
治療までの経緯
患者様は左上の5番目の歯が取れたと来院されました。普通ならそのまま外れたものをセメントで接着させて終了なのですが、中を見ていると縦に歯が割れてしまっていました。患者様には、このまま戻しては再び外れてしまい腫れや痛みがでることをご説明しました。治療としては、前後の歯を削って「ブリッジ」、割れた歯の部分だけ「インプラント」、そして「1本入れ歯」の3つの選択肢があることをご説明しました。患者様はよく噛めて、周りの歯も削りたくないとのことでインプラントを選択されました。
治療経過
手術日
当院の方針は治療を安全に丁寧にすることはもちろんですが、その治療をできるだけ痛くなく、治療期間が短くすることを目標にしています。
今回の治療は歯を抜くと同時に行う抜歯即時インプラントで、歯を抜いたその日にインプラントを埋入しました。さらに、骨の高さが少なかったので、ソケットリフト手技を同時に行いました。これは、上顎洞粘膜を上げ、空間を造りそこへ骨ができるようにする技術です。これにより、手術は一回で済み抜歯窩をインプラントで封鎖することができるので、傷の治りも早く痛みも少なくなります。ただし、熟練した技術が必要です。
仮歯で経過観察

当院では最終的なインプラントの被せ物に移行する前に必ず、仮歯(プロビジョナルレストレーション)を使用して、以下のテストを行います。
- しっかりと噛めるか?
- 頬・舌を噛まないか?
- 食事をしてもらい違和感がないか?
- お話してもらい発音等に問題がないか?
このように、仮歯で不具合がないかどうかチェックし、歯茎の形態も仮歯で整えます。問題ないことが確認された後に、色合わせをして、最終的なインプラントの上部構造のセラミックへ移行しますので安心してください。
最終的な被せ物を装着

被せ物の型取りはすべて口腔内スキャナーで行います。以前は粘土状の印象材を使用していましたが、今はその必要がなくなりました。当院がお願いしている技工士は日本でもトップレベルの技工士なので、色も形態も美しくマッチングされた状態で作製していただけます。
特に今回の患者様の歯はテトラサイクリン歯といって、歯の発育過程においてある種の薬の服用により、グラデーションのきつい色に変色してしまっています。患者様のご要望から周りの歯の色に合わせてほしいとのことでしたので、技工士に正確な色の写真を送り作製していただきました。色も1回で合い、周りの歯とまったくわからないほど自然に仕上がり、さらによく噛めるので患者様は大喜びでした。治療期間は3ヶ月ほど、手術は1回で問題なくインプラント治療は終了しました。
ドクターからのアドバイス

抜歯即時インプラントを当院では基本的に行いますが、この手技はいくつもの注意点をすべて同時に対処する必要があります。ただ単に抜歯を行い、そのスペースにインプラントを入れるわけではありません。歯科医師でさえそう思っている方もいます。
今回の手術では、歯を抜くと同時に、デンサーバーと呼ばれる特殊なバーを用いることで骨を硬くしながらインプラント窩を形成し、さらに同時にソケットリフト(上顎洞粘膜を上方へ押し上げる)をすべて同時に行っています。また、インプラントの最終的な位置は、抜歯した傷が完全に治癒することを見越して設定する必要があります。そして、優秀な技工士の腕によりこのインプラントの被せ物が完成しました。
インプラントがすべての技術の集大成であり、熟練した技術と経験が必要といわれる理由はここにあります。インプラント治療をご検討の際は、経験豊富で常に技術習得に努めている歯科医師に診ていただくことをおすすめします。
治療の詳細
| 年齢・性別 | 50代男性 |
|---|---|
| 主訴 | 左上の奥歯1本が外れた |
| 治療内容 | 左上奥歯インプラント治療1本 |
| 費用 | インプラント44万円×1本 |
| 治療期間 | 治癒期間3ヶ月 |
| リスク・副作用 | 治療後はしっかりとメインテナンスを行わないと歯周病になる可能性があります。 |




