「歯周病だとインプラントできないの?」
「インプラントが歯周病になることはある?」
このような疑問をお持ちではありませんか?特に、歯周病が原因で歯を失くしている方にとっては、非常に気になる事柄でしょう。インプラントは人工物なので、歯周病のような疾患とは縁がないと思われている方もいらっしゃいます。しかし、実はインプラントと歯周病は深い関係があるのです。
そこで当記事では、以下の内容を解説いたします。
- 歯周病ってどんな病気?
- インプラントは歯周病になる?
- 歯周病でもインプラントできる?
- インプラント周囲炎を防ぐ4つの方法
当記事を読めば、インプラントと歯周病の関係やインプラント特有の疾患「インプラント周囲炎」について理解できます。記事の後半では、インプラント周囲炎を防ぐ4つの方法についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
歯周病ってどんな病気?歯茎や骨が溶けてしまう病気
歯周病とは、歯と歯茎の間にある歯周ポケットに繁殖した細菌が、歯や歯肉にに悪影響を及ぼす疾患です。
初期症状では、歯肉が赤みを帯びたり、腫れたりします。症状が進行すると炎症が起こり、歯茎の腫れや赤み、出血、口臭などの症状を引き起こします。さらに進行すると、歯を支える骨がボロボロになり、歯が抜ける原因となることがあります。
また歯周病を放置することで、歯を失うだけでなく、心臓病や糖尿病などの全身疾患の原因にもつながることがわかっています。
歯周病の初期症状には痛みを伴うことがほとんどないため、歯周病だと気付くのが遅くなるケースが多いです。日本人が歯を失う理由の2大要因は、虫歯と歯周病。特に40代後半からは、歯周病で歯を失う割合が、虫歯よりも高くなっています。言い換えれば、歯周病を予防・早期に治療することで、将来歯を失うリスクを大幅に減らせるということでもあります。
歯周病を予防するには
歯周病は主に、食べかすや歯垢を栄養源に、お口の中の細菌が増殖することで引き起こされます。そのため、お口の中に食べかすや歯垢を留まらせずに清潔な環境を保つことが、歯周病の予防法としては有効です。
お口を清潔に保ち歯周病を予防するためには、ご自宅での正しい歯磨きの徹底が最も重要です。歯ブラシだけでなく歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯と歯茎の間の汚れを取り除きましょう。
また、特に細菌の栄養源となりやすい糖分をコントロールすることも、歯周病の予防に有効です。甘いものを食べる時間帯を決めて、食べた後にはすぐに歯磨きをすることで、お口に糖分が留まる時間を減らして、細菌の繁殖を防げます。
ご自宅では取りきれないお口の中の汚れは、定期的な歯科検診とクリーニングでケアすることができます。歯科医院でのクリーニングでは、ご自身では取ることのできない歯石を除去したり、歯磨きでは難しい細かな隙間の汚れも落とすことができます。また定期的に歯科で検診を受けることで、気付きにくい歯周病の初期症状を見逃さず、比較的に簡単な治療だけで歯周病を治せる可能性が高まります。
インプラントは歯周病にならない?
当院ではインプラント治療を行うことが非常に多く、たくさんの患者様がご来院くださいます。これまでに多くの患者様から、『インプラントは歯周病になるの?』とご質問いただきました。
まず前提として、インプラントは人工物のため、天然歯のように虫歯になることがありません。虫歯にならないという点はインプラントのメリットとして語られることが多く、これが理由でインプラントは歯周病にならない、と勘違いされている方も多いでしょう。
ところが、インプラントも歯周病のような病気にかかってしまいます。厳密には、歯周病とは天然歯とそれを支える周辺組織に起こる炎症を指すため、インプラントは”歯周病”にはなりません。しかし歯周病とよく似た症状を発症する、『インプラント周囲炎』という状態になってしまうことがあります。
インプラント周囲炎について|インプラントの歯周病
歯磨きをはじめとしたオーラルケアが不足していたり、定期的に歯科で検診やクリーニングをしなければ、天然歯は歯周病になってしまいます。それと同じように、インプラントも『インプラント周囲炎』という、歯周病によく似た症状を起こします。
インプラント周囲炎の仕組みは、歯周病とほとんど同じです。インプラントの周囲に蓄積した歯垢に細菌が感染し、インプラントを支えるあごの骨が溶けるなどの炎症が起きます。
インプラントは人工物のため、虫歯にならないということがよく知られています。しかしその一方で、人工物だからこそ免疫力が備わっていない、というのは知らない方が多いでしょう。そのため一度インプラント周囲炎が発症してしまうと、歯周病よりも早いペースで症状が進行し、あっという間に悪化してしまいます。
インプラント周囲炎は、歯周病と同じく初期症状に気付きにくいため、定期的に歯科での検診を受けて早期発見する必要があります。
インプラント周囲炎になるとどうなる?
