「歯を抜かなきゃいけないと言われたけど、インプラントが入るまで何ヶ月も歯がないままなの?」「手術を2回も受けるなんて、考えただけで怖い」
歯を失うかもしれないと告げられたとき、多くの方がこうした不安を抱えます。
実は、抜歯とインプラント埋入を同じ日に行う「抜歯即時インプラント」という方法があります。従来の方法では抜歯してから骨が回復するまで3〜6ヶ月待ち、そこからようやくインプラントの手術に進んでいました。抜歯即時インプラントなら、この待機期間をなくすことで、治療期間を大幅に短縮し、手術の回数も減らし、身体への負担も最小限にすることができます。
ただし、この治療はすべての方に適応できるわけではありません。骨の状態や歯の病状によって、慎重な判断が必要です。
この記事では、抜歯即時インプラントの仕組みからメリット・リスク・費用・実際の症例まで、大阪の帝塚山スマイルデザインクリニック、院長の岩下がITI認定インプラントスペシャリストの視点で詳しくお伝えします。「自分の場合はどうなんだろう」と気になる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
抜歯即時インプラントとは?従来の治療法との違い
「歯を抜いた後、すぐにインプラントを入れることなんてできるの?」そう思われる方は少なくありません。従来のインプラント治療では、歯を抜いた後に骨が回復するのを3〜6ヶ月待ち、その後にようやくインプラントの手術を行うのが一般的でした。しかし近年、歯科医療の技術やインプラントシステムの進歩により、条件を満たせば抜歯した当日にインプラントを埋入できるようになっています。
「何回も手術を受けなくて済むの?」「治療期間はどのくらい変わるの?」「当日に仮歯まで入るってホント?」こうした疑問に、ここから一つひとつお答えしていきます。
抜歯即時インプラントの仕組み|抜いた穴にそのまま埋入する
抜歯即時インプラントとは、文字どおり、歯を抜いた直後にできる穴(抜歯窩・ばっしか)を利用して、そのままインプラント体(人工歯根)を埋め込む方法です。
従来の方法では、歯茎をメスで大きく切り開いてから顎の骨に穴を開け、インプラントを埋入していました。一方、抜歯即時インプラントでは、歯を抜いた穴がそのままインプラントの入り口になりますので、歯茎を大きく切開する必要がありません。いわゆる「フラップレス手術」に近い形で進められるため、術後の痛みや腫れが格段に少なくなります。
ここで大切になるのが「初期固定」という概念です。抜歯した穴の底、つまりその奥に存在する骨にインプラントをしっかり固定できるかどうか。これが抜歯即時インプラントの成否を大きく左右します。当院では、全てのインプラント症例でサージカルガイドを使用し、CT画像に基づいた正確な角度・深さでの埋入を実現しています。抜歯窩という「不規則な形の穴」に対しても、デジタル技術のサポートがあることで、安全かつ精密な埋入が可能になるのです。
従来法(待時埋入)との違いを比較する
従来の方法(待時埋入)と抜歯即時インプラントでは、患者様が実際に体験する治療の流れがかなり異なります。
従来法の場合、まず抜歯を行い、骨が回復するまで3〜6ヶ月待機します。その後にインプラントの埋入手術を行い、さらに骨との結合を待って3〜6ヶ月。そこから仮歯の型取り、仮歯装着、最終的な被せ物の型取り、完成装着……と進むため、トータルで5〜12ヶ月ほどかかるケースが一般的です。
一方、当院で行う抜歯即時インプラントの場合は、抜歯とインプラント埋入、そして条件が合えば仮歯の装着までを同じ日に行います。その後は骨との結合を待つ3〜4ヶ月程度の期間を経て、最終的なセラミックの被せ物を装着して完了です。トータルでおよそ2〜4ヶ月。手術の回数も1回で済むため、通院の負担も大きく軽減されます。
「自分の場合はどちらの方法になるのだろう」その答えは、骨の状態や歯の病状によって変わります。まずはCT撮影で骨の状態を三次元的に確認し、抜歯即時が可能かどうかを正確に診断することが大切です。
「抜歯即時埋入」と「即時荷重」はどう違う?
