「歯を失ったとき、インプラントと入れ歯のどちらを選ぶべきか」——多くの方が最初に直面する悩みではないでしょうか。 見た目の自然さや噛む力の回復を優先するのか、治療費や期間を抑えることを重視するのかによって、最適な治療法は異なります。
インプラントは自分の歯に近い感覚で噛めることが魅力ですが、外科処置や費用の高さを不安に感じる方も少なくありません。一方、入れ歯は短期間・低予算で治療できる反面、「外れやすい」「見た目が気になる」といった声も多く聞かれます。さらに、総入れ歯の不便を解消する「インプラント入れ歯(オーバーデンチャー)」という第三の選択肢も注目されています。
この記事では、大阪でインプラント治療を専門的に行う帝塚山スマイルデザインクリニック院長の岩下が、インプラントと入れ歯、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、年代やライフスタイルに合わせた選び方、そして後悔しないために知っておくべきポイントを解説します。歯を失ったあとも安心して食事や会話を楽しめるよう、治療を検討するうえでの参考にしていただければ幸いです。
目次
インプラントと入れ歯、結局どっちがいい?
歯を失ったときにまず悩むのが、「インプラントと入れ歯、どちらを選ぶべきか」という点です。どちらにも利点と課題があり、単純に優劣をつけられるものではありません。大切なのは、ご自身の価値観や生活スタイルに合った治療法を見極めることです。
たとえば、見た目の自然さを重視する方にとっては、人工歯が歯ぐきになじむインプラントの方が安心感につながる場合があります。一方、食事の楽しみを第一に考える方であれば、しっかり噛める治療法が理想的です。また、費用の面を優先する方にとっては、保険が適用される入れ歯が現実的な選択になることもあるでしょう。
このように、何を一番大切にするかによって答えは変わってきます。ここからは、「見た目」「食事」「費用」といった具体的な視点ごとに、インプラントと入れ歯の違いを詳しく見ていきましょう。
見た目にこだわるなら
人と接する機会が多い方にとって、治療後の口元の自然さは大きな関心事です。インプラントは顎の骨に直接固定されるため、歯ぐきから自然に歯が生えているように見えます。人工歯の種類や材料も選択でき、色味や形を周囲の歯と調和させやすい点が特徴です。そのため「入れ歯だと気づかれたくない」という方にとって安心感のある治療法といえるでしょう。
一方で、入れ歯は保険適用で短期間に作製できる反面、金属のバネが見えてしまう場合や、歯ぐきとの境目が不自然に見えることがあります。最近では金属を使わない義歯や、見た目に配慮した材料を用いたものもありますが、費用や耐久性とのバランスを考える必要があります。
「できるだけ天然の歯に近い見た目にしたい」「人前で口元に自信を持ちたい」という方は、インプラントのメリットを強く感じやすい傾向にあります。ただし、どちらの治療にもそれぞれの特徴があるため、まずは歯科医に相談し、自分のライフスタイルや希望に合わせた選択を検討することが大切です。
食事を楽しみたいなら
毎日の食事をどれだけ快適に楽しめるかは、治療法を選ぶうえで重要なポイントです。インプラントは顎の骨にしっかり固定されるため、天然の歯に近い噛む力を再現できるのが大きな特徴です。硬い食材や繊維質の多いものでも噛み切りやすく、「治療後でも自分の歯のように感じられる」と答える方が多くいらっしゃいます。
一方、入れ歯は治療期間が短く、保険適用で作れる利点がありますが、噛むときに動いたり外れたりする場合があり、食事中に違和感を覚えることも少なくありません。特に総入れ歯では、噛む力が天然歯の3割程度まで低下するといわれ、硬い食材を避けざるを得ない原因になることがあります。食事を快適に楽しみたい方にとっては大きな制約となりやすいのです。
もちろん、入れ歯にも改良が進んでおり、材質や設計によってはフィット感が高まり、ある程度しっかり噛めるものもあります。しかし長期的に「食べたいものを気兼ねなく食べたい」と考えるなら、インプラントの優位性は明らかといえるでしょう。治療後に後悔しないためには、歯科医に相談し、自分の生活に合った選択をすることが大切です。
費用を最優先にするなら
