「歯ぐきが腫れている気がする」「血が出るのが当たり前になっている」「鏡を見ると、なんとなく歯が長くなったように見える」そんな違和感がありながらも、忙しさや不安から歯科医院に足が向かないまま、時間だけが過ぎてしまっていないでしょうか。
歯周病は、「静かに進行する病気」です。その一方で、今の状態を正しく把握し、優先順位をつけて治療を進めていけば、「ここから先の数年・数十年」を大きく変えることができる病気でもあります。
帝塚山スマイルデザインクリニックでは、歯周病だけを部分的に見るのではなく、むし歯・噛み合わせ・インプラントや被せ物なども含めた「お口全体の設計図」を患者様と一緒に描きます。
歯周病は「静かに歯を失わせる病気」です
歯周病は、むし歯のように歯そのものが溶けていく病気ではなく、歯を支えている歯ぐきや骨が少しずつ壊れていく病気です。歯のまわりに溜まった細菌のかたまり(プラーク)が炎症を起こし、進行すると歯ぐきの中にある骨が吸収され、最終的には歯が支えられなくなって抜けてしまいます。

怖いのは、その多くが強い痛みや腫れもなく、静かに進行していくという点です。「なんとなく血が出る」「歯ぐきがむずがゆい」といった軽い症状の段階では、つい放置されてしまいがちです。気づいたときには、すでに歯を支える骨が大きく失われていることも珍しくありません。
一度大きく失われてしまった骨や歯ぐきは、元どおりに戻すことが難しい場合があります。その一方で、比較的早い段階で適切なケアと治療を始めれば、進行を止めたり、これ以上悪くならないようにコントロールしたりすることは十分可能です。そのためには、「まだ大丈夫」と自己判断してしまわず、早めに専門的なチェックを受けることが大切です。
歯周病セルフチェック
歯周病は少しずつ進行するため、ご自身では「いつからこうなったのか分からない」ケースが多いです。
まずは、次のようなサインがないか、一度確認してみてください。
- 歯みがきのたびに、歯ぐきから血がにじむ・出血が続いている
- 歯ぐきが赤く腫れている、むずむず・ズキズキすることがある
- 朝起きたとき、口の中がネバネバしている
- 以前より口臭が気になる、家族に指摘されたことがある
- 歯が長くなったように見える(歯ぐきが下がってきた気がする)
- 歯と歯の間に、食べ物が挟まりやすくなった
- かたい物を噛むと、どこかの歯が響く・違和感がある
- 指で押すと、歯がわずかに動くような感覚がある
いくつか当てはまるからといって、必ずしも「もう手遅れ」というわけではありません。ただし、症状が増えるほど、歯周病がある程度進んでいる可能性が高いのも事実です。
逆に、チェック項目が少なくても、見えないところで骨が溶け始めているケースもあります。
大切なのは、これらのセルフチェックだけで、「まだ大丈夫」「もうダメだ」と自分で決めつけてしまわないことです。実際の進行度は、歯ぐきの中の状態や骨の量をきちんと調べてみないと分からない部分が多くあります。
精密検査で患者様の「現在地」を把握します
歯周病の治療でまず重要なのは、どの程度まで進行しているのか、お口全体のバランスも含めて正確に把握することです。
帝塚山スマイルデザインクリニックでは、次のようなステップで精密検査を行い、患者様の「現在地」を一緒に確認していきます。
問診・生活習慣の確認

まずは、お困りの症状やこれまでの経過について、じっくりお話を伺います。
いつ頃から気になっているのか、どのような場面で症状が出やすいのか、過去の通院歴や喫煙習慣、全身疾患の有無など、生活習慣や全身の状態も含めて把握することで、なぜ今の状態になっているのか、今後どこに気をつけるべきかが見えやすくなってきます。
お口の中の視診・噛み合わせのチェック

- 歯ぐきの腫れや赤み、出血の有無
- プラーク(歯垢)や歯石の付着状況
- 歯並びや噛み合わせのバランス
- 被せ物や詰め物、ブリッジ・入れ歯などの状態
お口の中を拝見して、このような点を確認していきます。歯並びがガタガタしていたり、噛む力が一部の歯に集中していたりすると、同じ歯周病でも進行の早さが変わってきます。さまざまな要素を含めて、お口全体のバランスを診ていきます。
歯周ポケット検査・歯の揺れの測定