「抜歯即時インプラント」と調べると、「即時荷重」という言葉も目にすることがあるかと思います。この二つは混同されがちですが、実は別のことを指しています。
「抜歯即時埋入」は、歯を抜いた当日にインプラント体を骨に埋め込むこと。これが今回の記事のメインテーマです。
「即時荷重」は、そこからさらに一歩進んで、インプラントを埋入した当日に仮歯まで装着することを指します。つまり、抜歯→インプラント埋入→仮歯装着をすべて同じ日に行うということです。
では、どのような場合に即時荷重が可能になるのか。当院では「ISQ値」という指標を用いて判断しています。ISQ値とは、インプラントを埋入した直後にその安定度を数値化できる測定方法です。インプラントに専用の測定器具を取り付け、振動の値からインプラントがどれだけしっかりと骨に固定されているかを客観的に評価します。
この数値が70以上であれば、その日のうちに仮歯を装着しても問題ないと判断できます。75や80といった高い数値が出れば、より安心して即時荷重に踏み切れます。逆に、数値が70に満たない場合は、無理をせずにインプラントと骨がしっかり結合するのを待ってから仮歯を入れるという選択をします。
「今日中に仮歯が入りますよ」と言えるかどうかは、骨の状態やインプラントの固定具合によって変わります。だからこそ、術前のCT診断と術中のISQ値測定を組み合わせて、一人ひとりに最適な判断を行うことが大切なのです。
抜歯即時インプラントのメリット|患者様の負担を最小限に
抜歯即時インプラントには、従来の方法と比べて多くのメリットがあります。「手術は1回で済むの?」「痛みや腫れはどの程度なの?」「歯がない期間はどうなるの?」患者様からよく寄せられるこれらの疑問に、一つひとつお答えしていきます。
治療期間の大幅短縮|最短2〜4ヶ月で完了するケースも
抜歯即時インプラントの最大のメリットは、何といっても治療期間の短さです。
従来法では、抜歯後に骨が回復するまで3〜6ヶ月、その後さらにインプラント手術から骨との結合までに3〜6ヶ月と、二重に待機期間が発生していました。抜歯即時ではこの「最初の待機期間」が丸ごとなくなるため、トータルの治療期間が大幅に短縮されます。
さらに当院の場合、デジタル歯科治療とサージカルガイドの活用により、手術そのものの時間も大幅に短くなっています。たとえば奥歯1本の抜歯即時インプラントであれば、抜歯に10分、インプラント埋入に15分程度で手術が完了するケースもあります。院内に3Dプリンターやデジタル機器を完備し、サージカルガイドの制作から仮歯の制作まで院内で完結できるため、外部の技工所に依頼する待ち時間もなく、通院回数も最小限に抑えることができます。
手術は1回・歯茎を大きく切らないから痛みが少ない
「インプラントの手術は痛い」そんなイメージをお持ちの方は多いかもしれません。ですが、抜歯即時インプラントの場合、歯を抜いた穴をそのまま利用するため、歯茎をメスで大きく切り開く必要がありません。
当院では、さらにこの「痛みの少なさ」を徹底するために、全てのインプラント症例でサージカルガイドを使用しています。サージカルガイドとは、CT画像と口腔内スキャンのデータをもとにコンピュータ上で設計し、3Dプリンターで制作するインプラント埋入用のテンプレートです。このガイドを使うことで、歯茎に開ける穴はインプラントの直径分のごく小さなサイズで済みます。
歯茎へのダメージが最小限になるため、術後の痛みや腫れもほとんどありません。実際に、痛み止めを飲まなくても問題なかったとおっしゃる方も多くいらっしゃいます。もちろん痛みの感じ方には個人差がありますが、従来の歯茎を大きく切開する方法と比べれば、術後の回復は格段にスムーズです。
痛みが少ない秘訣は「歯茎の穴の極小化」これが当院のインプラント治療における核心的なこだわりの一つです。
骨が痩せる前に埋入できる|将来の骨造成リスクを減らす
歯を抜いた後、その部分の骨には何が起こるかご存じでしょうか。実は、歯がなくなると噛む刺激が伝わらなくなり、骨が少しずつ吸収されて痩せていきます。特に抜歯後の最初の数ヶ月は骨の吸収スピードが速いと言われています。
骨が痩せてしまうと、後からインプラントを入れようとしたときに「骨が足りない」という問題に直面します。そうなるとサイナスリフトやGBRといった骨造成の手術が必要になり、治療期間も費用も身体的な負担もすべて増えてしまいます。