インプラントの周辺組織で起きる炎症について、『インプラント周囲炎』とひとまとめにすることが多いのですが、厳密には以下の2つの段階が存在しています。
- インプラント周囲粘膜炎
- インプラント周囲炎
インプラント周囲粘膜炎は、インプラント周囲炎になる一歩手前の段階です。主に、歯肉が腫れたり、出血したりします。痛みを伴わない場合がほとんどなので、気づかないうちに症状が進行してしまうケースが多いです。そして、いつの間にかインプラント周囲炎を発症してしまうのです。
インプラント周囲炎になると、次第に歯肉が退縮したり、あごの骨が溶かされたりします。さらに、インプラントを支えるあごの骨が薄くなった結果、インプラントがぐらぐらしてしまい、抜け落ちてしまう可能性もあるのです。
このような最悪の結果を招かないためにも、ご自宅と歯科でのメンテナンスを徹底し、インプラント周囲炎を予防しましょう。インプラント周囲炎の4つの予防法については、後述するので併せてご覧ください。
インプラント周囲炎の4つの予防法!対策してインプラントを長持ちさせよう
インプラント周囲炎を発症して放置してしまうと、最悪の場合、インプラントが抜け落ちてしまいます。
インプラントは自費診療で、さらに治療費も高額なので、可能な限り長く使用していきたいですよね。インプラントを長持ちさせるためには、インプラント周囲炎にならないよう、徹底的に予防する必要があります。
インプラント周囲炎の主な予防法は、以下の4つです。
- 事前治療で歯周病を治しておく
- 日々のセルフケアを徹底する
- 歯科での定期メンテナンスを行う
- 禁煙・節煙する
これら4つの予防法について、以下でそれぞれ詳しく解説します。インプラント治療を検討している方は、ぜひご覧ください。
インプラント周囲炎の予防法①:事前治療で歯周病を治しておく
歯周病の方は、インプラント治療を開始する前に、歯周病を治しましょう。歯周病のまま、インプラントの手術を行うと、手術直後にインプラントが細菌に感染してしまう可能性もあります。さらに、症状がひどく化膿すると、入れたばかりのインプラントを撤去しなければいけなくなることも。
インプラント治療前には、レントゲン検査や細菌検査を行って、歯周病かどうかチェックします。歯周病が見つかった場合は、歯周病の治療から始めていきましょう。
インプラント周囲炎の予防法②:日々のセルフケアを徹底する
インプラント周囲炎を防ぐためには、ご自宅での日々のケアが最も重要だと言っても過言ではありません。日々のケアを怠ってしまえば、どれだけインプラント手術がうまくいっても、すぐにインプラントがダメになります。
ブラッシングやフロスを用いて、食べ物の汚れが残らないようにしましょう。デンタルリンスも併用するとなお良いですね。正しいブラッシング方法でケアされている方は、実は多くありません。セルフケアの方法に自信がない方は、丁寧に指導いたしますので、気兼ねなく質問してくださいね。
インプラント周囲炎の予防法③:歯科での定期メンテナンスを行う
インプラント治療後も、定期的に歯科医院に通って、メンテナンスを受けましょう。どれだけ毎日のケアを徹底していても、汚れは日々溜まっていくものです。特に、奥歯の溝など清掃が行き届きにくい場所は歯垢が蓄積しやすいです。歯科医院では、そのような患者様のケアで行き届かなかったところを、専用器具と専用薬剤を使ってクリーニングします。
また、歯科医院でのメンテナンスは、クリーニングだけではありません。レントゲン検査を行って、あごの骨やインプラント体に異常がないかどうかも検査します。インプラント周囲炎は自覚症状なく進行しやすいので、定期的に歯科医院に通って、初期症状を見逃さないようにしましょう。
インプラント周囲炎の予防法④:禁煙・節煙をする
喫煙習慣がある方は、インプラント周囲炎を発症するリスクが高いです。なぜなら、タバコに含まれるニコチンが悪影響を及ぼすからです。ニコチンは、血流を悪くします。血流が悪くなると、歯茎の免疫力が低下し、細菌が感染しやすくなります。その結果、インプラント周囲炎が発症してしまうのですね。
そのため、インプラントを入れる場合は、禁煙・節煙しましょう。歯科医院によっては、禁煙指導が入ることもあります。最初から禁煙が難しい人も、禁煙をゴールに、少しずつ節煙していくことが重要です。
歯周病だとインプラントできない?
