治療までの経緯
「全体的に治療してほしい」
患者様は右上の歯牙の破折を主訴に来院されました。
お口の中を見せて頂くと右上の小臼歯が破折して化膿しておりました。
なぜ破折したのかの原因を調べてみると、下顎の左側の犬歯が反対咬合になっており、顎が左にずれており噛み合わせが不安定になっていました。それらが原因で奥歯がだんだんと失われてきたことを説明すると今後の人生を考えて全体的に治療したいと強く希望されました。資料取りを行い診査診断の結果、矯正治療とインプラント治療、そして、見た目も改善したとのことでテトラサイクリンよる歯牙の変色も被せ物で改善することとなりました。


臨床例
インプラント埋入までの経緯
歯列矯正はマウスピース矯正で行いましたが、矯正治療に入る前にまずは根の治療を行い歯が折れにくいファイバーポストを使用したのち、仮歯をセットし歯列矯正を行いました。歯列矯正は1年半ほどで終了し、そのあとは、インプラント治療へと移行しました。患者様も非常にまじめで協力的で治療はスムーズに進みました。

インプラント治療の術式
右上に関してはインプラントを保持するだけの骨がなかったため、骨造成を行いました。サイナスリフトという上顎洞に骨補填材を埋入し、6ヶ月ほど経過を待ち、CTによる骨硬化を確認し後にインプラント埋入を行いました。
左上関しても少し骨が少なかったので、ソケットリフトを呼ばれる骨造成を行いました。骨はなければ造ることが可能です。

治療終了までの経緯
インプラント埋入後、生着を待っている間、他の歯牙を白い仮歯に変更しました。そこでテトラサイクリン歯の色は全てなくなり、その時点で患者様は非常に喜ばれていました。長年、悩んでいた審美的な悩みが消えた瞬間でした。


治療後の感想
患者様はよく噛めるようになり、顎の位置も改善され、見た目も綺麗になったので非常に喜んで頂けました。非常に協力的な患者様も頑張って頂けたのでここまで綺麗に改善されたのだと思います。歯の色を明るくすることでお顔の印象もガラッと変化し本当に素敵な笑顔になられました。これからは、この状態をキープするための長い道のりのスタートなので、一緒にメインテンスを頑張っていきましょうとお約束しました。当院は年に2回、歯周病が心配な方は年に3回のメインテンスをお勧めしております。患者様もメインテンスも頑張るとおっしゃってくれているので長持ちすることでしょう。

ドクターからのアドバイス
実は――インプラントを入れること自体は、決して難しいことではありません。
(もちろん、私がこれまで多くのインプラント症例を手がけてきたからそう感じるのかもしれませんが。)
しかし、本当に大切なのは“そこ”ではありません。
もっと重要なのは、「噛み合わせ」です。
インプラントを長持ちさせ、10年、20年と快適に使い続けていただくためには、精密で緻密な噛み合わせの設計こそが最も難しく、そして最も重要な部分だと私は考えています。
なぜ壊れてきたのか?
なぜまだ年齢的に若いのに、奥歯がこれほどまでにダメージを受けているのか?
――その“原因”を突き止めない限り、たとえ新しいインプラントを入れても、また同じように壊れてしまうリスクは高くなります。
インプラントは決して安い治療ではありません。
だからこそ、単に「入れる」ことだけでなく、「なぜそうなったのか」を一緒に考え、根本的な原因に向き合ってくれる歯科医師に出会うことを、私は強くお勧めします。
症例の詳細
年齢 | 50代女性 |
主訴 | 右上の歯が割れて膿んでいるのでインプラントをしたい。 |
治療内容 | 上4本、下2本のインプラント治療 |
費用 | インプラント:44万(税込)✖️6本、セラミック13.2万(税込)✖️本数 |
期間 | 歯列矯正:1年半、インプラントのみの治療:10ヶ月弱 |
リスク・副作用 | 治療後はしっかりとメインテナンスを行わないと歯周病になる可能性がかります。 |
【執筆・監修者】

帝塚山Smile Design Clinic(スマイルデザインクリニック)
院長:岩下太一(歯学博士)
ITI日本支部公認インプラントスペシャリスト認定医
オステムインプラントインストラクター 講師
他、所属学会、認定資格多数
当院の院長はインプラント治療を他の歯科医師に教えるインストラクターの指導的立場として歯科界に貢献しております。また世界的に有名なインプラント学術団体ITIのインプラントスペシャリストの認定医でもあります。他院で難しいと言われたインプラント治療でもインプラント大阪では十分に対応できる技術があります。
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