場合、インプラントを6本埋め込む「オールオン6」で対応することにより、さらに安定性を高めることができます。特に、骨の質が弱い方や長期的な負担を考慮したい方にとっては有効な方法です。
一方で、若い患者様の場合は骨の状態が比較的良好なことも多く、4本のインプラントでも十分な安定が得られるケースがあります。つまり、最適な方法は年齢や骨の状態、生活習慣などによって変わるため、画一的に「オールオン4が良い」「オールオン6が良い」とは言い切れません。
ご自身に最適な治療を見極めるためには、歯科医による精密な診断が欠かせません。まずは無料カウンセリングで骨の状態や全体の口腔環境を確認し、最も安心できる治療方法を一緒に検討されることをおすすめします。
まとめ|若くして総入れ歯でも後悔しない選択を
「若いのに総入れ歯」と聞くと大きなショックを受ける方も少なくありません。しかし実際には、重度の虫歯や歯周病、事故、遺伝的な要因などによって、30代〜50代の比較的若い世代でも総入れ歯を検討するケースは存在します。決して特別なことではなく、多くの方が同じ悩みを抱えているのです。
ただし、若い年代で総入れ歯になることには、見た目・噛む力・精神的な負担といったデメリットが伴います。そのため、総入れ歯に限定せず、インプラントを活用したオーバーデンチャーやオールオン4など、より自然で快適な治療法も視野に入れて検討することが大切です。特にオールオン治療では、骨の状態によってオールオン6を選ぶ場合もあり、個々の状況に応じた判断が求められます。
帝塚山スマイルデザインクリニックでは、日本口腔インプラント学会に所属する院長が、豊富な症例と精密な診断に基づいて最適な治療法をご提案いたします。若くして歯を失ったとしても、正しい治療の選択によって人生の質を大きく取り戻すことは可能です。
まずはご自身の状態を正確に知ることから始めましょう。無料カウンセリングをご利用いただければ、骨の状態や治療の選択肢について詳しくご説明し、安心して次の一歩を踏み出していただけます。
【執筆・監修者】

帝塚山Smile Design Clinic(スマイルデザインクリニック)
院長:岩下太一(歯学博士)
ITI日本支部公認インプラントスペシャリスト認定医
オステムインプラントインストラクター 講師
日本審美歯科学会 認定医
他、所属学会、認定資格多数
充実した無料カウンセリング

初回費用は一切かかりません。安心してご相談ください。
当院では患者様に安心してインプラント治療を受けて頂くために、無料カウンセリングを充実させております。お口の中のお写真やレントゲン写真、場合によってはインプラントの骨を確認するためのCT撮影も無料で行います。もちろん、初回なので一切費用はかかりません。患者様に今のお口の状態を知って頂き、納得してインプラント治療を受けて頂くことが私たちの喜びです。
ITIインプラントスペシャリスト認定医

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帝塚山スマイルデザインクリニックの院長はインプラント治療を他の歯科医師に教えるインストラクターの指導的立場として歯科界に貢献しております。また世界的に有名なインプラント学術団体のITI(International Team for Implantology)の日本支部公認インプラントスペシャリストの認定医でもあります。他院で難しいと言われたインプラント治療でも当院では十分に対応できる技術があります。