治療にかかる費用を重視する場合、入れ歯はもっとも現実的な選択肢です。保険が適用されるため相場が低く抑えられ、総入れ歯であっても比較的少ない自己負担で治療を進められます。治療期間も短く、数週間から1か月程度で装着できることが多いため、患者さんの経済的・時間的な負担を軽減できる点が大きな利点です。
一方で、インプラントは外科的処置を伴い、保険が適用されない自由診療です。1本あたりの費用は入れ歯や義歯に比べて高額で、相場としては数十万円程度かかるのが一般的です。ただし、取り外し式の入れ歯と違い、固定されるため手入れが簡単で長期的に安定しやすく、結果的に再治療の回数が少なく済むという特徴もあります。
費用を最優先にするなら入れ歯が有利ですが、短期的な支出だけでなく「治療後にどの程度快適に噛めるか」「将来的に何度作り直す必要があるか」といった点も含めて比較することが大切です。
インプラントの方が良いと言われる理由
歯を失ったときの治療法として、インプラントは「より自然で長く使える方法」として注目されています。実際に、歯科医からも「インプラントの方が良い」と勧められる場面は少なくありません。その理由は、単に見た目が自然であるというだけでなく、機能性や将来の歯の健康に深く関わるからです。
まず、インプラントは顎の骨に直接固定されるため、天然の歯に近い噛む力を取り戻せます。これにより、食事の満足度が大きく向上します。さらに、ブリッジや入れ歯のように周囲の歯に負担をかけることがなく、残っている歯を守れる点も大きなメリットです。そして長期的に見れば、しっかりメンテナンスを行うことで10年以上使い続けられるケースも多く、結果的に治療のコストパフォーマンスが良いと言われます。
このように、インプラントが「優れた治療」と位置づけられるのには確かな根拠があります。ここからは、具体的にどのような理由で支持されているのかを順に見ていきましょう。
噛む力の再現性が高い
インプラントの大きな特徴は、顎の骨に直接埋め込まれることで、自分の歯に近い噛む力を取り戻せる点です。天然の歯と同じように骨と結合するため、噛んだときの弾力や安定感が高く、治療後でも「しっかり噛める」という感覚を得やすいのです。特に硬い食材を噛み切る場合や、食事全体を自然に楽しみたい方にとって大きなメリットとなります。
一方、入れ歯は歯ぐきの上にのせて支える仕組みのため、噛む力の回復率は天然歯の2〜3割程度にとどまるといわれています。外れやすさや金具の違和感もあり、噛む力が十分に発揮されない場合も少なくありません。総入れ歯ではさらに制約が大きく、硬いものを控えざるを得ないケースもあります。
「食べたいものを気兼ねなく食べたい」「噛むことで全身の健康を守りたい」という方にとって、インプラントは非常に有効な治療法といえるでしょう。歯科医による適切な診断と治療を受けることで、長期的に快適な食生活を維持できる可能性が高まります。
他の歯を守れる治療
インプラントが高く評価される理由のひとつに、「残っている歯を守れる」という特徴があります。ブリッジの場合は失った歯の両隣を削って土台にする必要があり、健康な歯に大きな負担をかけてしまいます。また、部分入れ歯は金具で周囲の歯を支える仕組みのため、装着時の違和感に加え、噛むたびに支えとなる歯に力が集中し、将来的に弱ってしまうケースも少なくありません。
一方で、インプラントは顎の骨に直接固定されるため、周囲の歯に依存せず独立して機能します。残っている天然歯を削る必要がなく、他の歯に余計な負担を与えないため、長期的に口全体の健康を維持しやすい治療法といえるのです。
「できるだけ自分の歯を長持ちさせたい」「将来的にさらに歯を失いたくない」と考える患者さんにとって、インプラントは大きな安心につながります。治療の選択に迷う場合には、まず歯科医に相談し、残存歯の状態や今後のリスクを踏まえたうえで判断することが大切です。
長持ちするから結果的にコスパが良い
治療を選ぶうえで、費用だけでなく「どれくらい長く使えるか」も重要な視点です。入れ歯は保険が適用でき、初期費用は抑えられますが、数年ごとに作り直しや調整が必要になる場合があります。顎の骨や歯ぐきの状態が変化すると合わなくなり、噛みにくさや痛みの原因となることも少なくありません。そのたびに再治療を行えば、結果的に負担が積み重なってしまいます。