抜歯即時インプラントであれば、骨が吸収される前にインプラントを埋入できるため、こうした骨造成のリスクを最小限に抑えることができます。「歯を抜かなければいけない」と言われたら、できるだけ早い段階でインプラントの専門医に相談すること。それが、将来の治療の選択肢を広げるために大切な一歩になります。
抜歯即時インプラントのリスク・デメリット|事前に知っておきたい注意点
ここまでメリットを中心にお伝えしてきましたが、抜歯即時インプラントにはリスクやデメリットもあります。安心して治療を受けていただくために、ここは正直にお話しします。
まず、抜歯即時インプラントはすべてのケースに適応できるわけではありません。骨の量が十分にあること、重度の歯周病がないこと、全身の健康状態が良好であることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。条件を満たさないまま無理に抜歯即時を行えば、インプラントがしっかり固定されず、治療のやり直しが必要になるリスクもあります。
また、従来の方法と比べて、細菌感染への対策がより重要になります。歯を抜く必要がある状態の多くは、虫歯や歯根の感染、歯の破折によるものです。そうしたケースでは、歯の周囲の骨に膿や炎症の組織が入り込んでいることがあります。
ここがまさに、抜歯即時インプラントの成否を分けるポイントです。抜歯した後の穴の表面に感染が残ったままインプラントを入れてしまうと、インプラント周囲炎の原因になりかねません。当院では、歯を抜いた後にラウンドバーと呼ばれる器具で骨の表面を一層削り取り、感染のない新鮮な骨面を出してからインプラントを埋入するという処理を徹底しています。この「抜歯後の感染巣の徹底除去」こそが、抜歯即時インプラントを安全に行うために欠かせないプロセスなのです。
そしてもう一つ、抜歯即時インプラントは高度な技術を要する治療です。骨がどのように治っていくかを予測する力、感染巣を見落としなく取り除く技術、不規則な抜歯窩の中で正確な位置にインプラントを埋入する判断力。こうした総合的なスキルが求められます。だからこそ、経験豊富で設備の整った医院を選ぶことが大切です。
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抜歯即時インプラントの適応条件|できる人・できないケース
「自分は抜歯即時インプラントを受けられるのだろうか」
これは多くの方が気になるポイントだと思います。ここでは、どのような場合に適応となりやすいのか、逆にどのような場合は難しいのかを具体的にお伝えします。
抜歯即時に向いているケース
抜歯即時インプラントが適応になりやすいのは、歯の周囲にある程度の骨が残っている場合です。
たとえば、歯にヒビが入っている、あるいは歯根が縦に割れてしまっている(歯根破折)ようなケースです。歯そのものは保存できない状態でも、周囲の骨は比較的しっかり残っていることが多いため、抜歯と同時にインプラントを埋入しやすい状況です。
また、歯の根の先に病巣(根尖病巣)があるけれども、骨の状態自体はまだ大きく失われていないというケースも適応になることがあります。
こうしたケースでは、歯を抜いた穴の周囲に三方向以上の骨壁が残っているかどうか(三壁性の骨欠損)を確認し、インプラントを埋入した後に骨がしっかり治癒してインプラントを包み込めるかどうかを予測したうえで、治療計画を立てます。
抜歯即時が難しいケース|歯周病の進行度と骨の状態が鍵
一方で、抜歯即時インプラントが難しいケースもあります。
代表的なのは、歯周病が進行して歯がグラグラになっている場合です。歯周病で歯を失うとき、多くの場合は歯の外側(頬側・唇側)の骨が大きく吸収されています。外側の骨はもともと内側に比べて薄いため、歯周病のダメージを受けやすいのです。
こうした状態で抜歯即時を行うと、インプラントを支えるための骨が不足しており、初期固定が取れない可能性があります。また、急性の炎症が強い場合も、感染リスクの観点から無理に即時埋入を行わない方が安全です。
当院では、インプラント治療の前に必ず歯周病の検査と治療を行います。他院で見過ごされがちな軽度の歯周病も丁寧に治療し、口腔環境を整えたうえで最適な術式を選択します。日本歯周病学会認定衛生士がブラッシング指導を含めて術前・術後のケアを担当していますので、歯周病の管理という面でも安心して治療に臨んでいただけます。