これからインプラント治療を行いたい、と考えている方の中には、現在歯周病の問題を抱えている方もおられるかと思います。では歯周病の方はインプラント治療を受けられるのでしょうか?
歯周病でもインプラントを入れること自体は可能です。しかし歯周病の病原菌が口内に残ったままインプラントを入れているため、インプラントが細菌に感染するリスクが非常に高いです。インプラントが細菌に感染すると、インプラント周囲炎が発症してしまいます。つまり、インプラントの失敗です。
そのため、歯周病の方は、必ず歯周病の治療を先に行ってください。インプラントにある程度通じている歯科医院であれば、歯周病を残したままインプラントを入れるようなことはしないはずです。当院では歯周病治療を行ってからでなければ、インプラント治療は行なっておりません。
歯周病治療を優先すると、歯周病を治してからインプラント治療に移るので、合計の治療期間は延びてしまいます。しかし、インプラントを10年、20年、30年と長く使用していくためには、初期の歯周病治療が重要です。
当院では、日本歯周病学会の認定衛生士と共に、歯周病治療の段階からしっかりと患者様をサポートいたします。歯周病が原因でインプラントを検討している方は、下記よりぜひお問い合わせください。
まとめ:インプラントの歯周病「インプラント周囲炎」に要注意!適切なケアで予防しよう
当記事では、インプラントと歯周病の関係やインプラント特有の疾患「インプラント周囲炎」について解説しました。インプラントは人工物なので、虫歯にはなりません。しかし、適切なメンテナンスを行わなければ、歯周病によく似たインプラント周囲炎を引き起こしてしまいます。
また、インプラント周囲炎が進行すると、最悪の場合、インプラントが脱落してしまいます。貴重な時間やお金を費やして入れたインプラントが、すぐダメになってしまうのは避けたいですよね。インプラントを長持ちさせるためには、インプラント周囲炎にならないよう、予防を徹底することが必要です。
インプラント治療前に歯周病が見つかった方は、必ず歯周病の治療を先に行ってください。また、インプラントを入れた後も、ご自宅でのケアを正しく行いましょう。歯科医院でのメンテナンスも非常に重要なので、忘れずに適切な頻度で受診してくださいね。
当院では、インプラントを入れた後が本当のスタートだと考えています。定期的にメンテナンスを行って、患者様のインプラント生活をサポートしていくので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
【執筆・監修者】
帝塚山Smile Design Clinic(スマイルデザインクリニック)
院長:岩下太一(歯学博士)
ITI日本支部公認インプラントスペシャリスト認定医
オステムインプラントインストラクター 講師
日本審美歯科学会 認定医
他、所属学会、認定資格多数
充実した無料カウンセリング
初回費用は一切かかりません。安心してご相談ください。
当院では患者様に安心してインプラント治療を受けて頂くために、無料カウンセリングを充実させております。お口の中のお写真やレントゲン写真、場合によってはインプラントの骨を確認するためのCT撮影も無料で行います。もちろん、初回なので一切費用はかかりません。患者様に今のお口の状態を知って頂き、納得してインプラント治療を受けて頂くことが私たちの喜びです。
ITIインプラントスペシャリスト認定医
~ 世界レベルのインプラント治療をあなたへ ~
帝塚山スマイルデザインクリニックの院長はインプラント治療を他の歯科医師に教えるインストラクターの指導的立場として歯科界に貢献しております。また世界的に有名なインプラント学術団体のITI(International Team for Implantology)の日本支部公認インプラントスペシャリストの認定医でもあります。他院で難しいと言われたインプラント治療でも当院では十分に対応できる技術があります。