一方、インプラントは治療後に適切なメンテナンスを続ければ、10年、20年と長く使えることが多く報告されています。周囲の歯に影響を与えにくく、口全体の健康を保ちやすい点も長持ちにつながる要因です。初期費用は大きくても、頻繁な作り直しや脱落のリスクが少ないため、長期的に見れば「コストパフォーマンスの良い治療」と考えられます。
患者さん一人ひとりの状態や生活習慣によって持続性は異なりますが、「長く安心して使えるかどうか」を基準に治療を検討することは、将来の経済的・身体的な負担を減らすことにつながります。
入れ歯のメリットと限界
歯を失った際、もっとも手軽に治療を始められる方法として入れ歯は長く選ばれてきました。保険が適用されるため費用を抑えられ、外科的な処置が不要で身体への負担が少ないことから、幅広い世代に支持されています。
具体的には、治療期間が短く、比較的早く装着できる点や、取り外しができるため清掃しやすく衛生的に保てる点などが大きな利点です。しかしその一方で、使用中にズレや外れが起きやすかったり、見た目の不自然さが気になったりすることもあります。特に総入れ歯の場合は、日常生活における違和感や不安が生じるケースも少なくありません。
このように、入れ歯には多くのメリットがある一方で、限界や注意点も存在します。ここからは、入れ歯を選ぶうえで知っておきたい具体的な特徴について、順にご紹介していきましょう。
治療期間が短い・保険適用で安い
入れ歯の最大のメリットのひとつは、治療期間が比較的短いことです。一般的な部分入れ歯であれば数週間、総入れ歯でも1か月前後で装着できる場合が多く、歯を失ったあとでも早い段階で日常生活を取り戻すことができます。外科的な手術を行わないため、身体への負担が少ない点も安心材料です。
さらに、保険が適用される義歯は料金を大きく抑えられるのが特徴です。保険診療では使用できる材料や設計に制限はありますが、金属のバネを利用したタイプを中心に、必要最低限の機能を備えた入れ歯を経済的に提供することが可能です。総入れ歯であっても自由診療に比べれば費用は格段に安く、患者さんにとって現実的な選択肢といえるでしょう。
もちろん、見た目や快適さを追求する場合には保険外の義歯や他の治療法を検討する必要がありますが、「短期間で装着でき、費用も抑えたい」という方にとって、入れ歯は非常に有効な治療方法です。
取り外しできて清掃がしやすい
入れ歯の大きな特徴は、装着したままではなく取り外して清掃できる点にあります。食後に外して義歯を洗浄すれば、食べかすが残りにくく、虫歯や歯周病の原因を減らせます。部分入れ歯の場合は、残っている歯や歯ぐきを直接ブラッシングできるため、口腔内を清潔に保ちやすいのもメリットです。
総入れ歯においても同様で、夜間は外して歯茎を休ませることが推奨されるなど、取り外しできることは歯や歯茎の健康管理につながります。金属のバネや固定部がある義歯であっても、洗浄液や専用ブラシを活用することで比較的簡単に清掃が可能です。
ただし、取り外し式であるがゆえに、装着中に外れやすさや安定感の不足を感じる患者さんもいます。そのため、安定剤を併用して調整する場合や、定期的に歯科で調整が必要になる場合もあります。
「口の中を清潔に保ちたい」「日々の手入れを自分でしっかり行いたい」という方にとって、入れ歯は扱いやすい治療法といえるでしょう。
ズレや外れ・見た目の不自然さが気になる
入れ歯を使用するうえで、多くの患者さんが不安に感じるのが「ズレや外れ」です。特に総入れ歯は歯ぐきの吸着力で支えるため、会話や食事の最中に動いてしまう場合があります。そのたびに違和感を覚えたり、しっかり噛めなかったりすることがストレスとなるケースも少なくありません。部分入れ歯でも、合わなくなったときに金属のバネが歯茎や周囲の歯に負担をかけ、痛みや外れやすさの原因になることがあります。
また、見た目の不自然さも懸念点のひとつです。金属のバネが見えてしまうと、口を開けたときに入れ歯であることが分かってしまい、自然な口元を保つのが難しいと感じる方もいます。特に人と接する機会が多い方にとって、心理的な影響は大きいでしょう。