歯周病の進行度を評価するうえで重要なのが、歯周ポケット検査です。細い器具(プローブ)を歯と歯ぐきの境目にそっと入れ、ポケットの深さを1本ずつ測定していきます。
健康な歯ぐきの場合はおおよそ1mm〜3mm 程度ですが、歯周病が進行している部分は4mm〜5mm以上の深いポケットが見られることもあります。
レントゲン・CTによる骨の状態の確認

お口の中の見た目だけでは、骨がどのくらい残っているかを正確に判断することはできません。そのため、レントゲン写真を撮影し、歯を支える骨の高さや形、炎症が広がっている範囲を確認します。
必要に応じて、インプラント治療や大きな治療計画を検討する場合には、CT撮影によって三次元的に骨の厚みや形態を把握することもあります。
こうした検査の結果をもとに、
- どの歯はまだ十分に残せる可能性があるのか
- どの部分は注意深く経過を追う必要があるのか
- 残念ながら抜歯も視野に入れたほうがよい歯があるのか
といった点を整理し、「患者様の現在地」を一緒に確認していきます。数字や専門用語だけを並べるのではなく、写真や図をお見せしながら、できるだけ分かりやすい言葉でご説明し、疑問点があればできるだけその場で回答いたします。
歯周病の進行度に応じた治療の4ステップ
精密検査によって「どの歯が、どのくらい歯周病が進んでいるのか」が分かると、ようやく本当の意味で治療のスタート地点に立つことができます。

歯ぐきの「周り」の歯石取り(スケーリング)
まずは、歯ぐきより上に見えている歯石(縁上歯石)やプラークを、超音波スケーラーと呼ばれる機器などを用いて徹底的に取り除きます。これによって、「歯ぐきの腫れや出血が落ち着いてくる」「歯周ポケットの深さが 2〜4mm 程度まで改善する」といった変化が期待できます。
一方で、スケーリング後もなお、4mmを超える深い歯周ポケットが残っている場合は、次のステップ2が必要になります。

歯ぐきの「中」の歯石取り(ルートプレーニング)
歯石は歯の表面だけでなく、徐々に歯ぐきの中(歯周ポケットの内部)へと入り込んでいきます。歯周ポケットの中に隠れている歯石や汚れを専用の器具で取り除き、根の表面を滑らかに整える「ルートプレーニング」も合わせて行うことで、汚れが付きにくい環境をつくります。
当院では、お口の中を4〜6ブロックに分け、1回1ブロックを目安に丁寧に処置します。全てのブロックが終了したあと、およそ1か月後に再検査を行います。再検査で、まだ5mm以上の深いポケットが残っている部分がある場合、次のステップ3を検討します。

歯周外科治療(必要に応じて再生療法を併用)
スケーリング・ルートプレーニングをを行ってもなお、深い歯周ポケットが残っている場合は、歯ぐきをめくって、根の周りにこびりついた歯石を直視下で徹底的に除去する「歯周外科治療」が選択肢となります。
骨の形や残り具合によっては、再生療法を用いて、すでに失われた骨の一部を再生させることが可能なケースもあります。すべての歯で必ず行えるわけではありませんが、「少しでも歯を長く残したい」という希望に沿うための選択肢のひとつです。
抜歯という選択肢について
検査と治療を重ねても、どうしても保存が難しい歯が存在します。
- ぐらぐらで、噛むたびに大きく揺れてしまう
- 歯を支える骨が大きく失われ、炎症を繰り返している
- 残しておくことで、周囲の「まだ守れる歯」にまで歯周病が広がるリスクが高い
もちろん、できるかぎり歯を残すことを前提に、ステップ1〜3までのあらゆる治療方法を検討したうえで、それでもなお「残すことによるデメリットのほうが大きい」と判断される場合には、抜歯を提案いたします。
抜歯は、決して簡単な決断ではありませんが、歯周病で弱りきった歯に頼り続けるのではなく、「一度リセットして新たにきちんと噛める状態をつくり直す」という意味では、将来のための「再スタート」につながる選択でもあります。
抜歯が必要となる場合も、その後には「ブリッジ」「入れ歯」「インプラント」など、複数の選択肢があります。当院では、歯周病の状態だけでなく、見た目や噛み心地、メンテナンス性、費用や治療期間まで含めて、お口全体の設計図を一緒に描きながら治療方針を決めていきます。
残念ながら抜歯になってしまった後の治療について
検査と治療を重ねても、どうしても残せない歯が見つかることがあります。その瞬間はショックも大きく、「抜いたらどうなるのか」「この先ちゃんと噛めるのか」と不安になられるのは当然のことです。
しかし、抜歯は「終わり」ではなく、これから先きちんと噛める状態をつくるための通過点です。帝塚山スマイルデザインクリニックでは、歯周病で歯を失ったあとの治療を何より大切にしております。
歯を1本〜数本失った場合:インプラント治療