適応判断に欠かせないCT診断とデジタルシミュレーション
抜歯即時インプラントが可能かどうかを正確に判断するためには、CT撮影による三次元的な骨の評価が欠かせません。通常のレントゲンだけでは、骨の厚みや幅、周囲の骨壁の状態を正確に把握することができないからです。
当院では、CT撮影で得られた画像データと口腔内スキャナーのデータを統合し、コンピュータ上でインプラントの埋入シミュレーションを行います。「歯を抜いた後、骨はどのような形に治っていくのか」「インプラントを入れたとき、骨がインプラントをしっかり包み込めるかどうか」
こうした骨の治癒形態を術前にデジタルで予測したうえで、埋入する位置・角度・深さを決定します。
抜歯即時インプラントにおいて最も重要なのは、「骨の治り方を予測できるかどうか」です。歯を抜いた直後の骨の形と、数ヶ月後に治癒した骨の形は異なります。その変化を見越してインプラントを入れる。これは経験とデジタル技術の両方があって初めて可能になることです。
「自分の骨の状態は、抜歯即時に耐えられるのだろうか」その疑問に答えるために、まずはCT撮影で骨の状態を詳しく確認することが第一歩です。
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当院の抜歯即時インプラント|デジタル技術と匠の技で痛みと期間を最小限に
抜歯即時インプラントは、通常のインプラント手術以上に繊細な判断と技術が求められる治療です。ここでは、当院がどのような体制と技術でこの治療に取り組んでいるかを、具体的にお伝えします。
全症例サージカルガイド使用|フラップレス手術で歯茎のダメージを極小化
先ほども触れましたが、当院では全てのインプラント治療でサージカルガイドを使用しています。この点は、当院が最もこだわっているポイントの一つですので、少し詳しくお話しさせてください。
サージカルガイドとは、インプラントを「この位置に、この角度で、この深さに」埋入するための専用のテンプレートです。CT画像・口腔内スキャナー・CADCAMソフトのデータを統合し、コンピュータ上で理想的な埋入計画を立て、そのデータをもとに3Dプリンターで実物のガイドを制作します。
このガイドがあることで、抜歯即時のような難しい状況、不規則な形の穴にインプラントを正確に入れなければならない場面でも、術前のシミュレーションどおりの位置・角度を再現できます。結果として、歯茎に開ける穴はインプラントの直径分の極小サイズで済み、メスで歯茎を大きく切開する必要がなくなります。
当院ではこのサージカルガイドをすべて院内で制作しています。CT撮影からスキャン、設計、3Dプリンターでのガイド制作、さらには術後の仮歯制作まで、一連の工程が院内で完結する体制を整えています。外部の技工所に依頼する必要がないため、余計な待ち時間が発生せず、通院回数を最小限に抑えることができます。こうした「院内一貫のデジタル歯科治療体制」は、高額な設備投資と長い学習期間が必要なため、まだ多くの歯科医院で導入できていないのが現状です。
サージカルガイドの使用は一部の症例だけという医院も少なくありません。しかし当院では「全症例で使用する」と決めています。なぜなら、どの症例にもそれぞれのリスクがあり、サージカルガイドを使うことで安全性を一段引き上げることができるからです。
抜歯窩の徹底清掃と骨造成の同時対応|感染リスクを最小限に
抜歯即時インプラントにおいて、私が最も気をつけているのが「歯を抜いた後の処理」です。ここが甘いと、せっかくインプラントを入れても後から問題が起こるリスクが高まります。
歯を抜く必要がある状態の多くは、歯根の先に膿がたまっていたり、歯の根が割れて細菌が入り込んでいたりする状態です。こうしたケースでは、歯の周囲の骨の表面に膿や炎症の組織がべったりとこびりついていることがあります。
これをきれいに取り除かなければ、インプラントの周りで炎症が続き、将来的にインプラント周囲炎の原因になりかねません。当院では、歯を抜いた後にラウンドバーという器具を使い、骨の表面を一層削り落として新鮮な骨面を露出させるという処理を徹底しています。「取りすぎではないか」と感じるくらい丁寧に行います。なぜなら、感染の取り残しが最も怖い合併症だからです。