もちろん、歯科医による精密な調整や、見た目に配慮した材料を用いることで改善できる場合もあります。ただし、快適さや自然さを重視する方にとっては、入れ歯の限界を感じやすい点でもあります。こうした不安を解消するためには、治療前にしっかり相談し、自分に合った選択肢を見極めることが大切です。
インプラントと入れ歯で「後悔しやすいポイント」
治療法を選ぶときには慎重に検討しても、実際に生活の中で使い始めてから「想像していたのと違った」と後悔してしまう方も少なくありません。インプラントも入れ歯も、それぞれに長所と短所があり、事前に理解しておかないと治療後に不満や不安を抱える原因になりやすいのです。
入れ歯を選んだ方の中には「外れやすい」「見た目が気になる」といった声が多く聞かれます。一方、インプラントを選んだ方からは「費用が予想以上にかかった」「外科手術が思ったより負担だった」という感想が寄せられることもあります。こうした後悔は、治療を受ける前に情報が不足していたり、自分のライフスタイルや体の状態に合っていない選択をしたりした場合に生じやすいのです。
そこで大切なのは、「自分にとって何を優先すべきか」を整理してから治療に臨むことです。ここからは、入れ歯を選んで後悔した方の声、インプラントを選んで後悔した方の声、そして後悔しないために確認すべきチェックリストについて、具体的に解説していきます。
入れ歯を選んで後悔する人の声
費用を抑えられることや短期間で治療できることから入れ歯を選ぶ方は多いですが、その後に「思っていたよりも快適ではなかった」と感じるケースも少なくありません。特に総入れ歯では、装着中に外れたりズレたりすることがあり、日常生活の中で大きな違和感を覚える患者さんが多いのです。
見た目の面でも後悔の声が聞かれます。部分入れ歯の金属バネが前歯の近くにかかると、口を開けたときに目立ちやすく、「自然な印象が損なわれる」と感じる方もいます。保険適用の義歯は経済的なメリットがある一方で、使用できる材料や設計に制限があるため、快適さや自然な見た目を重視する場合には不満が残りやすいのです。
さらに、入れ歯は時間の経過とともに歯ぐきや顎の骨の状態が変わり、合わなくなることもあります。その結果、繰り返し調整や作り直しが必要になり、「治療後も手間がかかる」という後悔につながることがあります。
「費用を優先して入れ歯にしたけれど、もっと快適さや自然さを求めればよかった」という声は少なくありません。こうした後悔を避けるためには、治療前に歯科医と十分に相談し、自分にとって何を大切にするかを明確にしておくことが大切です。
インプラントを選んで後悔する人の声
入れ歯に対してインプラントは機能性や見た目の自然さで高い評価を受ける一方、選んだあとに「想像以上に大変だった」と感じる患者さんもいます。もっとも多いのは、治療にかかる費用の大きさです。1本あたり数十万円という治療費は、入れ歯に比べると大きな負担であり、複数本を同時に行う場合にはさらに高額になることから「ここまで費用がかかるとは思わなかった」という後悔の声につながることがあります。
また、外科的な手術を伴うため、痛みや腫れ、治療後の違和感を経験するケースもあります。治療自体は歯科医の技術によって安全に行われますが、「手術への不安」や「通院や治癒にかかる時間」が負担になり、後悔の理由になることも少なくありません。
さらに、顎の骨や周囲の状態によっては治療計画が変更されたり、予定より長い期間が必要になったりする場合もあります。「すぐに噛めるようになると思っていたが、実際は時間がかかった」という声もその一例です。
このように、インプラントにも特有のリスクや不安があるため、事前に十分な説明を受け、納得したうえで治療に臨むことが欠かせません。治療後に後悔しないためには、費用や治療期間だけでなく、自分の体調やライフスタイルに合っているかどうかを歯科医と相談することが重要です。
後悔しないためのチェックリスト
インプラントと入れ歯のどちらを選んでも、後悔しないためには「治療前の確認」が欠かせません。治療後に「思っていたのと違った」と感じる多くの原因は、情報不足や自分の状態とのミスマッチにあります。以下のような視点を一度整理してから治療を検討すると安心です。
費用と期間を把握できていますか?