部分的に歯を失ってしまった場合、当院ではインプラントによる回復を基本として考えます。
歯を1本のみ失った場合
→欠損部位の骨にインプラントを1本埋め込み、その上に被せ物(人工の歯)を装着します。周囲の歯を削る必要がなく、自分の歯に近い感覚で噛める状態を目指します。
隣り合う歯を2本以上失った場合
→ 欠損部位の本数に応じて2〜数本のインプラントを埋入し、その上にインプラントブリッジと呼ばれる連結した被せ物を装着する方法を検討します。すべての欠損部位に1本ずつインプラントを入れるのではなく、必要な本数に絞りながら、噛み合わせと強度を両立させる設計が可能です。
いずれの場合も、
- 歯周病で失った部位の骨の量・質
- 残っている歯や歯ぐきの状態
- 噛み合わせのバランス
- 見た目のご希望やライフスタイル
などを詳しく確認し、「どこに、何本、どのような形でインプラントを入れるのが最も無理がないか」をCT診断に基づいて検討します。

歯の大部分を失った場合:オールオン4

歯周病が進行し、上下の歯の大部分を失ってしまった場合には、部分的なインプラントを並べていく方法ではなく、「オールオン4(All-on-4)」による全体的な再建が選択肢となります。オールオン4は、あごの骨に埋め込んだ少数のインプラント(通常4本程度)で片顎分の人工歯列を支える治療方法です。
歯周病によって歯を次々と失ってしまった方の場合、残っている歯が非常に少なかったり、残存歯も歯周病で大きくダメージを受けている、といった状況になっていることが少なくありません。そのようなケースでは、無理に弱った歯を残し続けるよりも、「問題のある歯を整理したうえで、インプラントを土台とした新しい噛み合わせと歯列をつくり直す」という発想が必要になることがあります。
オールオン4は、「少ないインプラント本数で、しっかり噛める全体の歯列を支える」ことを目的とした治療です。当院では、骨の状態や全身の健康状態、生活背景などを丁寧に確認しながら、オールオン4が本当に適しているかどうかを慎重に診断します。

「患者様がどう生きていきたいか」まで考える歯周病治療

TaichiIwashita
歯周病で歯を失うことは、とてもつらい経験です。
「もっと早く来ていればよかったのでは」「これからどうなってしまうのだろう」と、ご自身を責めてしまう方も少なくありません。大切なのは、過去を責めることではなく、「今どの状態なのか」「ここからどうしていくのか」を一緒に考えることだと当院は考えています。
そのために帝塚山スマイルデザインクリニックでは、歯ぐきや骨の状態を検査で把握し、精密に歯周病治療を進めていきます。それでも残せなかった歯がある場合には、「どのような噛み合わせ・見た目・メンテナンスのしやすさを目指すのか」といった点まで含めて、これからの10年・20年を見据えた治療計画を丁寧に設計していきます。
私たちは、「歯を失った」という事実だけで治療を終わらせることはしません。歯周病のコントロール、インプラント治療・オールオン4、お口全体の噛み合わせや審美性。それらをばらばらに考えるのではなく、ここからどう組み立て直すのが一番良いのかを、患者様と一緒に考えます。そのうえで現実的で続けやすいプランをご提案することを大切にしています。
「どこまで悪くなっているのか知るのが怖い」「本当にまだ間に合うのか不安」というお気持ちのままでかまいません。不安なことや知りたいことがあれば、初診相談の際にどうぞ遠慮なくご相談ください。帝塚山スマイルデザインクリニックが、これからの人生を見据えた歯周病治療のパートナーとして、長く伴走してまいります。