また、歯を抜いた後に骨のボリュームが少し足りないと判断した場合は、インプラント埋入と同時に「マイナーGBR」と呼ばれる骨造成処置を行います。具体的には、インプラントの周囲に骨補填材を充填し、その上をコラーゲン膜やレジン(ソケットシール法)で封鎖します。こうすることで、抜歯した穴の中に食べ物や汚れが入り込むのを防ぎつつ、骨が再生するための環境を整えます。
こうした「骨造成の同時施術」ができるかどうかは、術者の経験と判断力に大きく左右されます。抜歯して、感染を取り除いて、インプラントを入れて、骨補填材を入れて、封鎖して、これらすべてを一度のオペの中で正確に進めていく。ここに、抜歯即時インプラントの難しさと、私たちが大切にしている「安全と精密の両立」が集約されています。
ITI認定インプラントスペシャリスト&インストラクターによる確かな判断力
抜歯即時インプラントは、通常のインプラント手術とは異なる判断がいくつも求められる高度な治療です。骨の治癒形態を予測する力、感染巣を見落としなく除去する技術、不規則な抜歯窩の中で最適な位置にインプラントを固定する経験。これらがすべて揃って初めて、安全な抜歯即時インプラントが可能になります。
当院の院長は、世界的なインプラント学術団体であるITI(International Team for Implantology)の日本支部公認インプラントスペシャリスト認定医であるとともに、オステムインプラントのインストラクター講師として他の歯科医師にインプラント治療を指導する立場にあります。15年以上にわたるインプラント治療の経験から蓄積した臨床知見に加え、常に最新のデジタル技術を取り入れ続けることで、「経験と勘だけに頼らない」「デジタルだけにも頼らない」両方のバランスが取れた治療を実現しています。
他院で「骨が足りないからインプラントはできない」と言われた方、「抜歯即時は難しい」と断られた方も、諦める前に一度ご相談いただければと思います。
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【症例紹介】破折した左下奥歯を抜歯即時インプラントで再建(70代女性)
ここで、実際に当院で抜歯即時インプラントを行った症例をご紹介します。
この患者様は、16年前に当院でインプラント治療と全体的な歯科治療を受けられた方です。当時から「次に問題が起こる可能性がある歯」としてお伝えしていた歯があり、16年間にわたって年2回の定期メンテナンスで噛み合わせ調整を注意深く行ってきました。しかし、もともと残っている歯の部分が薄くなっていたこともあり、今回その歯が破折してしまいました。
歯茎が腫れてきたとのことでご来院いただき、診察したところ歯が割れて保存不可能な状態であることをお伝えしました。患者様はインプラントでの再建を希望され、歯を抜いたその日にインプラントを入れる抜歯即時埋入を行うことになりました。
歯が破折して炎症が起きていたため、骨のボリュームがやや減少していました。そこで、抜歯即時埋入に加え、同時に骨造成(GBR)も実施。骨補填材を充填した後、ソケットシール法で上部をレジンにて封鎖しました。
手術時間は、抜歯に10分、インプラント埋入に15分程度。術後の痛みはまったくなく、痛み止めも一度も飲まなかったとのことです。術後4ヶ月ほどで最終的なセラミックの被せ物が入り、患者様にも大変喜んでいただけました。16年前の手術と比べて「あまりにも早く終わって驚いた」とおっしゃっていたのが印象的です。
この10年でデジタル歯科治療は大きく進化しました。サージカルガイドや口腔内スキャナー、3Dプリンターといった最新技術を駆使することで、手術の侵襲を極限まで抑え、患者様への負担を最小限にすることが可能になっています。ただし、どんなにデジタル技術が進んでも、歯科医師としての経験に基づいた繊細な判断力は欠かせません。デジタルの力と匠の技。この両輪があってこそ、安心で精密な治療が実現できるのです。
【症例の詳細】
- 年齢:70代女性
- 主訴:歯茎が腫れてきた
- 治療内容:奥歯1本のインプラント(抜歯即時埋入+同時GBR)
- 費用:44万円(税込)×1本
- 治療期間:約4ヶ月弱(インプラントのみの治療)