インプラントは自由診療で高額ですが長期使用が可能です。入れ歯は保険適用で安い一方、作り直しの負担が将来的に増える可能性があります。
自分の健康状態に合っていますか?
糖尿病や骨の状態によってはインプラントが難しい場合もあります。持病や服薬状況は必ず歯科医に相談しましょう。
見た目や快適さをどの程度優先しますか?
入れ歯は金属のバネや歯茎との境目が見えやすいことがあります。インプラントは天然歯に近い見た目を得やすい治療です。
周囲の歯への影響を考えていますか?
ブリッジや部分入れ歯は周囲の歯を支えにするため負担がかかります。残っている歯を長く保ちたい方にはインプラントが有利です。
長期的なライフスタイルに合っていますか?
毎日の手入れや将来の再治療の可能性を含めて、自分に合うかどうかを考えることが重要です。
こうした視点をもとに、自分にとって大切なポイントを整理しておけば、治療後に後悔するリスクを大きく減らすことができます。最終的には歯科医と十分に相談し、将来を見据えた選択を行うことが何より大切です。
インプラントにする人、入れ歯にする人
歯を失ったときに「自分にはどの治療が合っているのか」を判断するのは簡単ではありません。インプラントも入れ歯も、それぞれに向いている人とそうでない人がいます。大切なのは、自分の生活習慣や体の状態、そして将来のライフプランに照らして考えることです。
たとえば、仕事や趣味で人と話す機会が多い方は、自然な見た目と安定感を得やすいインプラントを選ぶケースが多く見られます。一方、治療費や通院回数を抑えたい場合には、保険適用で比較的負担の少ない入れ歯を選ぶ方も少なくありません。
また、年齢や健康状態も重要な判断基準になります。持病や骨の状態によってはインプラントが難しい場合があり、その際には入れ歯が現実的な選択肢となります。さらに、総入れ歯に対して強い不安を抱えている方には、インプラントと入れ歯を組み合わせた「オーバーデンチャー」という治療法もあります。
このように、どちらが正解というものではなく、ライフスタイルや体の条件によって最適な選択肢は異なります。ここからは、「ライフスタイル」「年齢・健康状態」「オーバーデンチャー」という観点から、具体的に見ていきましょう。
ライフスタイルから見た選び方
治療法を選ぶときには、単に「どちらが優れているか」ではなく、自分のライフスタイルに合っているかを考えることが大切です。
たとえば、人と接する機会が多い患者様にとっては、見た目が自然で、会話や食事のときに違和感を感じにくい治療が望まれます。固定式でしっかり噛めるインプラントは、快適さを重視する方に適していると言えるでしょう。日常生活の中で「入れ歯だと気づかれたくない」「噛む力を気にせず食事を楽しみたい」という方には特に向いています。
一方で、費用や治療期間を抑えたい場合には入れ歯が現実的な選択肢です。保険が適用される義歯であれば経済的な負担を軽減でき、短期間で装着できるため、日常生活を早く取り戻したい方にとって有効です。ただし、金属バネの見え方や装着時の違和感、合わなくなった際の再調整など、ライフスタイルによっては不便を感じる場合もあります。
どちらの治療を選ぶにしても、最終的には「自分が何を優先したいか」が基準になります。費用・見た目・快適さなど、生活に直結する要素を整理し、歯科医に相談して最適な方法を選ぶことが、後悔のない治療につながります。
年齢・健康状態から見た選び方
治療法の選択において、年齢や健康状態は大きな判断基準となります。若い世代や中高年の患者様は、今後の生活期間が長いことから、できるだけ噛む力を維持し、口元の自然さを保てる治療が望まれます。健康状態に問題がなければ、長期的な安定性を期待できるインプラントは有力な選択肢となるでしょう。
一方で、高齢者や持病を抱える方の場合、外科的処置を伴うインプラントが難しいケースもあります。糖尿病や心疾患、骨粗しょう症などの疾患は治療に影響を与えるため、歯科医と十分に相談する必要があります。そのような状況では、外科的リスクが少なく、比較的短期間で装着できる入れ歯が現実的な治療法となります。
