治療までの経緯
患者様は矯正治療を希望され当院を来院されました。右上の前歯が変色しており、お聞きすると昔小学生の頃にぶつけてしまったということでした。資料採りを行い診査診断を行ったところ、根先が吸収されており短くなっていました。
幼少時代に前歯をぶつけてしまい、神経が死んでしまい根が吸収される方はよくいます。ただし、この歯を矯正治療で動かすと抜け落ちてしまう可能性があり、さらに、この歯は長期的予後も悪いことを説明すると、矯正を含めたインプラント治療を希望されました。
臨床例
インプラント埋入までの経緯

矯正治療中抜けてしまう可能性を十分に説明し、その際はすぐに別の方法で対応することも説明し、患者様の了承のもと矯正治療を行いました。幸い、矯正の最後まで歯はもったものの、治療終了時には根はさらに吸収されグラグラの状態でした。よって、すぐにインプラント治療に移行することにしました。まずはシミュレーションを行い今の歯牙の位置とインプラントの位置を確認し準備を行う
手術術式
歯を抜くこと自体は容易であり、インプラント手術も20分程度で終了しました。歯を抜くと同時にインプラント埋入を行う抜歯即時インプラントを行い、痛みもほとんどなく患者様は大変喜ばれていました。
最終セラミックセットまでの経過

インプラントが生着すると、仮歯を装着します。審美領域のインプラント治療において
仮歯の調整が非常に重要になります。この段階で歯茎の高さや形を調整します。
左右均等に仮歯を調整し、歯肉ラインや形態など審美的に整えた後、その情報を技工所に正確に伝え最終的なセラミックに作製します。
治療後の感想

患者様は矯正治療で口元の印象がかわり、さらにインプラント治療もスムーズに終わり、審美的で天然の歯と全く見分けもつかず、かつ痛みもなかったたので大変喜ばれていました。今は年2回のメインテナンスにしっかりと通われてこの状態を保ってらっしゃいます。
ドクターからのアドバイス
前歯のインプラント治療を考えている方へ
前歯の審美領域におけるインプラント治療は、奥歯と比べて格段に難易度が高くなります。
なぜなら、「見える場所」=その人の印象を左右する場所だからです。
そのため、患者様ご自身も「絶対にきれいに仕上げたい」と強く願われる部分です。このエリアの治療では、インプラントの種類や埋入位置だけでなく、骨や歯ぐきのボリューム(厚みと高さ)までを精密に考慮する必要があります。
ほんの数ミリの違いが、最終的な美しさと自然さを大きく左右するのです。
ですから、前歯のインプラント治療をお考えの方は、
「経験豊富で、かつ審美治療にも精通したドクター」に相談されることを強くお勧めします。
単にインプラントを“入れる”のではなく、
“自然に見える笑顔”をつくり出すための技術と感性が求められる領域です。
さらに、もし矯正治療とインプラント治療を併用する場合は、必ず両方の治療に対応できる歯科医院を選びましょう。
よくあるケースとして、
「矯正は別のクリニックで終えたが、インプラントは他でやってください」
と言われ、最終的に当院にご相談に来られる方が少なくありません。
実は、インプラント治療を成功させるためには、他の歯の位置関係が非常に重要です。
矯正治療は、最終的なインプラントの位置を想定しながら進めなければ、
理想的な咬合や美しいラインを実現することができません。
つまり、「矯正とインプラントは切り離して考えてはいけない」のです。
あなたの笑顔をより美しく、そして自然に輝かせるために。
ぜひ、総合的な視点をもつドクターと医院を選択してください。
症例の詳細
年齢 | 30代女性 |
主訴 | 矯正治療とインプラント治療をこだわってやりたい |
治療内容 | 前歯1本のインプラントと矯正治療 |
費用 | インプラント:44万円(税込)✖️1本、歯列矯正:80.3万円(税込) |
期間 | インプラントのみの治療:3ヶ月弱 |
リスク・副作用 | 治療後はしっかりとメインテナンスを行わないと歯周病になる可能性がかります。 |
【執筆・監修者】

帝塚山Smile Design Clinic(スマイルデザインクリニック)
院長:岩下太一(歯学博士)
ITI日本支部公認インプラントスペシャリスト認定医
オステムインプラントインストラクター 講師
他、所属学会、認定資格多数
当院の院長はインプラント治療を他の歯科医師に教えるインストラクターの指導的立場として歯科界に貢献しております。また世界的に有名なインプラント学術団体ITIのインプラントスペシャリストの認定医でもあります。他院で難しいと言われたインプラント治療でもインプラント大阪では十分に対応できる技術があります。
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