- リスク・副作用:治療後はメンテナンスを継続しないと歯周病になる可能性があります
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抜歯即時インプラントの治療の流れ|当院の場合
「実際に治療を受けるとしたら、どんな流れで進むの?」「何回くらい通えばいいの?」ここでは、当院で抜歯即時インプラントを受ける場合の具体的なステップをお伝えします。
ステップ1|無料カウンセリング・CT撮影で適応を診断
最初のステップは、無料カウンセリングです。まず、今のお悩みやご不安をじっくりお聞かせください。トリートメントコーディネーター(TC)が、ドクターに直接聞きにくいことや言いにくいことも丁寧に汲み取りながら、患者様の味方としてサポートします。
カウンセリングの後、レントゲンとCT撮影を行い、骨の状態を三次元的に確認します。CT撮影は通常22,000円相当の検査ですが、当院の無料相談ではこのCT撮影も無料で受けていただけます。完全個室の診療室で、100インチ超の大画面モニターを使い、ご自身のお口の状態をわかりやすくご説明します。
このカウンセリングはインプラント治療を強要するものではありません。インプラント以外の選択肢も含めて一緒に検討しますし、「今日は話を聞くだけ」という方ももちろん歓迎しています。毎月20名ほどの方がこの無料相談にお越しくださっています。
ステップ2|デジタルシミュレーションとサージカルガイド制作
CT画像と口腔内スキャンのデータをコンピュータ上で統合し、インプラントの最適な位置・角度・深さをシミュレーションします。骨の厚みや幅、周囲の骨壁の状態、神経や血管の位置を三次元的に確認しながら、最も安全で審美的にも優れた埋入計画を立案します。
そのシミュレーションデータをもとに、サージカルガイドを院内の3Dプリンターで制作します。外部に委託しないため、制作にかかる時間も短く、通院回数を増やす必要がありません。
ステップ3|抜歯+インプラント埋入+(条件を満たせば)仮歯装着を同日に
手術当日の流れです。まず局所麻酔を行い、歯を丁寧に抜きます。歯科恐怖症の方や、手術器具の音や振動にどうしても不安がある方には、静脈内鎮静法(セデーション)もご用意しています。専門の麻酔科医のもと、ほぼ眠っているようなリラックスした状態で手術を受けていただけます。
歯を抜いた後は、周囲の感染巣を徹底的に除去し、新鮮な骨面を出します。その後、サージカルガイドを装着して、シミュレーションどおりの位置にインプラントを埋入。必要に応じて骨補填材の充填とソケットシールなどの封鎖処理を行います。
埋入後はISQ値を測定し、インプラントの初期固定の強さを確認します。ISQ値が70以上であれば、その日のうちに仮歯を装着する即時荷重に進みます。数値が基準に満たない場合は、無理をせず、骨との結合を待ってから仮歯を入れるという判断をします。
ステップ4|骨との結合を待ち、最終的なセラミック歯を装着
インプラントと骨がしっかり結合するまで、3〜4ヶ月程度の安定期間を置きます。この間は定期的にご来院いただき、インプラントの状態や口腔内の健康をチェックします。骨との結合が確認できたら、最終的なセラミックの被せ物を製作し、装着して治療は完了です。
治療中の「歯がない期間」が不安な方へ|暫間インプラントという選択肢
「即時荷重ができなかった場合、治療期間中はずっと歯がないまま過ごさなければいけないの?」この不安は、多くの患者様が抱えるものです。
当院では、そうしたケースに対応するために「暫間(ざんかん)インプラント」という方法をご用意しています。暫間インプラントとは、本来のインプラントとは別に、一時的に仮歯を支えるための細い固定用のインプラントです。
本来のインプラントには力をかけずに骨との結合を待ちながら、暫間インプラントで仮歯を支えることで、治療期間中も入れ歯なしで過ごすことができます。暫間インプラントは骨とくっつかない設計のため、役割を終えたら逆回転で簡単に取り外せます。麻酔もほとんど必要ありません。
たとえば、下の奥歯に複数本のインプラントを入れるケースでは、従来なら治療中はずっと入れ歯で過ごさなければならないところ、暫間インプラントを使って仮歯を入れることで、入れ歯生活を最短1ヶ月程度で終えることができたケースもあります。治療の完了自体には時間がかかるとしても、入れ歯のストレスから早い段階で解放されるのは、生活の質の面で大きな違いです。