また、総入れ歯が必要な方の中には「顎の骨が痩せてしまっている」という理由でインプラント治療が制限される場合もあります。このような場合でも、患者様の状態に合わせて、インプラントと入れ歯を組み合わせた方法を提案できることもあります。
治療の選択に迷ったときは、年齢や健康状態を踏まえたうえで、将来の生活にどう影響するかを考えることが大切です。最終的には、歯科医と相談しながら、自分の体に合った方法を選ぶことが後悔のない治療につながります。
入れ歯に不安がある人にはオーバーデンチャーという選択肢も
入れ歯は短期間で治療でき、費用も比較的抑えられるため多くの患者様に選ばれていますが、「外れやすい」「しっかり噛めない」「合わなくなりやすい」といった不安の声も少なくありません。こうした悩みに対して有効な方法が、インプラントと入れ歯を組み合わせた オーバーデンチャー です。
オーバーデンチャーは、数本のインプラントを顎の骨に埋め込み、それを支えにして義歯を固定する仕組みです。これにより、通常の総入れ歯よりも安定して噛めるようになり、食事や会話のときに「外れてしまうのでは」という不安を大きく減らせます。それでいて完全固定式のインプラントよりも費用を抑えられる場合があるため、負担を軽くしたい方にとって現実的な選択肢となります。
さらに、オーバーデンチャーは取り外し式のため、清掃やメンテナンスも行いやすく、口腔内を清潔に保ちやすい点もメリットです。入れ歯に不安を感じている方や、完全固定式の治療に踏み切れない方は、一度歯科医に相談してみると良いでしょう。
インプラント入れ歯(オーバーデンチャー)の可能性
インプラントと入れ歯の中間的な治療法として、近年注目されているのが「インプラント入れ歯(オーバーデンチャー)」です。これは、顎の骨に数本のインプラントを埋め込み、それを支えにして入れ歯を固定する方法で、従来の総入れ歯の弱点を補える点が特徴です。
総入れ歯では「外れやすい」「しっかり噛めない」といった不便を感じる患者様が多く見られますが、オーバーデンチャーではインプラントの固定力によって大きく改善が期待できます。さらに、完全固定式のインプラント治療に比べると少ない本数で済むため、費用を抑えられるケースもあります。
また、取り外しが可能であることから清掃やメンテナンスがしやすく、日常生活での快適さと衛生面の両立がしやすい点も支持されている理由です。ここからは、オーバーデンチャーが持つ具体的なメリットについて、「総入れ歯の不便を解消」「費用を抑えられるケース」「固定力と快適さの両立」という観点から詳しく見ていきましょう。
総入れ歯の不便を解消できる治療法
総入れ歯を使用している患者様からは、「外れやすい」「しっかり噛めない」「違和感が大きい」といった声が多く聞かれます。歯ぐきの吸着力だけで義歯を支える仕組みのため、状態によっては痛みや不安定さを感じやすいのです。食事の際に強く噛めなかったり、会話の最中にずれてしまったりすることは、日常生活の質に大きな影響を及ぼします。
インプラント入れ歯(オーバーデンチャー)は、こうした総入れ歯の不便を解消できる治療法です。顎の骨に数本のインプラントを埋め込み、それを支えにして義歯を固定することで、外れにくく安定した装着感を得られます。少ない本数で済むため、完全固定式のインプラント治療に比べて負担を軽減できるのも特徴です。
さらに、取り外し式であるため清掃や手入れが簡単で、口腔内を清潔に保ちやすい点も安心材料です。「総入れ歯の不便さを解消したいが、完全固定式の治療には踏み切れない」という方にとって、オーバーデンチャーは現実的かつ有効な選択肢となります。
インプラント単独より費用を抑えられるケースも
インプラントは機能性や見た目の自然さに優れた治療ですが、1本ごとに費用がかかるため、多くの歯を失った場合には経済的な負担が非常に大きくなります。特に総入れ歯が必要なほど歯を失った方が、すべてをインプラントで固定式にしようとすると、多くの本数が必要となり、費用も時間も大きくかかってしまうのです。
インプラント入れ歯(オーバーデンチャー)は、こうした費用面での負担を軽減できる治療法です。顎に埋め込むインプラントの本数は少なく済み、それを支えとして義歯を固定するため、インプラント単独治療に比べて費用を抑えやすいのが特徴です。それでいて、総入れ歯にありがちな「外れる」「合わない」といった不便を解消し、快適に噛める状態を実現できます。
また、取り外し可能な設計であるため清掃がしやすく、日常生活における管理もしやすい点も魅力です。費用と快適さのバランスを重視したい患者様にとって、オーバーデンチャーは現実的で納得感のある選択肢といえるでしょう。
固定力と快適さの両立
従来の総入れ歯では「外れてしまう」「噛むときにずれる」といった不安定さが大きな課題でした。インプラント入れ歯(オーバーデンチャー)は、顎の骨に埋め込んだインプラントを支えに義歯を固定するため、高い安定性が得られます。噛む力が向上し、硬い食材でもしっかり噛めるようになることで、食事や会話に安心感を持てるのです。
一方で、完全固定式のインプラントのように「常に装着し続ける」ものではなく、取り外しが可能な設計になっているため、清掃やメンテナンスが行いやすい点も大きな特徴です。これにより、義歯を衛生的に保ちやすく、歯茎や周囲の状態を守りながら長期的に快適さを維持できます。
固定力と快適さを両立できるこの治療法は、「総入れ歯の不便さを解消したいが、完全固定式のインプラントには不安がある」という患者様に特に適しています。安定感と扱いやすさのバランスを兼ね備えているため、多くの方にとって現実的で満足度の高い選択肢となるでしょう。
費用の相場と注意点
インプラントや入れ歯の治療を検討する際、多くの患者様がまず気になるのが「費用はいくらかかるのか」という点です。どの治療を選ぶかによって金額は大きく異なり、初期費用だけでなく将来的なメンテナンスや再治療の可能性も含めて考える必要があります。
一般的に、入れ歯は保険適用が可能で費用を大きく抑えられるのが特徴です。一方、インプラントは自由診療となるため1本あたりの費用が高額になりやすく、複数本を治療する場合は大きな経済的負担となります。オーバーデンチャーは両者の中間に位置し、総入れ歯の不便を解消しながら、単独インプラントより費用を抑えられるケースがあります。
また、費用面を検討する際には「保険が使える治療と使えない治療の違い」を理解することが欠かせません。さらに、医療費控除や分割払いといった制度を利用することで、経済的な負担を和らげることも可能です。
ここからは、入れ歯・インプラント・オーバーデンチャーの費用比較、保険適用の可否、そして負担を軽減する方法について順に解説していきます。
入れ歯・インプラント・オーバーデンチャーの費用比較
治療法を選ぶ際には、それぞれの費用相場を理解しておくことが大切です。入れ歯は保険が適用されるため、部分入れ歯や総入れ歯であっても数千円〜数万円程度と比較的安価に装着できます。ただし、使用できる材料や設計には制限があり、見た目や快適さを重視する場合は自費の義歯を選ぶ必要があり、その場合は数十万円になることもあります。
一方、インプラントは自由診療であり、1本あたり30万〜50万円前後が一般的な相場です。複数本を治療する場合には費用が大きく膨らみ、患者様にとっては大きな負担となることがあります。ただし、長期的に見れば再治療の回数が少なく、快適さを維持できる点で費用に見合う価値を感じる方も多い治療です。
オーバーデンチャーは、数本のインプラントで義歯を固定するため、インプラント単独よりは費用を抑えられます。総入れ歯の不便を解消しつつ、完全固定式ほどの費用負担がないのが特徴です。相場としては総入れ歯より高く、インプラント単独よりは低い中間の位置づけになります。
このように、費用は治療法ごとに大きな違いがあるため、「どの程度の負担で、どのような快適さを得たいか」を考えたうえで選択することが重要です。
保険が使えるケース・使えないケース
治療費を考える上で、保険の適用範囲を理解しておくことはとても重要です。入れ歯(義歯)は通常、保険が使える治療に含まれており、部分入れ歯や総入れ歯でも比較的安い費用で装着できます。ただし、保険診療では使用できる材料や設計に制限があり、金属のバネが目立つ、装着時の違和感が強いなど、快適さや見た目に不満を感じる場合もあります。より自然で快適な義歯を希望する方は、自費の入れ歯を選ぶ必要があり、その際には費用が大きく変わります。