「入れ歯はどうしても嫌」「治療中でも見た目が気になる」という方は、ぜひご相談ください。
抜歯即時インプラントの費用
「抜歯即時だと、追加で費用がかかるのでは?」費用面の不安を感じる方も多いかと思いますので、当院の費用体系をお伝えします。
当院のインプラント治療は、インプラント+上部構造(被せ物)で1本あたり370,000〜440,000円(税別)です。これは抜歯即時の場合でも基本的に変わりません。
歯を抜いた後に骨の量が不足している場合は、骨造成のオプション費用(80,000〜120,000円・税別)が別途かかることがあります。ただし、先ほどお話ししたように、抜歯即時インプラントの場合は骨が痩せる前に埋入できるため、骨造成が不要になるケースも多く、結果的にトータルの費用を抑えられることもあります。
また、手術が1回で済むぶん通院回数も減り、お仕事を休む回数や交通費といった間接的な負担も軽減されます。
お支払い方法については、各種クレジットカードの分割払いに加え、デンタルローン(年率3.3%・最大120回払い)もご利用いただけます。無料カウンセリングの際に、CT撮影の結果を踏まえた詳しいお見積もりをご提案しますので、費用面が気になる方もまずはお気軽にご相談ください。
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抜歯即時インプラントは「抜歯前」のご相談がベスト
最後に、一つだけお伝えしたいことがあります。
もし他の歯科医院で「この歯は抜かなければいけません」と言われたら、抜歯する前にご相談いただくのがベストです。
理由は二つあります。
一つは、抜歯前であれば抜歯即時インプラントの選択肢が残されているということ。すでに歯を抜いてしまうと、その瞬間から骨の吸収が始まります。時間が経つほど骨は痩せていき、抜歯即時という選択肢が使えなくなる可能性があります。
もう一つは、本当に抜歯が必要かどうかをもう一度検討できるということです。当院には根管治療を専門とする副院長が在籍しています。マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使った精密な根管治療により、他院で「もう抜くしかない」と言われた歯でも保存できる可能性を最後まで追求します。CTによる三次元画像診断、MTAセメント、歯根端切除術など、多角的なアプローチで天然歯の保存に取り組んでいます。
私たちの信念は「天然歯に勝るものはない」ということです。インプラントは素晴らしい治療ですが、ご自身の歯を残せるのであれば、それに越したことはありません。カウンセリングでは、インプラント以外の選択肢も含めて、一緒に最善の方法を考えます。
まとめ:抜歯即時インプラントで「歯を失う不安」を最小限に
この記事では、抜歯即時インプラントについて、仕組みからメリット・リスク・適応条件・治療の流れ・費用まで、幅広くお伝えしてきました。
抜歯即時インプラントは、歯を抜いた当日にインプラントを埋入することで、治療期間の大幅な短縮、手術回数の削減、歯茎への負担の軽減、骨吸収の予防といった多くのメリットをもたらします。一方で、すべての方に適応できるわけではなく、骨の状態や歯の病状を正確に見極める診断力、感染巣を徹底的に除去する技術、デジタル技術を活用した精密な埋入計画。こうした総合的な力が求められる高度な治療でもあります。
「歯を抜かなければいけない」と言われたとき、その先にどんな治療の選択肢があるのかを知ること。それが、将来のお口の健康と毎日の生活の質を守る第一歩になります。
当院では、インプラント個別無料相談を実施しています。所要時間は60分、完全予約制・完全個室です。カウンセリングに加え、レントゲン・CT撮影(22,000円相当)も無料で受けていただけます。インプラント治療を強要するものではなく、インプラント以外の選択肢も一緒に検討しますので、「まずは話を聞いてみたい」という方もお気軽にお越しください。毎月20名の方がこの無料相談をご利用くださっています。
「自分の場合はどうなんだろう」その答えは、CT撮影で骨の状態を確認することで見えてきます。
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