一方、インプラント治療は基本的に自由診療であり、通常の歯を失った場合には保険は適用されません。外科的な処置や高度な技術を伴うため、費用は全額自己負担となります。ただし、腫瘍切除後の顎再建や交通事故など、特殊な理由で歯を失った場合には、例外的に保険が認められるケースがあります。
患者様にとって「保険が使えるかどうか」は負担に大きな違いをもたらします。治療を検討する際には、保険内でできることと保険外での選択肢の特徴を理解し、歯科医と十分に相談して決めることが大切です。
医療費控除・分割払いの活用
インプラントや自費の入れ歯は、保険診療に比べて費用が高額になるため、不安を感じる患者様も多くいらっしゃいます。そこで知っておきたいのが、医療費控除 と 分割払いの活用 です。
医療費控除とは、1年間に支払った治療費が一定額(通常は総所得の5%または10万円を超えた部分)に達した場合、確定申告を通じて税金の還付を受けられる制度です。インプラント治療や自費の義歯も対象となるケースが多く、患者様の経済的な負担を軽減できる可能性があります。家族が支払った治療費を合算できる場合もあるため、条件を確認しておくと良いでしょう。領収書の保管や、必要に応じた歯科医からの証明書類の準備も忘れずに行うことが大切です。
さらに、分割払いやデンタルローンを利用すれば、一度に大きな金額を支払う負担を抑えながら治療を進められます。月々の支払いを調整できるため、「費用の不安が理由で治療をあきらめてしまう」という事態を防ぐ助けになります。
高額な治療であっても、こうした制度や支払い方法を活用することで現実的に取り組める場合があります。治療を検討する際には、歯科医と相談しながら経済面も含めた計画を立てていくことが安心につながります。
まとめ:インプラントと入れ歯、後悔しない選び方を
インプラントと入れ歯には、それぞれに大きな特徴とメリット・デメリットがあります。短期的に費用を抑えて治療を行いたい場合は入れ歯が適していますし、長期的な快適さや噛む力を優先するならインプラントが有力な選択肢となります。さらに、総入れ歯の不便を解消したい方には、インプラント入れ歯(オーバーデンチャー)という中間的な治療法もあり、患者様の状態や希望に応じて柔軟に選べる時代になっています。
大切なのは、「自分が何を優先したいか」を明確にしたうえで、信頼できる歯科医に相談することです。費用・見た目・快適さ・治療期間など、ライフスタイルや健康状態に合った治療を選ぶことで、後悔のない結果につながります。
帝塚山スマイルデザインクリニックでは、専門的な知識と豊富な症例経験をもとに、一人ひとりに合った治療計画をご提案しています。インプラント・入れ歯で迷っている方も、まずはお気軽に無料カウンセリングにお越しください。安心して治療を選択できるよう、丁寧にサポートいたします。
【執筆・監修者】

帝塚山Smile Design Clinic(スマイルデザインクリニック)
院長:岩下太一(歯学博士)
ITI日本支部公認インプラントスペシャリスト認定医
オステムインプラントインストラクター 講師
日本審美歯科学会 認定医
他、所属学会、認定資格多数
充実した無料カウンセリング

初回費用は一切かかりません。安心してご相談ください。
当院では患者様に安心してインプラント治療を受けて頂くために、無料カウンセリングを充実させております。お口の中のお写真やレントゲン写真、場合によってはインプラントの骨を確認するためのCT撮影も無料で行います。もちろん、初回なので一切費用はかかりません。患者様に今のお口の状態を知って頂き、納得してインプラント治療を受けて頂くことが私たちの喜びです。
ITIインプラントスペシャリスト認定医

~ 世界レベルのインプラント治療をあなたへ ~
帝塚山スマイルデザインクリニックの院長はインプラント治療を他の歯科医師に教えるインストラクターの指導的立場として歯科界に貢献しております。また世界的に有名なインプラント学術団体のITI(International Team for Implantology)の日本支部公認インプラントスペシャリストの認定医でもあります。他院で難しいと言われたインプラント治療でも当院では十分に対応できる技術があります。